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「わらの犬」 [映画]

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〔1971年/アメリカ〕


アメリカ人の数学者・ダスティン・ホフマンは、
妻・スーザン・ジョージと2人、イギリスの片田舎に居を構える。


屋根の修理の為、
村の男たち数人を雇い、
作業をさせるが、
その中の1人・デル・ヘナーは、スーザンと恋人同士だった過去がある。


ある日、ホフマンは、
ヘナーたちに誘われ、
鳥撃ちに出掛けるが、
その間、ヘナーと、もう一人の男が、
ホフマンの家へ行き、
スーザンは凌辱されてしまう。


数日後、ホフマンは、
あるトラブルからヘナーたちが探す男・ピーター・アーンを匿う。
ホフマンの家へ押し掛けたヘナーたちは、
アーンを差し出せと迫るが、
そうなれば、アーンが殺されるのは必至。
家に、石を投げられ、火を付けられ、
酷い状況の中、
ホフマンが反撃を開始する・・・。





ダスティン・ホフマン演じる主人公が、
争い事を好まない、大人しい男のように描かれているけれど、
私は、彼こそが男の中の男だと思ったなぁ(笑)。


まず彼は、一つの事に没頭すると、
他の事ができない。
研究になると、妻が話しかけるのも嫌がり、
自分の世界に入ってしまう。
そんな夫を妻が物足りなく思っても、
妻の気持ちを慮るだけの余裕もなさそう。


それから、細かい事に気付かない。
妻が凌辱され、顔を腫らしているのに、
妻に接する態度は普段のまま。
よく、女は男の浮気にすぐ気付くけど、
男は女の浮気に中々気付かないって話を聞くけれど、
典型的なそのパターン。


彼は、男が多かれ少なかれ持っている特性を
見事に兼ね備えた、
本当に男の中の男(笑)。


彼の無粋な一面を表す演出も面白い。
彼は、ベッドで妻といざ事に及ぼうって時に、
目覚まし時計をセットしたりする。
妻は明らかにガックリしているし、
観ているこちらにしても、
「それ、今しなくちゃいけない事?」、と、
言いたくなるけど、
こういう人は、一生このままな気がする。


この妻も、問題大ありで。
彼女は、危機意識がないようで、
屋根の修理をする粗野な男たちの前でも、
素肌にそのままセーターを着て歩いたり、
窓越しに、上半身裸になったりする。


女を襲うのは、最低最悪の犯罪だけれど、
世の中いい人ばかりでない事も、
常に考えていないと。


大人しい主人公の怒りが臨界点に達してキレるとこうなる、ってのが、
見所なんだろうけど、
その理由が、私には気に入らない。


軽い予備知識から、
私は、彼がキレるのは、
妻が汚されたせいだと思っていたのよ。


うーん、まさか、
今までほぼ接点もなかった、赤の他人を匿ったせいだとは
思わなんだ(笑)。


しかも、ラストまで彼は、
妻が凌辱された事は知らずじまい。
彼は、妻の為に、
一度だって必死になる事はなく、
映画は終わる。


こんなバイオレンス映画を観ても、
夫と妻の関係にしか目がいかない私は、
視野が狭い女(笑)。


評価 ★★★☆☆

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