「許されざる者」 [映画]
〔2013年/日本〕
明治時代。
江戸幕府が崩壊し、
かつて幕府軍の兵士として活躍していた、
通称“人斬り十兵衛”(渡辺謙)は、
今は北海道で、農業をしながら暮らしている。
妻を亡くし、2人の子供を育てながら、
酷寒の地で暮らすのは並大抵ではなく、
生活はどん底だ。
そんな十兵衛の所に、
かつて、共に戦った仲間・馬場金吾(柄本明)が現れる。
ある町の女郎屋で、
娼婦・なつめ(忽那汐里)が、
2人の男に顔を激しく斬り付けられ、
生涯残る傷を負わされたのだ。
女郎たちは金を出し合い、
2人の男に多額の懸賞金をかけたという。
その男たちを殺して、
懸賞金を貰うと、馬場は言う。
「自分は刀を封印した身」と、
一度は断った十兵衛だったが、
生活の苦しさに代えられず、
馬場と一緒に町に行く決心をする。
途中で、和人とアイヌ人のハーフ・五郎(柳楽優弥)が加わり、
町に入るが、
そこは、冷酷な警察官・大石(佐藤浩市)が牛耳っており・・・。
クリント・イーストウッドの、
名作西部劇のリメイク。
本作も健闘していたとは思うけれど、
オリジナルが凄いので、
見劣りするのは仕方ない事か。
ストーリーはほぼ同じ。
渡辺謙がイーストウッド、
柄本明がモーガン・フリーマン、
そして、
佐藤浩市がジーン・ハックマンの役を、
それぞれ演じている。
わたし的には、
佐藤浩市の役になんだか違和感を覚えちゃって。
オリジナルのジーン・ハックマンは、
良い人とは言い難いけれど、
完全なる悪人でもない。
「人は、善にも悪にもなれる、
どちらか片方だけの人はいない」
という事が表現された、
素晴らしい作品だったと記憶している。
でも、この映画の佐藤浩市は、
なんだかもう憎らしいばっかりで。
もう少し、あと少し、何とかならなかったのかな。
ほんの微妙なニュアンスで、
物語の印象はずいぶん変わると思うのだけれど。
柳楽優弥が元気で良かった。
渡辺謙と柄本明という、
“枯れ”コンビに、
生気を与えてくれていた。
忽那汐里も、
顔を斬られる女郎という難しい役を、
きちんとこなしていた。
最初から最後まで、
顔に何箇所もの大きな傷をつけての演技。
彼女にとっては、
大きな役だったと思う。
小池栄子の、
女郎のリーダー格の役は、
頼りになる姐さんって感じで、好感が持てた。
評価 ★★★☆☆