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「歌ごよみ お夏清十郎」 [映画]

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〔1954年/日本〕


姫路の米問屋・但馬屋の一人娘・お夏(美空ひばり)は、
手代の清十郎(市川雷蔵)に惚れているが、
清十郎は仕事一筋の堅物人間。
お夏の気持ちを知ってか知らずか、
真面目な態度を崩さない。


奉行所から但馬屋に、
米の買い付け金として五百両が届けられた。
主人の九右衛門(香川良介)は、
このお役目を喜び、
金を土蔵にしまうが、
もう一人の手代・勘十郎が、
その金を盗み、
さらにその罪を、清十郎になすりつけてしまう。


清十郎は島流しの刑となり、
但馬屋は、
勘十郎と、商売敵の近江屋の策略で、
潰されてしまう。


流刑島でその事を知った清十郎は、
島を脱獄し、
お夏の元へ駆けつけるが・・・。





市川雷蔵さんと、美空ひばりさんの共演って、
私には初めてで、
なんだかとても珍しい気がして、
興味深い気持ちで観始める。


私は五社協定というものの、
明確な定義が分からないのだけれど、
雷蔵さんって、
コテコテの大映の人だと思っていたし、
大映以外の映画に出ているなんて
思った事もなかった。


ウィキペディアによると、
「新東宝制作」とある。
そういう事もあったんだと、
ちょっと驚いている。


美空さんは、大きな米問屋のお嬢様で、
雷蔵さんは店の手代。
しかし、雷蔵さんの美しさは世間で評判、という役柄。
確かに、この映画の雷蔵さんは美しい。
堅物一本槍というのが、勿体ないくらい(笑)。
美空さんが惚れるのも無理はない。


ちょっと残念なのは、
お夏と清十郎が、
深く愛し合っているという事実を表す場面が無かった事。
お夏の気持ちは分かるとして、
清十郎の気持ちが今一つ分からない。
お夏を女として好きなのか、
主従関係からの気持ちなのかが。


だから脱獄した理由も、
但馬屋を心配しての事なのか、
お夏の身を案じてなのかが掴めなくて。


この映画はハッピーエンドだけれど、
元の話は違うらしい。
別タイトルが「お夏狂乱」というくらいで、
清十郎を失ったお夏は、
精神の均衡を崩してしまうという事だ。


美空さんが歌う場面が3か所ある。
公開時、彼女は17歳。
相手役に雷蔵さんを持ってきた、
アイドル映画と考えた方がいいのだろうか。
2人の質感がまるで違うのはご愛嬌(笑)。


評価 ★★★☆☆

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