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「ラストベガス」 [映画]

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〔2014年/アメリカ〕


マイケル・ダグラス
ロバート・デ・ニーロ
モーガン・フリーマン
ケヴィン・クラインの4人は、
58年来の友人同士。


1人だけ独身を通してきたダグラスが、
ついに若い花嫁をもらう事となり、
バチェラーパーティを行おうと、
ラスベガスに招集をかける。


フリーマンは日頃、
息子から厳しく健康管理され、
ベガスに行くなどと言えば反対されるのは必至、
息子の目を盗んで窓から出発。


クラインは、
理解ある妻から、
バイアグラと避妊具を渡され、
「何をしてもいいけど、私には言わないで」と言われ、
ノリノリで参加。


しかし、デ・ニーロは、
ダグラスとの確執があり、
最初から仏頂面。
事あるごとに、ダグラスに嫌味の連発。


この年寄りたちのバチェラーパーティは
どうなるのか・・・。





ラスベガスでバチェラーパーティといえば、
最近の映画では「ハングオーバー」を思い出すけれど、
これはその爺さん版といった趣き(笑)。


いつの時代も、
どこの国でも、
金銭的に成功した男が、
次に求めるのは若い女らしく、
ここに出てくるマイケル・ダグラスも例外ではない。


まぁ、この面子なら、
この役はダグラス以外には考えられないのは、
多くの方が同じ意見だろうとは思うけど(笑)。


そしてベガスといえばカジノ。
割と最初の場面で、
めっちゃ羨ましいような事態が起こるのよ。
いいなぁ、
軍資金があれだけ出来れば、
ラスベガスは天国だ(笑)。


その金に物を言わせて、
彼らはビキニコンテストの審査員をしたりする。
うーん、楽しそう。
どんな子が出てきても点数高め(笑)。
そりゃそうだ、
彼らの年を考えれば、
どんな女の子でも綺麗に見えるだろうよ(笑)。


ダグラスとデ・ニーロの確執の理由やオチが
ちょっと弱いけど、それは仕方がない。
結局はみんな
分別を持った大人って事だ。
高齢者にありがちな、
非常識な行動を取られるよりは、
ずっと好感が持てる。


高齢化の問題は、
先進国共通の悩みなんだろうか。
ただ、これを日本人がしたらどうだろう。
人にもよるだろうけれど、
スマートに遊べる高齢者って少ないかもしれない。
西洋人だから、カッコよく見えるのかもなぁ。


もし私が年を取って、
健康に不安が出てきたとしても、
やっぱりしたい事を我慢するのは嫌だな。
自分がよほど苦しいなら別だけど、
普通に動けるなら、
好きな事をしたい。
たとえそれで寿命が縮まったとしても構わない。


タイトルに「ラスト」なんて言葉が付いてるけど、
爺さんたち、
最後なんて言わずに、
毎月でも、毎年でもベガスで遊べばいいよ、と
思ったりする。
暇は有り余ってそうだから、
あとは経済的に許されるならばって話だけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「娘と私」 [映画]

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〔1962年/日本〕


大正14年。
売れない作家・岩谷士郎(山村聡)は、
フランスで結婚、
その後、妻・エレーヌ(フランソワーズ・モレシャン)は女の子を出産、
士郎は麻理と命名する。


エレーヌと麻理を伴って帰国した一家。
麻理はすくすくと育つが、
士郎の小説は中々売れず、生活は苦しい。
さらにエレーヌが重い病に罹ってしまい、
フランスで療養するため、
1人帰国する。


男手一つで麻理を抱え、途方に暮れた士郎は、
叔母の家に世話になる事に決め、移り住む。
麻理が近所の子どもたちから、
「合いの子」とはやされ、喧嘩ばかりしていると知った士郎は、
彼女を寄宿学校に入れる事を決める。


ある日、フランスから便りが届いた。
それはエレーヌの死を報せるもので、
士郎は悲しみにくれる。
また、麻理が肺炎に罹り、
やはり娘は手元に置いた方がいいと判断した士郎は、
寄宿学校を辞めさせる。


その後、周囲のすすめで、
何度か見合いした士郎は、
千鶴子(原節子)と気が合い、結婚を決める。


麻理も千鶴子によく懐き、
全てが上手くいくかに思えたが、
戦争の影が徐々にせまりつつあり・・・。




たしか中学時代かと思うのだけれど、
自宅にめちゃくちゃ古い本、
獅子文六の「娘と私」があり、
なんとなく手に取り、
読んだ記憶がある。
細部は忘れてしまったけれど、
フランス人とのハーフの娘を育てる作家のお話しとだけ覚えている。
映画化されているのは最近知って、
観たいと思っていたので、
願いが叶って嬉しい。


映画の方はといえば、
タイトルは「娘と私」だけれど、
娘の話というより、
岩谷士郎という作家の人生を描いた、
小さな大河ドラマといった風に受け取れた。
この岩谷は、獅子文六自身と考えていいのだろうと思う。


まず、こんな古い時代に、
日本人の売れない作家が、
フランスで、フランス人の娘と結婚した事に驚く(笑)。
妻・エレーヌは校長先生の娘だというから、
そう育ちも悪くないであろうし、
どんなきっかけで知り合ったのか、
東洋の男との結婚に、
周囲の反対はなかったのか、など、
つまらない事が気になる馬鹿な私(笑)。


エレーヌが亡くなったあと、
麻理を寄宿学校に入れると決めた士郎に、
「そりゃないよ」とちょっと思う。
色々あるだろうけれど、
やっぱり、父親一人では大変なのが一番の理由ではないかと、
そんな風に感じてしまう。


その後、士郎は再婚するわけだけど、
原節子演じる千鶴子とのやり取りが、
映画では結構長い。


千鶴子は一所懸命に、
士郎と麻理に尽くすのだけれど、
気を使い過ぎて、
士郎にウザがられて、
最初はしっくりいかない。
やっぱり、この士郎という人は、
何事にもドライなのだと再確認。
妻が寝ないで自分を待っているなんてのが、
耐えられないらしい。


夫婦の、少し生々しい会話もある。
こんな、家族を描いた映画で、
そこだけ浮き上がって感じられる場面。
やっぱりこれは、「娘と私」じゃないだろう(笑)。


それでも、時間をかけて、
夫婦らしく、家族らしくなってゆく士郎と千鶴子と麻理。
大人になった麻理を演じる星由里子が、とっても綺麗。


ただ、
戦前に、幸せに暮らす人々のお話しを観る度に、
「この幸せも、戦争で一度リセットされてしまうんだよなぁ」と
必ず考えてしまう。
戦争はこの映画の主題はではないけれど、
本当に馬鹿馬鹿しく、くだらなくて、
いい事なんて一つもないと実感する。
この先、永遠に、
日本に戦争が起こりませんようにと願うばかり。


評価 ★★★☆☆

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「魔法使いの弟子」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


遠い遠い昔。
善の魔法使いのマーリンは、3人の弟子と共に、
悪の魔法使いモルガナと戦ってきたが、
弟子の1人、ホルヴァート(アルフレッド・モリーナ)に裏切られ、
殺されてしまう。


他の2人の弟子・バルサザール(ニコラス・ケイジ)と、
ヴェロニカ(モニカ・ベルッチ)は、
モルガナとホルヴァートを倒すが、
ヴェロニカは自分の体にモルガノを吸収した状態のまま、
ホルヴァートと共に、入れ子の人形に封印される。


バルサザールはマーリンの後継者を探し続けてきたが、
相応しい人間に出会えないまま、
1000年の時が過ぎる。


そして、現代ニューヨーク。
冴えない大学生・デイブ(ジェイ・バルシェル)に出会った
バルサザールは、
彼こそがマーリンの弟子になる人間だと気付き、
強引に自分の弟子にし、
魔法を仕込もうとする。


そんな中、封印していた人形の蓋が開いてしまい、
ホルヴァートが姿を現す・・・。





ストーリーは、そこそこだけれど、
CGがとても良くて、
各々の場面で見入ってしまった。
こういった物を観ていると、
CGにも、好きなのと、そうでないのがあるんだなぁと
あらためて思う。


チャイナタウンのお祭りの龍が、
魔法で本物の龍になったり、
入れ子の人形(マトリョーシカみたいなもの)から、
無数のゴキブリが出てきて(汚くてすみません)人間になったり、
なんだろう、なんだか良いんだな。


ディズニー映画だけあって、
ダークな中にも可愛さが見える。
デイブが、片思いの女の子を、
自分の研究所に招待した時、
覚えたての魔法で、
モップやスポンジに掃除をさせる場面があるんだけど、


それって、「ファンタジア」の中のシーンを
実写化したものだと思っていいのかな。
ディズニーらしい、
楽しい場面で、
ワクワクする。


色々なレビューを読んでいると、
その、デイブ役のジェイ・バルシェル君の評判が
あまり良くないようだ。


確かに、カッコいいという感じではないけどね、
まぁ、ヘタレな大学生という役だから、
あんなもんじゃないの?と思う。


デイブが10歳の頃のシーンがあるんだけど、
その時の少年はとっても可愛い。
あんな可愛い子が、
大学生になるとああなっちゃうの?って、
ちょっとギャップはあった(笑)。
まぁ、そんな事どうでもいいんだけど。


ニコラス・ケイジの未見の作品が観られたから、
それだけで満足。


評価 ★★★☆☆

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「名探偵アジャパー氏」 [映画]

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〔1953年/日本〕


ある日、死刑囚“ダバオの狼”が脱獄した。
彼は、かつて自分を裏切った山並卓造(柳家金語楼)への
復讐心に燃えているのだ。


しかし、今のままではすぐに捕まってしまう。
彼は高名な整形外科医・大家荘田博士(古川緑波 )を誘拐し、
自分を整形させる。


急に姿を消した博士を心配した妻と娘は、
私立探偵・阿地彌八(伴淳三郎)に捜査を依頼するが、
阿地の失礼な態度に腹を立てた妻は、
別の女流探偵・工藤常子(清川虹子)を雇う。
かくして、阿地と常子の2本立てで捜査が始まる。


一方、ダバオの包帯が取れる日が来た。
すると、そこに現れた顔は、
偶然にも阿地にソックリ(伴淳三郎・二役)。


阿地は、ダバオの魔手から山並を守ろうとする中、
山並の娘でバレリーナの洋子に惚れてしまう。
さらに、ダバオのアジトに行くと、
手下たちが、阿地をダバオと思い込み、
丁重な扱いをされる。


逆にダバオが山並の家に行くと、
阿地だと思われ、
簡単に部屋に通されてしまう・・・。





稀代の悪党が、
整形手術により、
事件を捜査している探偵とソックリになってしまうという、
コメディ以外の何ものでもない話を、
伴淳三郎さんが、一人二役で頑張る。


馬鹿馬鹿しいのは分かってはいるけれど、
少し笑ってしまう。
今ではテレビでも見られなくなったような
コントのような場面がとっても多い。


伴さんが、
バレエスタジオで、
多数のバレリーナたちと踊る場面が好き。
当然、上手く踊れるはずもなく、
モタモタモタモタしているのだけれど、
その様子がなんだか可愛くて。


しかし、そんなくだらないコメディでも、
伴さんは、
悪党役と探偵役を、
きちんと演じ分けられているように見えた。


探偵の時は、人の好さそうな表情を、
そして悪党の時は、強面で。
やっぱり上手い俳優さんだったんだと感心する。


ラスト、ある意外な事実が分かり、
ダバオの狼は驚く。
映画や小説では、たまにある展開だけど、
これを言われると、
どんな悪人でも、必ず動揺する。
それは人間が持つ、
大切な本能だと思う。


「アジャパー」とタイトルに付く映画は、
以前書いた、「アジャパー天国」と本作だけかと思っていたら、
「アジャパー氏 夢の国へ行く」というのがあると、
書かれている方がいた。


検索してみても、
この「夢の国」ついて書いてあるサイトは、
他にはないのだけれど、
もし本当なら観てみたいなぁ。


評価 ★★★☆☆

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「ブルージャスミン」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


ニューヨークで超セレブ生活を送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、
投資家の夫・ハル(アレック・ボールドウィン)の逮捕・自死により、
全財産を失い、
サンフランシスコに住む妹・ジンジャー(サラ・ホーキンス)の家に
転がり込む。


いつまでも虚栄心を捨てられないジャスミンは、
ジンジャーの庶民な暮らしや、
彼女の恋人で粗野なチリ(ボビー・カナヴェイル)を見下し、
いつも着飾っている。


チリが歯医者の受付の仕事を紹介するも、
そんな事はできないと渋り、
しかし、背に腹は代えられず、
仕方なく働き始める。


こんな生活、私じゃないわ!
そう信じるジャスミンは、
インテリアコーディネイターの資格を取るべく、
学校に通い始め、
そこで知り合った女性から誘われたパーティに行く。


すると、客の一人で、
エリート外交官のドワイト(ピーター・サースガード)と知り合い、
一気に気分が上がる。
彼と結婚できれば、
もう一度セレブ生活に返り咲く事ができると・・・。





セレブ生活から一転、
庶民の生活へ。
そりゃあブルーにもなるだろう。
タイトル通り、「憂鬱なジャスミン」だ。


冒頭から、彼女の見栄っ張りが強調される演出に
感心する。
ウディ・アレン監督、なんて上手いんだろう。
ほんの短いシーンで、
この先、自分の虚栄心に苦しむであろう、
ジャスミンの性格を描いてみせる。


ジャスミンの現在の貧乏生活と
セレブ時代の生活とが交互に描かれて、
どちらも大変に見応えがあるし、
対比がしやすい。


確かにね、
一度セレブの味を覚えてしまったら、
中々、元には戻れないのかもしれない。
ジャスミンは、夫が逮捕されたあと、
一度はニューヨークの靴屋さんで働いた事もあるらしい。
しかし、そこへ、
今までお付き合いしてきた金持ち連中が買い物に来た時の屈辱を、
めっちゃ悔しそうに話す。


その気持ちは分からなくもないな。
同じ経験があるわけじゃないけど、
今まで、女王様然としてきた自分が、
いきなり相手の足に靴を履かせるなんて、
そりゃあ、誰だって嫌だろう。


そういった意味で、
知った人のいないサンフランシスコに移住したのは、
正解だと思うけど、
そんな知らない土地でも
虚栄心を捨てられないのが、
彼女の悪い所。


もう庶民でいいじゃん、
地道に暮らしなよ、と思うけれど、
それはどうしても無理なようで(笑)。


セレブを捨てられないジャスミンは、
とっても痛々しいけれど、
そのファッションは、本当に素敵。


着ている物もそうだし、
それから、バッグはエルメスのバーキンで、
それがとっても似合っている。
これだけは没収されなかったらしい(笑)。


そして分かる、ある真実。
この場面があって、
物語が締まったのだと思う。


あと気になったのが薬。
彼女はとにかく、ひっきりなしに
精神安定剤を飲んでいる。
しかも酒で流し込む。


あぁ、良くないよ、薬。
そんなにやめられないものなのか。
今、日本でもミュージシャン逮捕で大騒ぎになっているけれど、
辛くても薬に頼ってはいけないわ。
生きるのが辛いのはみんな一緒。
なんとか自分で折り合いを付けていかないと。
って、私も他人にエラソーな事言えるほど偉い人間じゃないけどね(笑)。


評価 ★★★★☆

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