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「あれ」 [映画]

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〔1927年/アメリカ〕


デパートの御曹司・アントニオ・モレノは、
父から経営を引き継いだ日、
店内を回り、従業員たちに挨拶をする。


デパートガールのクララ・ボウは、
アントニオを一目で気に入り、
なんとかお近付きになりたいと願う。


人気作家・エリノア・グリンの最近のベストセラーによると、
異性を惹き付けるには、
「あれ」がとても重要で、
「あれ」を持つ者は、恋の勝利者になれるのだと言う。


魅力的なクララは、
「あれ」を十分に備えており、
アントニオは彼女に夢中になる。


ところが、クララの友人の赤ちゃんを、
クララの子供と勘違いしたアントニオはショックを受け、
2人は仲違い。
クララはそれが原因でデパートを辞めてしまい・・・。





今から90年近く前に作られた、
サイレント映画。


「あれ」とは、何とも意味深なタイトルだわ(笑)。
でも、観てみれば別にどうって事はなく、
原題の「IT」を直訳しただけ。


今はさすがに、
このタイトルは付けない気がするなぁ(笑)。
せめて、そのまま「IT」とか、
安易に付けちゃうとしても、
「愛のなんちゃら」とか、
「幸せのなんちゃら」とか、
そんな風になりそう。


で、「あれ」とは、
異性を惹き付ける魅力という意味のようで、
私は勝手に、フェロモンみたいなもの?と解釈したのだけれど、
どうなんでしょう。


主演のクララ・ボウが、
とっても可愛くて、
当時はちょっと色っぽい女優さんとして
有名だったらしい。
そう考えると、この映画の役にピッタリで、
雰囲気も合っている。


彼女は可愛いだけでなく、
大変に正義感が強い。
赤ちゃんを抱えて困っている病弱な友人を、
自分のアパートに住まわせて、
生活の面倒をみてあげているし、
友人の無職を理由に、赤ちゃんを乳児院に奪われそうになると、
自分が母親だと主張して、
係の人を追い返したりする。


そんな、ちょっと気の強い女の子だからこそ、
観ているこちらは、
強く彼女にシンパシーを感じてしまう。
綺麗なだけでなく、性格もいいのね、って。


彼女とアントニオ・モレノの
デートのシーンが興味深い。
遊園地に行った2人は、
私が見た事もないようなアトラクションで遊ぶんだな。
あれは何なのだろう。
目が回りそうだけど、2人がとっても楽しそうで、
私も経験してみたくなる。


恋愛コメディだから、
オチは想像がつくけど、
それでも最後までハラハラして見守ってしまう。


評価 ★★★☆☆

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「複雑な彼」 [映画]

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〔1966年/日本〕


金持ちの令嬢・森田冴子(高毬子)は、
父(佐野周二)と乗ったアメリカ行きの飛行機で、
CAの宮城譲二(田宮二郎)の、
日本人離れした優雅な振る舞いに心惹かれる。


冴子の叔父が偶然に譲二を知っており、
彼が、ロンドン在住だった事や、
様々な仕事をしていた事、
そして現在、保釈中の身の上である事を聞かされる。


冴子と譲二はその後愛し合うようになり、
冴子が父のお供で行ったリオデジャネイロで、
デートを重ねる。
しかし、冴子が父に譲二を紹介すると約束した晩、
彼は部屋を引き払ってしまった。


何か秘密を抱えているらしい譲二。
東京に帰った冴子は、譲二の部屋を訪ねるが・・・。





三島由紀夫が原作だというけれど、
なんというか、お粗末な印象。


同じ三島でも、
先日書いた「午後の曳航」のような、
凄いなぁと思わせる作品もあるのに、
何なんだ、この差は?(笑)
原作のせいなのか、
映画の作りが下手なのかは分からないけど。


とにかく、登場人物たちの世界が狭い。
出会う人出会う人みんなが、
田宮二郎扮する宮城の事を知っていて、
しかも殆どの女は、一度は彼と関係しているというモテっぷり。
日本女性だけでなく、
アメリカ人からインド人までってんだから、凄い(笑)。


そんなプレイボーイが、
主人公の冴子を本気で愛するようになるのだけれど、
冴子が父とリオに行くと聞かされると、
なんと彼も、彼女の飛行機にCAとしてご搭乗(笑)。


そして、その飛行機の中の、
空いている座席に冴子と座っちゃって、
キスしたり、抱き合ったり、お仕事そっちのけ(笑)。
どこぞの国のナッツ令嬢の機内での振る舞いには驚いたけれど、
この映画の宮城さんも負けちゃいない(笑)。
今だったら、その場でyoutubeに動画がアップされる事、
間違い無し。


そしてついには、
リオの冴子が滞在するホテルにまで現れる。
「来ちゃった~。てへ♪」って感じで(笑)。


良かったのは、
二人でする、リオの市内観光の場面くらいかなぁ。
いいなぁ、南米。
何度か書いているけれど、
南米は、死ぬまでに絶対行ってみたい地域ナンバーワンだから、
羨ましかった。
それだけ(笑)。


(と、ここまで書いて色々調べたら、
この映画のモデルって、安部譲二さんなの~!?
え~~! ビックリ!
だから田宮さんの役名が譲二なの!?
あんまり笑わせないで・・・、じゃなくて、驚かさないでほしいわ(笑))


評価 ★★☆☆☆

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「幸せの行方...」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


ニューヨークの大富豪の長男・ライアン・ゴズリングは、
父の期待に中々応えられず、
仕事のできる次男との差は開くばかり。


ある日、ゴズリングは、
偶然出会ったキルスティン・ダンストと
たちまち恋に落ち、
結婚を望むようになる。
しかし、中流家庭で育った彼女に、
父はいい顔をしない。


ダンストの親族だけを招いて結婚式を挙げ、
田舎町で食料品店を始めたゴズリングだが、
結局は父に連れ戻され、
父の下で働くようになる。


ダンストは子供を欲しがり、
その事をゴズリングに告げるが、
なぜか彼は承諾しない。
彼は、自分の目の前で母が自死したトラウマがあり、
ダンストにも見せていない一面があるのだ・・・。





1980年に、
アメリカで実際に起こった事件だそうで、
「この先どうなるの?」という思いから、
目が離せない。


ライアン・ゴズリングとキルスティン・ダンストの結婚は、
格差に原因があっての失敗かと思ったけれど、
2人の実家の経済力が同じであっても、
結局は上手くいかなかったのではと想像される。


ゴズリングの、どこか倒錯した性格が、
母親が原因かのように仄めかされているけれど、
それもハッキリしない。
とにかく彼は、何かを恐れ、
子供を持つ事さえ厭うような人生。


それは個人の勝手だからいいとして、
そういった人生計画は、
結婚前に言ってよー、と、
私がダンストだったら言いたくなると思うなぁ。
だって彼女は、
望んでいた子供を授かったというのに、
堕胎させられるのよ。
それはあまりに酷い。


その後、ゴズリングの「変な」感じは、
どんどん進んでいって、
お話は彼が、白髪交じりの
初老になるまで続く。
結構大河ドラマ。


ゴズリングの老けメイクもそれなりに凄いけど、
それより、コスプレ?と思うような、
笑わせてくれるシーンがある。
詳しくは書かないけれど。


それなりに面白く観ていたのに、
何?この不完全燃焼なオチは。
実話だから仕方ないんだろうけど、
これじゃラストがお粗末すぎよ(笑)。
これなら、実話って事にしないで、
フィクションでもいいから、
ハッキリしたオチを付けてくれたほうが、
なんぼか良かった気がするんだけど。


評価 ★★★☆☆

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「赤い手裏剣」 [映画]

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〔1965年/日本〕


とある宿場町に現れた浪人・伊吹新之介(市川雷蔵)。
この町では、3つのヤクザの組が、
勢力を競い合い、
暴力が横行していた。


一番大きな組は仏一家、二番目は絹屋一家だったが、
伊吹は、一番小さな炭屋一家に
草鞋を脱ぐ事を決める。


伊吹は手裏剣の名手で、
狙った相手は決して外さない。
彼は五十両で仏一家を潰してやると、
炭屋一家に持ち掛けた。


一方、仏一家は、
鎌の名手・北風の政(南原宏治)を雇うが、
政は、仏一家の組長・勘造(山形勲)の愛人・千波(春川ますみ)と
できあがってしまい・・・。





またまた、私の無知無教養を
思い知る事になってしまった(笑)。


タイトルの「手裏剣」の文字を見た時、
私はてっきり雷蔵さんが、
星形というか、ヒトデ型というか、
そういう形のものを、
シュシュシュと飛ばすものだとばかり思っていたのよ。


でも、雷蔵さんが投げる手裏剣というのは、
もう完全に投げナイフと言った方がよくて、
「愛と誠」のスケバン・高原由紀が使用している物というのが
一番近い感じ。
(よけい分かりませんか(笑))


うーん、世間の皆さまは、
「手裏剣」っていうと、どんな物を想像されるのであろうか。


ただ、言い訳するわけじゃないけど、
例えば、ダウンタウンの歌う「日影の忍者勝彦」のPVを見ても、
ハマちゃんの投げる「半生手裏剣」」だって、
星形というか、そんなような形をしている。
私が物知らずってだけじゃないわよね?
(と思いたい(笑))


それから、北風の政が使う、
鎌がまた、凄いのよ。
彼が投げる鎌は、
相手を倒したあと、
くるりと飛んで、自分の手元に戻ってくる。
なんとブーメラン様式(笑)。


投げナイフにブーメラン。
これは日本か?(笑)
想像だけど、
これは西部劇風時代劇を狙って
作ったのではないだろうか。
雷蔵さんも、時代劇らしからぬ、
白い着物に、変な皮のベストみたいな物を着ちゃってるし(笑)。


ラストは「シェーン」っぽい?
「シェーン」は観てないから分からないけど、
ラストシーンだけは知っているので。
今度観て、確認してみよう。


評価 ★★★☆☆

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「非行少女」 [映画]

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〔1963年/日本〕


金沢で暮らす15歳の和泉雅子は、
バーで酔客相手に酒をがぶ飲みし、
楽屋にあったホステスのハイヒールを盗むような、
荒れた生活をしている少女。


彼女の母は既に亡くなり、
父は母の死と同時に、
得体の知れない女を家に引っ張り込むような男で、
家庭に和泉の居場所はない。


そんなある日、和泉は、
失業して東京から戻ってきた21歳の浜田光夫と
久し振りに再会する。
浜田はやさぐれている和泉を心配し、
何かと心をくだいてくれる。


浜田の励ましがあり、学校に行く気になった和泉だが、
友達もおらず、PTA会費も払えない現実に落ち込み、
職員室に忍び込み、金を盗もうとするが見つかってしまう。


そんな和泉に、ついに愛想を尽かした浜田は、
養鶏場に住み込んで働くようになり、
訪ねてきた和泉に冷たく当たった。
ショックを受けた和泉は、
養鶏場で浜田からの手紙を燃やすうちに、
火が燃え移り、大火事になってしまう。


ついに救護院に入れられてしまった和泉は・・・。





今まで映画で観てきた和泉雅子さんの役柄は、
いつも太陽のように明るく元気な、
とちらかと言うと末っ子的なキャラで、
この映画を知った時は、
彼女に非行少女の役なんてできるのかと、
気になっていた。


しかし、そこはやはり女優。
ちゃんと役にハマっていて、
荒んだ15歳の少女の顔に、
しっかりなっていたのだから凄い。


もちろん、非行と言っても、
現代のヤンキー的な不良を想像すると、
ちょっと違うかもしれない。
そのあり方は、昭和の貧乏に、昭和のグレ方。
現代のように、
「金が無い」と言いながらも、
当たり前のようにケータイを持ち、ブランド物を持つような不良とは少し違う。


もちろん、どんなに時代が変わっても、
変わらない事もある。
グレてしまうのに、
「○○が原因だ」なんて決め付けは、絶対にしたくはないけれど、
救護院にいる少女たちの多くは、
どこにも自分の居場所がないと感じているように見受けられた。


これ以上はもう、
私には何も言えない。
問題の根が深すぎるし、
辿っていったら、親の親の、そのまた親まで辿らなくてはならないし、
時代背景や、個人の資質まで、
色々な事が絡まりすぎて、
どうする事もできない気持ちになる。


ラスト、和泉さんは、そして浜田さんは、
ある決心をする。
ものすごく迷った挙句の決断だけど、
私には、それしかないように思えた。
頑張ってねと、声を掛けたくなるような最後。


評価 ★★★☆☆

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