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「王将」 [映画]

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〔1948年/日本〕


明治時代。
貧乏長屋の住人、坂田三吉(阪東妻三郎)は、
将棋の天才ではあったが、
金が無い為、
家の仏壇や、娘の着物まで売って、
大会の会費を捻出している。


そんな夫に疲れ果てた女房の小春(水戸光子)は、
一時は娘と心中しようとまで思い詰めるが、
考え方を変え、三吉に付いていこうと心を決める。


三吉は目が悪く、
失明寸前であったが、
彼の将棋の能力を見込んだ眼科医・菊岡(小杉勇)らの
力添えがあり、
目の手術を受け、
ますます将棋道に精進する。


菊岡には夢があった。
それは、東京からしか輩出されていない名人を、
大阪から出したいというもので、
その力があるのは三吉だけだというのだ。


三吉と、最大のライバル・関根(滝沢修)は、
互いに切磋琢磨しながら、
何度も試合を重ねてゆくが・・・。





実在した天才棋士・坂田三吉を、
阪東妻三郎が演じた映画。
以前、三國連太郎でリメイクされた「王将」を観たけれど、
やっぱり阪妻の迫力勝ちかな。


とにかく、
この坂田三吉という人物には、
大変に惹かれるものがある。
実はこの三吉は文盲で、
書けるのは自分の名前(名字ではない)のみ。


これは私の想像だけれど、
それは、時代のせいなんじゃないだろうか。
幼い頃、丁稚奉公に出された彼は、
勉強する機会を逸してしまっただけで、
本当はめちゃくちゃ頭が良いんじゃないかと思う。


周囲の人間にも恵まれていた。
放っておけば全盲になっていた三吉に、
手術をしてくれた菊岡医師。
彼がいなかったら、
三吉はどうなっていた事か。
人の巡り合せの運を思う。


もちろん、女房の小春と娘の玉江は、
三吉の最大の理解者。


玉江は、三吉と関根のある試合で、
負けかけていた三吉が、
苦し紛れに打った手に関根が動揺し、
勝ってしまった事をちゃんと見抜き、
三吉を責めた。


三吉は怒り狂うが、
しかし、ふと我に返り、
玉江の言い分がもっともだと気付く。


うーん、それっていけない事?
不正をしたわけではないのだから、
どんな奇策でも勝ちは勝ちなのでは?
と思う私が間違っているのかな。


ラストは大変に泣ける作り。


勝新太郎が三吉を演じた「王将」もあるようだ。
しかも、小春役が中村玉緒!
いつか必ず観てみたい。


評価 ★★★☆☆