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「隣人13号」 [映画]

rinjin13gou.jpg
〔2004年/日本〕


小学校時代、壮絶なイジメにあっていた村崎十三(小栗旬)。


彼は、ある文化アパートの1階13号室に部屋を借りる。
実はその真上の部屋こそが、
かつて彼をいじめた赤井(新井浩文)と、
彼の妻・のぞみ(吉村由美)、幼い一人息子が住む部屋なのだ。


さらに十三は、赤井が大工として働く現場で、
共に働き始める。
赤井は十三の事は忘れていたが、
幼い頃からの性格は大人になった今もそのまま、
十三をいじめ始める。


しかし、実は十三の体内には、
十三と別人格の“13号”(中村獅童)がおり、
復讐の機会を狙っていたのだ。


まずは、赤井の部屋に忍び込み、
部屋を物色し、
トイレを汚し、
盗聴器を仕掛ける。
準備は整った。


絶好のチャンスがやって来る。
のぞみと親しくなった十三は、
赤井の息子を一日預かる事になったのだ。


しかし、十三の中の13号は、
十三の力では制御できないくらい大きくなってゆき、
ついには十三を乗っ取ろうとするようになる・・・。





この映画を、
サイコホラー物の一つとして、
その部分を評価すればいいのかもしれないけれど、
とてもじゃないけど、
平静な気持ちでなんて、観られはしない。


いじめの場面がひどすぎて、
心に重い物が乗っかったようになる。
別に私は自分が優しい人間だとも、
善人だとも思っていないし、
底意地が悪いのも、よーく自覚してはいるけれども、
でも、これはひどい。


教室であんないじめが繰り返されているのに、
教師は気付かないんだろうか。
まぁ、気付かないんだろうな。
そうでなかったら、
イジメによる事件が、
これほどしょっちゅうニュースになるはずがない。


しかも、いじめていた赤井という男、
大人になっても、
トイレに十三を閉じ込めるような、
馬鹿を繰り返し、
大工仲間に、
「いい年して、子供みたいな事はよせよ」と
たしなめられている。
本気で、どこか足りないんじゃないのかと言いたくなる。
(言葉が悪くてごめんなさい。でも観れば分かります)


こんな男にも家庭があり、
そこそこ幸せにやっている。
家庭人としては普通で
妻子に暴力を振るう様子は見えないけれど、
きっと十三にしたら、
それさえも、苛立ちの原因になるような気がする。


十三が“13号”という別人格を、
自分の中で作り出すのも、分かる気がするわ。
そのままの自分でいたら、
いつか自分が壊れてしまう。


だからといって、復讐が良いとは言わないけどね。
まして、本人じゃなくて、
家族に手を出すのは、やっぱり考えものだ。


こういった映画で、
「いじめをすれば、いつか自分に返ってくる」って、
子供たちに警鐘を鳴らす事ができないものかなと思ったりもしたけど、
無理かもしれないね。
自分を振り返っても分かるけど、
子供の時、そこまで将来の事を考えてはいなかった。
それに、いつか復讐されるかもなんて
想像力が働く人間なら、
最初から、いじめなんかしはしない。


ラストは難解。
あまりにも白黒ハッキリした終わり方にして、
いじめか、復讐か、
どちらかに肩入れするような形を取るのを
避けたのかもしれない。
勝手な想像だけど。


評価 ★★★☆☆

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