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「悪童日記」 [映画]

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〔2013年/ハンガリー〕


第二次大戦中のハンガリー。


双子の兄弟・(アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント)は、
疎開するため、
田舎にある祖母の家に連れてこられた。


母と祖母は実の親子だが仲が悪く、
20年も音信不通。
祖母は双子たちを「メス犬の子」と呼び、
タダ飯は食わせないと、
薪割りなどの仕事でこき使う。


ある日、双子は、
森の中で死んだ脱走兵の武器を持ち去り、隠す。
また、なかなか迎えに来ない母を忘れる為、
心と体を鍛えようと決め、
互いの肉体を傷つけ合う。


脱走兵から持ち去った武器で、
ある人物を傷つけた双子は、
警察に捕まり、拷問を受けるが、
祖母の家の離れに住む、外国人将校に助けられる。


そんなある日、母が迎えにやって来た。
しかし、なぜか彼女は赤ん坊を抱いており、
「お前たちの妹だ」と言う。
双子は母を拒み、
祖母の家にいると宣言するが・・・。





戦争、ヨーロッパ、子供が主人公、とくると、
ユダヤ人の物語かと想像するけれど、
これは違う。


むしろ、この双子たちは、
ユダヤ人の強制連行の列を眺める立場で、
さらに、一緒に列を眺めていた若い女の、
ユダヤ人に対する振る舞いの
意地の悪さったらない。
戦争は人を狂気に変える。


そんな情勢の中、
双子たちは日々を過ごすわけだけれど、
彼らも、そして登場人物たちも名前は無く、
互いを呼び合う事はない。
そのせいなのか、
どんな残酷な場面も、どこか淡々として、
乾いている、といった印象。


双子の祖母を、
最初はなんて嫌な奴だろうと思ったけれど、
意外とそうでもない事が分かってくるし、
それに反して、母が本当に、
祖母が言う所の、「メス犬」だったショック。


戦争から帰った父は、
母の「メス犬」ぶりを、
自らのある行動で知るのだけれど、
それもショックな場面だった。
人は知らない方がいい事もある。


私の文章力ではこの映画の雰囲気を
描けないのがもどかしい。
実に様々なエピソードがあり、
ラストも衝撃的。


双子の少年たちが美しく、
映画の雰囲気にピッタリ。
原作もかなり衝撃的で、面白いらしく、
すぐに読んでみようと、
図書館に予約を入れた。


評価 ★★★☆☆

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