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「大佛開眼」 [映画]

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〔1952年/日本〕


天平十七年。


河原の砂地で大きな菩薩の絵を描く、楯戸ノ国人(長谷川一夫)という男。
その絵を踏んでしまった麻夜賣(京マチ子)と争いになるが、
2人はそれをきっかけに、愛し合うようになる・・・。


同じ頃、時の帝・聖武天皇は、平和な世の中を願い、
大仏の建立を宮廷に命じた。
責任者として国中ノ公麿呂(小沢栄)が任命されるが、
公麿呂は過去に一度、大仏建立に失敗しており、
不安を隠し切れない。
彼は、天才的な能力を持つ国人の存在を知り、
助手に迎え入れる。


大仏の制作が始まり、
国人は、持てる力の全てをそこに注ぎ込む。
しかし麻夜賣は、自分との時間を取れなくなった
国人の態度に苛立ち、
国人の才能に激しく嫉妬する新城ノ小楠にそそのかされ、
大仏の右手が落ちるような工作の
片棒を担いでしまう。


公麿呂を失脚させようとする橘の奈良麿呂は、
この失態を喜び、
公麿呂と国人を、責任者から外す事を決める。
失意のどん底に落ちた国人を見た麻夜賣は、
自分のした事を後悔し、
大勢の人の前で懺悔し、新城ノ小楠を告発する。


責任者に戻った公麿呂は、
建立を着々と進めてゆくが、
橘の奈良麿呂は、新城ノ小楠を密かに脱獄させ、
あらたな失敗工作を命じる・・・。





奈良の大仏様建立の、
計画から完成までを描いた物語。
古い時代のお話だけれど、
別に小難しい事はなく、
楽しめる内容。


とにかく登場人物たちの嫉妬心が凄い。
嫉妬で成り立つ物語と言ってもいいくらい。


特に麻夜賣の嫉妬は激しい。
彼女の性格は、直情的とでもいうのか、
後先考えずに行動するタイプらしい(笑)。
自分が淋しい時は、
他人の敷地に入ってでも、国人を探すし、
彼の描いた絵に泥を塗り付けたり、
やりたい放題(笑)。
観ているこちらにしたら、
そんな事をしたら、国人が困るよと言いたくなるけれど、
そういう性格なのだから仕方がない(笑)。


そして、京マチ子さんが、
そういう激しい女の役にピッタリで。
京さん以上に、この役にハマれる女優さんって
いるんだろうかってくらい。
好きだなぁ。


男の嫉妬も凄い。
新城ノ小楠は、どんなに頑張っても
国人と同じような作品が作れず、苛立つ。
それはもう、国人が天才すぎるだけで、
新城ノ小楠に才能が無いわけじゃない。
真似しようったって、できるもんじゃないというだけ。


あんな古い時代に、
大きな大仏を作るって、
どれだけ大変だったのかと、その苦労を思う。
今なら、コンピュータで設計してしまいそうだけど、
全ては手作業。
それでも、銅にに混ぜる鉛の量だとか、
重さに耐えられるような手の形だとかが、
ちゃんと研究されている。
本当に凄い事だと思う。


奈良の大仏様は、
中学の修学旅行以来、
行っていない。
これを観ると、直接この目で見たくなる。
特に国人が工夫したという手の形を、
確認したくなる。


評価 ★★★☆☆

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