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「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


モンタナ州で暮らす老人・ブルース・ダーンは、
「100万ドルが当選しました!」という手紙を真に受け、
歩いてネブラスカ州まで賞金を受け取りに行こうとする行為を
何度も繰り返す。


その度に、父を引き戻す事に疲れた、
次男・ウィル・フォーテは、
手紙がインチキだと知りつつ、
ダーンをネブラスカ州まで連れて行く事にする。


若い頃から酒好きで、
母や自分たちを困らせてきた父。
しかも、今は高齢となり、
何を言っても頑固で、他人の言う事には耳を貸さない困り者。


案の定、途中で様々な事があり、
フォーテは、父を怒ったり、なだめたりしながら、
旅を続ける。


ネブラスカ州には、ダーンの生まれ故郷があり、
2人は途中その村に立ち寄る。


村の老人たちは皆、
ダーンの昔馴染みで、どこへ行っても声を掛けられる。
フォーテはダーンに、
「賞金が貰える事を絶対言ってはいけない」と釘を刺すが、
5分もしないうちに、ダーンはその事を喋ってしまい、
瞬く間に噂が広まってしまう。


金目当てに、
昔の事を持ち出す村人に辟易しながらも、
フォーテはダーンの若い頃の様子を知り、
父を見る目が変わってゆく・・・。





外国のロードムービーを観ていて、
どこからどこまで、と地名を言われても、
感覚が分からないのがいつも悔しい。


例えばこれが日本なら、
○○県から○○県までと言われれば、
その距離や、途中に挟まった県が頭に浮かんで、
ニュアンスが伝わるのだけれど。


本作の、
モンタナ州からネブラスカ州までというのも、
やっぱり分からなくて、
家に帰って、地図で見てみた。
州としては、そう離れてはいないのだけれど、
日本に換算(?)すると、
本州がすっぽり入ってしまうくらいの距離のようだ。
やっぱりアメリカって広い。
そりゃあ、歩いていくのは無理ってもんだわ(笑)。


で、そんな長い距離を、
父と息子が旅するわけだけれど、
普段からしっくりいっているわけではない2人だから、
一筋縄ではいかない。
小さなトラブルの連続だ。


でも、それは序章であり、
父の故郷に着いてからの方が大変。
何せ、父に100万ドルが当たったと知った村人の、
金に対する執着ったら。


よく、宝くじが当たっても、
絶対他人に話してはいけないと言うけれど、
その理由がよーく分かったわ(笑)。
金は人を変える、というより、
その人の持っている本質が、
表に現れると言った方がいいのか。


まぁ、それはさておき、


ウィル・フォーテが、
村で少しずつ父の若い時代を知ってゆく過程が良い。
特に、昔恋人だったという、
お婆さんの話なんか、
自分でも親でもないのに、
「あぁ、そうだったんだ」と思ったりして、
どんな老人にも青春時代があったのだと、
当たり前の事を、あらためて思い知る。


考えてみれば、
自分の身内の事って、
知っているようで、案外何も知らない。
自分に向ける顔は、
あくまでも、自分用であって、
他人にどう接しているのか、
さらに、過去がどんなだったのかなんて、
知る由もない。


地味だけど、良い映画だった。
父の青春時代だって、
何も派手な事のない、
どちらかというと暗いもので、
でもそれを殊更に強調するわけでもなく、
淡々と描いてある。
回想シーンなどは一切ないので、
それは観る者の頭の中だけに任される。


父が100万ドルに固執する理由も、
ラスト近くに描かれるのだけれど、
分かるなぁ、その気持ち。
分かる方は多いんじゃないかなぁ。


評価 ★★★★☆

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