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「猿の惑星 新世紀(ライジング)」 [映画]

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〔2014年/アメリカ〕


前作から10年後。


高い指導力で、
猿仲間から絶大な信頼を受けるシーザーは、
森の中で平和なコミュニティを築いていた。
猿同士の会話の中で時折、
「人間はどうしているんだろう、まだ生存しているのか」と
話題に上る事もあったが、
それも彼らには関係の無い事。


ところが、そんなある日、
シーザーたちの森に人間がやって来る。
人間はウィルスにより、
90%が滅んでおり、
残った人々も、身をひそめるように暮らしていたのだ。


彼らは、古いダムを再稼働させ、
人間の町に電気を送りたいと考え、
森にやって来た。


しかし、久し振りに人間に会った猿たちは驚き、
両者の間に緊張感が走る。


それでも、人間の代表マルコム(ジェイソン・クラーク)は、
自分たちに悪意のない事を示し、
平和主義のシーザーと、
次第に心を通わせるようになる。


ところが、猿の一人で好戦的なコバは、
シーザーとは別の考えを持ち、
事態は急展開してゆく・・・。





凄いなぁ、猿たち。
人間の知能に猿の身体能力を合わせたら、
人間が勝てるわけないじゃないか。


逆に、人間の情けなさったら。
全てを失い、
身を寄せ合うように廃墟で暮らす様は、
栄華を誇っていた面影すらない。
弱い。
弱すぎる。


地球上で、
高度な知能を持っているのは人間だけ。
そんな風に胡坐をかいている人間には、
考えさせられる内容。


そして、平和に暮らしていたはずの猿たちも、
知恵を付ければ付けるほど、
それぞれの性格が顕著となり、
争いを好む者も出てくるという皮肉。
生き物とは、
かくも争いを好むものなのかと、
本能の恐ろしさを見る思い。


シーザーが争いを嫌う理由に、
少し笑った。
(笑う場面じゃないけど、一人勝手に)
「戦争は、今まで築いたきた物を無にしてしまう」って、
私が戦争を反対する時、
一番に思う事だし、
レビューにも時々書いている事、そのままじゃないか。


猿が人間に近付いたからか、
私の知能が猿並みなのか(笑)。


この物語が続いていったら、
最後は1968年の「猿の惑星」に繋がって、
人間の知能が退化し、
猿と立場が逆転するのであろうか。
「有り得ない話ではないな」と、
本気で思えてくる。


評価 ★★★★☆

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「柘榴坂の仇討」 [映画]

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〔2014年/日本〕


安政十七年。
井伊直弼(中村吉右衛門)に仕える事となった、
彦根藩士・志村金吾(中井貴一)は、
直弼のその人柄を心の底から尊敬し、
直弼の為ならば、命を投げ出しても惜しくないとさえ
思うようになる。


ある日、志村が直弼の警護あたりながら、
桜田門外の坂に差し掛かった時、
暗殺集団の襲撃を受け、
直弼は刺し殺される。


自分の力が足りなかったせいだと、
志村は自分を恥じるが、
切腹を許されず、
その代り、逃亡した5人の刺客を
1人でもいいから捕らえて、
その首を持ってこいとの命が下る。


その日から、志村の5人を探す日々が始まるが、
4人は捕らえられたり、死亡したりで、
最後の1人・佐橋十兵衛(阿部寛)だけが残る。


そうこうしているうちに、
時代は江戸から明治に変わり、
仇討禁止令が発布され、
志村の佐橋探しは意味のないものになってしまう・・・。





尊敬する井伊直弼の仇を、
13年も探し回る武士の話なのだけれど、


彼を、サムライの魂を忘れない、
男気溢れる人物と取るか、
依怙地な変わり者と取るか、
私には微妙な感じ。


というのも、
彼は、仇を探している長い間、
生活を嫁に頼り切って、
今で言う所のヒモ状態らしい。


彼の嫁は、
料理屋のウエイトレス(とは言わないだろうが(笑))のような事をしながら、
懸命に夫を支えているけれど、
私にはそれが違和感。


サムライとはそういうものだと言われれば、
返す言葉もないが、
そんな事ってあり?
私だったら、文句を言ってしまいそうだ。
武士の妻にはなれそうにもない(笑)。


その妻を演じる広末涼子の演技は、
健気な感じがよく出ていて、さほど悪くなかった。
「おくりびと」以来、
彼女が出演する映画を観る度に、
「不安材料来た~」と思う癖がついてしまっている(笑)。
実際は「おくりびと」以外はそれほど悪くないんだけど、
癖というのは怖いわ。


それから、時代が明治に変わって、
男たちの殆どが髷を落とし、
洋装になったというのに、
そんな中、一人ちょんまげで刀を差している志村の姿は、
申し訳ないけれど、まるでコント。
タイムスリップ映画でよくある、
過去からやって来た人みたい(笑)。


そういえば、
阿部寛のちょんまげが、
彼の顔に合っていないのが可笑しかった。
あの濃い顔は、
どう見ても江戸時代の武士のそれではなく、
古代ローマ人を演じる方がピッタリだな、って(笑)。


もっと真面目に観ないと駄目かな。
でも、思ってしまったのだから仕方がない。


評価 ★★★☆☆

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「水曜日のエミリア」 [映画]

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〔2009年/アメリカ〕


弁護士見習いのエミリア(ナタリー・ポートマン)は、
既婚の上司・ジャック(スコット・コーエン)と恋に落ち妊娠、
ジャックは離婚し、彼の妻となる。


しかし、生まれた女の子・イザベルは、
生後3日で亡くなってしまい、
エミリアはその事をずっと引きずったまま、
完全に立ち直れてはいない。


また、ジャックには8歳の息子・ウィリアム(チャーリー・ターハン)がいたが、
なかなかエミリアに懐かず、
さらにウィリアムを学校に迎えに行くと、
他の母親から「略奪女」という白い目で見られ、
針のむしろのよう。


エミリアのせいで離婚に追い込まれた
ジャックの元妻・キャロリン(リサ・クドロー)は、
ウィリアムを愛するあまり、
エミリアのウィリアムへの接し方を
ヒステリックに責める。


何もかもが上手くいかない。
落ち込んだエミリアは、
イザベルの死について隠していたある事実を
夫に打ち明ける・・・。





ナタリー・ポートマンが主演だから、
彼女に思い入れもできようってもんだけど、
これが現実なら、
状況はかなり厳しいんじゃないのかな。


映画の中の不倫は、
描き方によっては応援してしまう場合もあるけれど、
それは大抵、結婚生活が破綻しているとか、
(ジャックは、妻と上手くいっていないみたいな事を言うけれど、
それはあくまでも彼の自己申告であって、
客観的に観て、不倫に走るほど不仲だとは思えない)
不倫相手の妻(夫)に、
何か重大な問題(暴力など)があるとか、
そういったケースだものね。


エミリアとジャックは、
出張先のホテルで一線を越えてしまう。
2人とも明らかに恋に酔っている。
2人の恋愛を応援できるだけの要素が
殆ど無い。


そして一番の犠牲となるのが、
8歳のウィリアム。
彼は大変に利発な子で、
洞察力が鋭い。
この映画の、もう1人の主人公と言える。


ウィリアムが私立の学校の入学試験に落ちた時、
彼の目の前で、
キャロリンがエミリアを罵る場面は
観ていられなかった。
「あなたのせいで受験に失敗したのだ」、と。


受験の失敗は、
本当に誰のせいでもなく、
落ちた理由さえ分からない場合が殆ど。
それを8歳の子供の前で、
大人たちが言い争うなんて、言語道断。


そんなこんな、色々あるけれど、
ウィリアムが次第にエミリアに懐いてゆく過程には
ホッとする。


エミリアを罵っていたキャロリンも、
ラストには、彼女に最高のプレゼントをくれる。
(物ではなく、形としての)
みんな少しずつ誰かに支えられて、
誰かを支えて生きているのだと分かる。


評価 ★★★☆☆

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「モスラ」 [映画]

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〔1961年/日本〕


太平洋を航行していた玄洋丸は、
大きな台風に巻き込まれ、
たった4人の生存者がインファント島で救助される。


インファント島は水爆実験が行われていたが、
4人の健康状態は良好で、
核の影響は何も受けていないようだった。


彼らはその理由について、
島の原住民が飲ませてくれた赤い液体のおかげではないかと言う。
無人島だと思っていた学者たちは驚き、
調査隊が派遣される事になった。


島に着いた学者の一人・中条(小泉博)は、
不気味な植物の蔓に絡まれ、
もがいていたところ
体長30センチほどの双子の小美人(ザ・ピーナッツ)に助けられる。


小美人を使って金儲けを企む
在日の白人は、
インファント島から彼女たちをさらい、
ショーを開く。


すると、小美人を取り戻そうと、
島からモスラの幼虫がやって来る・・・。





「ゴジラ」シリーズを公開順に観ていこうと決め、
全巻揃えている友人からDVDを借りられる事になったと、
「ゴジラ」のレビューで書いたけれども、


大量に届けられたソフトの中に、
よく分からない作品が混じっている事に気が付いた。


この「モスラ」って何だろう。
先日書いた「モスラ対ゴジラ」とは別物なんだろうか。
ネットで調べてみると、
「モスラ対ゴジラ」よりも前に公開されているようで、
モスラ単独の映画らしい。


つまり、元々モスラという怪獣はいて、
後からゴジラと戦わせたという事か。


気になって、早速観てみる。
お話は「モスラ対ゴジラ」から、
ゴジラを引いただけで、
ほぼ同じような展開。


私は、「モスラ対ゴジラ」のレビューで、
ザ・ピーナッツが歌う「モスラの歌」は、
ああいうシチュエーションで歌うのね」と書いたけれど、
あの映画以前に、とっくに歌われていたのだと知った。
本当に知らない事が多すぎる。


「モスラ対ゴジラ」で、
ザ・ピーナッツをバニティバッグに入れずに、
鳥籠のような物に入れてあげたらいいのにと書いたら、
本作では本当に鳥籠に入れられていて笑った。


まるで囚われの身のようだけれど、
蓋をすると真っ暗になってしまうバッグに入れられるよりは、
ずっといいでしょう。


舞台は日本だけでなく、
外国に移る(架空の国だけど、どう見てもアメリカ)。
すごいよ、ワールドワイドだ(笑)。
摩天楼(ニューカーク市と言っていたような)は、
モスラが暴れるせいでめちゃくちゃ。
日本の怪獣が海外で暴れるという展開が、
なんだか面白かった。


評価 ★★★☆☆

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「忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻」 [映画]

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〔1959年/日本〕


元禄14年。
勅使の接待役を仰せつかった浅野内匠頭(中村錦之助)は、
指南役の吉良上野介(進藤英太郎)に、
作法についての教えを乞うが、
手酷い扱いを受け、
ついに、江戸城松の廊下において吉良に切りかかる。


浅野は即日切腹、
しかし吉良にはお咎め無し。
そんな不公平な裁量に、
家臣たちの不満が募る。


大石内蔵助(片岡千恵蔵)は、
討ち入りの為の準備を進めるが、
表向き、遊郭で遊び呆けるという
カムフラージュで世間の目を欺く。


四十七士の一人・岡野金右衛門(大川橋蔵)の
恋人・おたか(美空ひばり)は、
「間者になり、吉良邸の様子を探ってほしい」と頼まれ、
吉良家の女中となる・・・。





3時間の長い映画。
そのせいか、
「櫻花の巻」と「菊花の巻」の二つの章で成り立っている。


この長さのおかげで、
吉良上野介の底意地の悪さが、
実に丁寧に描かれていて、
今まで観た忠臣蔵で一番ムカつく。


忠臣蔵では知られたエピソードなのかもしれないが、
吉良は浅野内匠頭に、
「勅使を迎えるのは質素で良い。畳替えなど必要ない」と言う。
しかし、実は畳替えが必要な事が前日に分かり、
浅野の家臣たちは、
街中の畳屋を集め、夜を徹して畳替えを行う。


さらに、当日の式服も嘘を教える。
なんだよ、この女の腐ったような
陰湿な苛めは。
しかも、そのきっかけとなったのが、
浅野家からの貢物が安物だったからという、
チンケな理由。
これって史実なんだろうか。


ただ、観ていて一つ思った事。
こんな事を書くと怒られそうだけど、
浅野サンも、畳替えの事で、
一度吉良に騙されているのに、
なぜ式服の件で、また騙されるかなぁ。
念の為、別の誰かに確認するとか、
できなかったんだろうか。
昔の事だから、よく分からないけれど。


吉良の家に女中として入り込んだ美空ひばりさん。
彼女は吉良に気に入られ、
ある日、家臣から、「今夜、吉良様の夜伽をするように」と言われてしまう。


ヤバい。
美空サンの貞操の危機!(笑)
しかし、その夜、討ち入りが決行される事を美空サンは知っている。
彼女は、少しだじろぎながらも、
「今夜は無理ですが、明晩絶対に」とお答えに。


明日、吉良は死んでるもんね、と思いながら観ると、
胸のすくシーンであった。
女中だからって、何でも思い通りになると思うなよってね。


評価 ★★★☆☆

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