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「コーラス」 [映画]

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〔2004年/フランス〕


1949年。
音楽教師・クレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)は、
「池の底」という名の、
寄宿学校の赴任してくる。


ここで暮らす生徒たちは、
何らかの問題を抱えており、
皆、暗い瞳で、悪さを繰り返す。
校長はそんな生徒に、
体罰を含め、厳しく接していた。


着任早々、
マチューも、ロッカーを壊され、
中の楽譜を盗まれる。
けれどそれがヒントになり、
彼は生徒たちに合唱をさせようと思いつく。


合唱を始めた生徒たちは、
少しずつ明るくなり、
悪戯の件数も減ったように思える。


特に、一番の問題児といわれる
ピエール・モランジュ(ジャン=バティスト・モニエ)は、
大変に美しい歌声の持ち主だと分かり、
ソロのパートを任される・・・。





月並みだけど、
大変にいい映画だった。


赴任してきた音楽教師が、
合唱によって、
すさんだ生徒の心を明るくする・・・
こう書くと、「感動してください」と言わんばかりの内容かと
思われるけれど、
綺麗事だけではないのが、この映画の良いところ。


まず、生徒たちの様子があまりに凄い。
「悪ガキ」などという言葉では済まされないような、
悪さを繰り返す。
下手すれば、相手を失明させるか、
殺してしまうような、酷い事をやってのける。


マチューも熱血教師ではない。
むしろ、こんな学校に来た自分の人生を呪っている。
合唱で子供を変えようなど、さらさら思ってはいない。
まぁ、「今より少しでも良くなれば」くらいの感覚だ。


でも、それがいいのだろう。
その緩さが生徒たちには具合がいいのかもしれない。
何かを無理矢理させられても、
生徒たちは反発するばかりだものね。


合唱を覚えた生徒たちは、
今度は、卑猥な替え歌を校長室の前で歌ったりもする。
生徒が劇的に変わる事はないのがリアル。


でも、それでも、
やっぱり今までとは何かが違う。
生徒たちの表情に笑みが見える。
笑顔って、本当に人をホッとさせる。


結局、更生させられなかった生徒もいる。
どんなにしても、
枠に収まらない人間がいるのは当たり前だとも思う。
それが社会というものなのだろう。


冒頭、大人になったピエールが、
ある世界的な職業に就いており、
ラストは、マチューが「池の底」を辞めたあと、
どのような人生を歩んだかが分かる演出となっている。
いい映画だった。


評価 ★★★★☆

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