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「クリスマス・キャロル」 [映画]

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〔1970年/アメリカ〕


19世紀のロンドン。
クリスマスイブで人々が浮かれている中、
偏屈で意地悪な老人・スクルージ(アルバート・フィニー)は、
そんなものには興味を示さず、
ひたすら、自分が経営する店の金勘定をしていた。


店員のボブ・クラチット(デイヴィッド・コリングス)の
休暇は明日だけ。
それもスクルージにとっては、渋々与えた休みだった。


閉店時間となり、スクルージは家路を急ぐが、
その途中でも、金を貸した相手への督促だけは忘れない。
人々はそんな彼を嫌っている。


家に着いた彼は、
かつて共同経営していて
今は亡き友人・マーレイ(アレック・ギネス)の
幽霊に会い驚愕する。
マーレイは、今夜3人の幽霊がお前の元を訪れ、
過去・現在・未来の姿を見せるだろう、と言う。


マーレイの言う通り、
過去を見せる最初の幽霊がやって来た。
過去にあった悲しい出来事を
あらためて見せつけられ、
落ち込むスクルージ。


そして現在。
普段、安月給でこき使っているボブの家での、
クリスマスパーティを覗き見た。
貧しいながらも幸せそうな家族。
ボブは、スクルージの為に、
祈りを捧げてくれている。


そして未来。
人々が、狂喜乱舞している。
なんとスクルージが死んだ事を、
皆が喜んでいるのだ・・・。





ディケンズ原作の
「クリスマス・キャロル」は、大体の話は知っていたけれど、
通しで観たのは初めて。


正直、私はスクルージという主人公の老人が、
可哀相でならなかったよ。


彼は、確かに性格は悪いけれども、
悪人ではない。
誰にも迷惑を掛けずに生きているし、
法律違反もしていない。
(人に貸した金に法外な利子を付けているなら問題だけど、
 そのあたりは描かれていない)
彼を悪人というなら、
もっと悪い人はいっぱいいる。


最初の幽霊が見せた過去の出来事を知ると、
余計に可哀相になる。
子供時代、彼は親から冷たくされたというセリフがある。
それは彼には何の責任も無い事じゃないか。


未来の出来事も酷い。
彼が死んで、人々は大喜び。
その殆どの人は、
彼から借りた金を返さずに済むからだという風に、
私には見受けられた。
借用書か何かをちぎって、紙吹雪のように飛ばしているし。
それってどうなのよ?
お金を貸してくれてありがとうという気持ちは
微塵もないのか。
彼らの方がよっぽど金に汚い。


ただ、まぁ、
人から嫌われるよりは、好かれる方が、
気持ちがいいのは確かな事で、
幽霊から見せられた映像により、
スクルージは、とってもいいお爺さんになる。


みんな彼の変貌ぶりに驚き、
そして受け入れる。
つまりこの話は、
大悪党ではなく、
ちょっと意地の悪いお爺さんに、
「もっと柔軟になれば、人から好かれますよ」と教える話だと
考えればいいんでしょ?
(違う?(笑))


評価 ★★★☆☆

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