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「君を想って海をゆく」 [映画]

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〔2009年/フランス〕


クルド難民の17歳の少年・ビラル(フィラ・エヴェルディ)は、
家族でロンドンに移住してしまった
恋人・ミナ(デリヤ・エヴェルディ)を追って、
イラクからフランスまでやって来た。


イギリスまで、あと少し。
しかし、トラックに隠れ、
密入国を試みるも失敗。
ビラルにとってドーバーは
とてつもなく広い海峡に思える。


これはもう、泳いで渡るしかない。
そう考えたビラルは、
市民プールで水泳のレッスンを受ける決意をする。


コーチは、シモン(ヴァンサン・ランドン)。
彼はかつて、金メダルを取った事もある実力者だったが
今は落ちぶれ、妻とも離婚の話し合いの最中。
彼はビラルの目的を知り、
無謀な計画だと、強く反対する。


しかしビラルの決心は固く、
また、ビラルを指導してゆくうちに、
シモンの中に父親のような感情が芽生えてくる・・・。





ドーバー海峡を泳いで渡るという話は
たまに聞くけれど、
この映画を観て、
あらためてどれくらいの距離なのか調べてみた。


ウィキペディアによると、最狭間で34キロ。
しかし潮流が速いので、
実際には50~60キロだとの事だ。
時間にして15時間くらい?
現在の成功率は60%との事。


これはシモンでなくても、
反対するだろう。
だって、ビラルが最初にレッスンを受けた時のフォームときたら、
泳げない私が見ても、
クロールの体(てい)さえなしていないような形だったから。


それでもビラルは考えを変えず、
泳ぎの練習に励むんだけど、
その間に、様々なエピソードが挟まれる。


シモンと妻は、
今まさに離婚しようとしている所で、
荷物を取りにいくとか、そんな会話が続く。
シモンは、過去の水泳の栄光も妻も失い、
とても孤独。


この妻というのが、
とっても優しくて、穏やかで、そして美しい。
だから余計にシモンの孤独が伝わる。
互いに口汚く罵り合って別れるような夫婦だったら、
どんなに楽だろう。


もちろん最大のテーマは移民。
フランスでは、不法滞在者を家に泊めただけで、
かなりな罪になるようで、
シモンがビラルの面倒をみている事を通報され、
警察がやってくる。


色々な考え方はあるけれど、
国が他国の人を受け入れるのは、
よほど慎重にしなければならないと私は思う。
メリットもだけど、リスクも重視して、
そして、それをした事によって、
30年後、50年後に国がどのような状態になっているかを
シュミレーションした上で議論した方がいいんじゃないかなぁ。
(そんなもん、私が言わなくたってとっくにしてるんだろうけど)


評価 ★★★☆☆

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