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「トリコロール 白の愛」 [映画]

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〔1994年/日本〕


パリに住むポーランド人の美容師・ヤヌーシュ・ガヨスは、
妻・ジュリー・デルピーから、性的不能を理由に離婚を求められ、
裁判所に出向く。
ガヨスはデルピーをまだ深く愛しており、
復縁を望むが、
デルピーの気持ちは冷え切っている。


行き場をなくしたガヨスは、
物乞いの真似事を始めるが、
ふとしたきっかけで、
同じポーランド人・ズビグニエウ・ザマホフスキーと知り合い、
自殺志願の男の手助けをしてくれないかと頼まれるが、
それは断る。


なんとかポーランドに帰ったガヨスは、
美容師の仕事に見切りをつけ、
ヤクザの用心棒になり、
金を稼ぎ始める。


さらに、デルピーを諦め切れない彼は、
自分の死亡記事を出し、
彼女を自分の葬儀に来るように仕向けるのだが・・・。





「トリコロール」シリーズの3部作の1つ。
もうずっと以前に、「青の愛」を観たのだけれど、
それきりになってしまって、
今頃になって「白」と「赤」を観ようと思い立った次第。


タイトルからも分かるように、
フランスの国旗の3色の意味がテーマのようだ。
この映画の「白」は平等を表しているらしい。
ちなみに「青」は自由、
「赤」は博愛という事だ。


「青」はシリアスなドラマだったと記憶しているけれど、
こちらはなんだかコメディタッチ。


一番驚いたのは、
ヤヌーシュ・ガヨスが、パリからワルシャワに帰る手段。
金のない彼は、
なんと、大きなトランクの中に入り、
ズビグニエウ・ザマホフスキーの手荷物として、
飛行機に乗る。


誰かが旅行に行くと聞いた時、
「鞄に入れて連れていってほしい」などと、
ふざけて言う事があるけれど、
それを実践している形。


前にも書いたけど、
そういった時いつも気になるのが
トイレ問題(笑)。
それから、飛行機の貨物室って、
室温はどうなっているんだろう。
客室のように、適温にコントロールされているんだろうか。
知らないから、いい加減な事は言えないけど。


その後、色々あって、
自分を死んだ事にして、
妻を葬儀に来させるガヨス。
事故死した他人の遺体まで用意する周到さ。
随分また、大胆な行動に出たもので(笑)。
戸籍上、死んだ事になってしまったら、
その後の人生、大変な気がするんだけど。


オチは、私の能力では理解できなかった。
これが「平等」?って感じで。


評価 ★★★☆☆

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「ど根性物語 銭の踊り」 [映画]

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〔1964年/日本〕


タクシードライバーの勝新太郎は、
正義感が強く、曲がった事を見過ごせない性格。


そんな彼の気質に目を付けた3人組の殺し屋、
船越英二、浜村純、ロイ・ジェームスは、
自分のたちの仲間にならないかと言ってくる。


殺し屋とはいっても、
彼らは社会の毒となる悪人を抹殺する仕事を
請け負っているのだ。


勝の最初の殺人は、
金融業の男を、
事故と見せかけて崖から落とし、
焼死させる事。
そしてそれは見事成功する。


次のターゲットは、
麻薬王・マイク・ダニン。
しかし、実はダニンの正体こそ・・・。





タイトルだけ見た時は、
勝新太郎が、商家の丁稚か番頭の役でも
するのかと思ったけれど、全然違っていた(笑)。


変なテイストの映画。
日本が舞台なのは間違いないんだけど、
なんだか無国籍な感じ。
無国籍映画というと、
小林旭を思い出すけど、
勝さんにも、こんな映画があったのね(笑)。


正義感が強いという設定の勝だけど、
タクシードライバーから、
突然殺し屋になるというのからして変(笑)。
人は人を、そんなに簡単には殺せないでしょう。


勝につきまとう、
中華料理屋の出前持ちを
江利チエミさんが演じている。
江利さんといえば、
高倉健さんの奥さんだった人だよね。
調べてみると、この映画は、
結婚している間に作られた作品のようだ。
実生活で健さんの奥さんをしている人が
映画で、勝新太郎とキスしたりしている。
なんだか笑える。


と、ここで思い出した。
ついこの間、中村玉緒さんが「徹子の部屋」にゲスト出演した際、
「勝の命日に、健さんは必ずお花を贈ってくれる」と
言っておられた。
この映画もそうだけど、
私が知らないだけで、
色々な作品で繋がりがあるんだろうなぁ、と思う。


超強力な接着剤を、
列車の車輪にたらして、
転覆脱線させる計画を練るシーンがある。
本当にそんな事が可能なのかは分からないけど、
CGのない時代に、
どんな風に撮ったんだろうと、
ちょっと興味深かった。


でも、それは勝の正義感により・・・
これ以上は書かない(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「永遠の0」 [映画]

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〔2013年/日本〕



祖母の葬儀の席で、
現在いる祖父とは血の繋がりがない事を知った佐伯健太郎(三浦春馬)は、
姉・慶子(吹石一恵)と共に、
本当の祖父・宮部久蔵(岡田准一)について調べる事を思い立ち、
特攻隊員として死んだ久蔵の戦友を訪ねて回る。


しかし、行く先々で久蔵の芳しくない評判を聞かされた健太郎と慶子は、
気落ちし、調査をやめようかとまで思い始める。


そんな中、久蔵の最期を知る人物に辿り着き、
本当の久蔵の姿が見え始める。


久蔵には、
妻と娘の為に死にたくない、という強い思いがあり、
生に執着があったのだ。


彼のそういった思いは、
部下に対する時も同じで、
若い世代を死なせてはならないとの理由から、
航空試験にも「不可」しか出さない。


そんな彼がなぜ、特攻で死んでいったのか。
健太郎が調べを続けてゆくうちに見えてきた理由とは・・・。





「家族の為に死にたくない」
現代では当たり前に言われる言葉が、
臆病者、小心者、腰抜けなどと言われてしまった時代。


当時、本当に宮部久蔵のような人がいたのかどうかは
分からないけれど、
それを口に出すのは、
大変な勇気と強さが必要だったに違いない。


戦争が終わって68年か。
戦争中10歳だった子供が今78歳として、
実際、戦争に行った人は90歳以上?
孫でさえ、40歳を超えている人もいるだろう。
もう、実体験として、
戦争を語れる人は殆どいないわけで、
そうなると、
この映画のように、
孫の代が、手探りのように戦争を調べるしかないわけで。


過去パートがこの映画のメインなのは当たり前だけど、
現代パートで、
合コンの席で、健太郎が友人たちに、
声を荒げるシーンがあり、
それが妙に印象的だった。


友人たちは、特攻隊を、
「自爆テロ」だと言う。
健太郎は、必死に「それは違う」と説明するが、
上手く言えず、もどかしさが募るばかり。
そして、大声を出す事になってしまうのだけれども、


それはもう、どちらも仕方のない事なのかもしれない。
体験していない事を、
人に説明するのは難しい。
まして、健太郎は祖父について調べ始めてばかりの、
いわば、付け焼刃というくらいの知識しか無いのだし。


「自爆テロ」はもちろん間違っているとは思うけど、
間違ってはいても、
「それは良くない事」という認識があるなら、
それはそれで良いのではないかとも思ったりする。
どんな形であれ、日本人は、
「未来永劫、戦争は絶対してはいけない」という意識を
持ち続けていかなければならない。


評価 ★★★☆☆

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「白夜行」 [映画]

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〔2011年/日本〕


昭和55年。
廃ビルの中で、男が殺されているのが発見される。
調べにより男は、近所の質屋の経営者・桐原だと判明。
夫婦仲は冷え切っており、
桐原にも妻にも愛人がいた事から、
事件は早期解決すると思われた。


刑事・笹垣潤三(船越英二)が
桐原の家を訪ねると、
10歳になる息子・亮司が母のアリバイを証言。
また、桐原の愛人と思われる女・西本文代(山下容莉枝)の
10歳になる娘・雪穂は、
強い意志を持った瞳で、笹垣に応対する。


数年後。
美しく成長した雪穂は、
遠戚の家の養女となり、
お嬢様学校に通っていた。
親友・川島江利子(緑友利恵)との学校生活も、
それなりに順調のように見えたが、
雪穂の周辺では、なぜか不可解な事件が多い。


一方、桐原亮司(高良健吾)は中年女に、
性を売る仕事をして生きていた。


何の関係もなさそうな2人の接点とは。
笹垣が独断で捜査を続けるうちに
辿り着いた事実とは・・・。





東野圭吾氏の「白夜行」と、
その続編と言われる「幻夜」を読んだ時の衝撃は今でも忘れられない。
どちらも大げさでなく、
興奮で息ができなくなり、
手が震えた。
早くページをめくりたい気持ちと、
先に進むのが怖ろしいような気持ちとが
せめぎ合っていた事を覚えている。


別にトリックがどうとか、
そのような事ではなかった。
一番の原因は文章力そのものだと思う。
やはり売れっ子作家になる人は違う。


その後、テレビドラマ化されたようだけれど、
そちらの方は未見なので、
今回、映像化したものを見たのは初めて。


やはり、あれほど興奮した原作だと、
映像で同じ感覚を味わうというのは、
無理に等しいと感じる。


そもそも、堀北真希って、
雪穂のイメージとちょっと違うような・・・。
彼女の事は嫌いじゃないけど、
やっぱり、役には合う合わないがある。


雪穂はもっと悪女悪女した女優さんがいい。
表面は、美しく、毅然とし、
内面は、計算し尽くしながら生きる女。
今書きながら、沢尻エリカの顔が浮かんだ。
彼女が演じていたらどうなっていただろう。


トリックというか、
話の流れも、
映像になると、なんだか陳腐に見える。
やはり東野氏の文章力が、
疑問を挟ませなかったのか、
それとも、この映画の力がそこまでなのか。


もう一度、原作を読んでみたいけれど、
あの感覚が味わえるかどうか不安で、
なかなか手が出ない。


評価 ★★★☆☆

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「キー・ラーゴ」 [映画]

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〔1948年/アメリカ〕


フロリダの南にある島・キー・ラーゴに、
復員兵のハンフリー・ボガートがやって来る。


将校だった彼は、
戦死した部下の父・ライオネア・バリモアと、
部下の妻・ローレン・バコールがこの島で暮らしている事を知り、
見舞いにきたのだ。


バリモアは、ホテルを経営していると聞いてきたのだが、
何かがおかしい。
ホテルはエドワード・G・ロビンソンをボスとする
ギャングの一味の根城にされていたのだ。


暴力的なロビンソンたちに、
バリモアも、バコールも、
どうする術もなく、
さらにギャングたちは、やって来た警官まで撃ち殺す。


今夜限りでホテルを立つというギャングたちだったが、
島に大きな嵐がやって来たため、動きが取れず、
逃亡用の船まで失ってしまった。
彼らはボガートに盗んだ船を操縦させ、
キューバに逃げようとするが・・・。





もともと舞台劇だったものを映画化した
作品だそうだ。
そう知ると、ほぼ密室劇なのも納得がいく。
終盤の船の中でのクライマックスシーン以外、
話はほぼホテルの中だけで進行する。


そのせいかどうか、
それが私にはちょっと退屈だった。
心理的な駆け引きはあるのだけれど、
それほど凄いものとは感じられず、
ダラダラと観てしまう。


嵐のシーンは「おっ!」と思ったけれど、
意外なほど早く去ってしまった(笑)。


けれど、この退屈さを乗り越えると、
船上での面白さが待っている。
ここでのボガートとロビンソンの駆け引きはなかなか見応えがある。
やっぱり映画はラストが重要。


ローレン・バコールがめちゃくちゃ綺麗。
ボガートと彼女は、
実生活では夫婦なのだそうで、
しかもボガートにとっては4番目の妻。
ウィキペディアによると、
大変に仲が良かったとか。
そう思って見ていると、
見つめ合う2人の視線に、
愛が溢れているような・・・気がする(笑)。


評価 ★★★☆☆

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