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「善人サム」 [映画]

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〔1948年/アメリカ〕


デパートの支配人を務めるサム・クレイトン(ゲイリー・クーパー)は、
困った人を見ると、助けずにはいられない。


今日も、隣のバトラー一家の車が故障して旅行に行けないと聞き、
自分の車を貸してやる。
サムの妻・ルーは、バトラー氏の運転技術を心配するが、
案の定、旅先で事故を起こし、
責任は車の持ち主にあると言われる。


家には、ルーの弟クロードが居候している。
彼は仕事もせず、のらくらしているが、
サムは追い出そうともしない。
ルーは、そんなサムのお人好しに呆れ、
度々注意するが、
彼は自分の何が変なのかも分からない様子。


ルーには、借家住まいから抜け出し、
自分たちの持家が欲しいという夢があった。
その為に、家計を切り詰め、
貯金をしている。


そんなルーに、理想の物件が見つかる。
その家を見たルーは、
すぐにでも買う気で張り切るが、
サムは、なぜか乗り気でない様子。


なんと彼は、
ルーが必死で貯めてきた金を、
全額、知人に貸してしまっていたのだ。
あまりのショックに泣き出すルー・・・。





この話はさすがにちょっと私には合わず、
神経を逆なでされる場面が多かった。


いくら他人への親切が美徳だとはいっても、
ものには限度がある。
自分や家族が我慢してまで、
他人に、金や物を貸す必要はあるまい。


クレイトン家では、車は大切な通勤・通学の足なのに、
他人に貸してしまえば、
子供たちを学校に送る事もできない。
(たまたま、送ってくれる人がいたからいいけど)
なぜそこまでする必要が?


家を買うお金を他人に貸したと分かった時の、
ルーの涙に、
観ているこちらまで泣きたくなったよ。
あれじゃ彼女が可哀相すぎる。


これが家だからまだ良かったけれど、
子供の進学だったらどうなるの?
お金が必要な時に、
「人に貸してしまいました」では、
行きたい学校にも行けなくなってしまう。


「こんなお人好しがいてもいいじゃないか」って
お伽話だと思えばいいんだろうけど。
ラストも、全てが解決、というわけでもなく、
なんだか消化不良。


評価 ★★★☆☆

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「としごろ」 [映画]

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〔1973年/日本〕


中学でバレーボールの指導にあたる和田アキ子は、
姉御肌で元気いっぱい。
部員たちから慕われている。


今年卒業した森昌子は工場に就職し、
秋谷陽子はバレーの名門校へ進学。
しかし、大工である秋谷の父が怪我をし、
学費の工面ができないため、
彼女は高校を退学しようと決心する。


しかし、バレー部の顧問・森次晃嗣は彼女の才能を惜しがり、
自分の家に下宿させて、学費も出すから、
高校を続けるようにと説得する。


そんなある日、
森と待ち合わせをしていた石川さゆりが
3人のチンピラに絡まれ、
凌辱されるという事件が起きてしまう。


そのせいで石川は妊娠。
誰にも話せないその事実に、
石川は苦しむ。


また、秋谷を下宿させた事で、
森次と妻の仲は険悪となり、
ついに、離婚騒動にまで発展してしまう。


和田は、そんな彼女たちを、
励まし、見守るが・・・。





ホリプロのアイドル総出演映画だからと、
のんきに観始めたけれど、
あまりの不幸のてんこ盛りにビックリ。


まずは実質主役ともいえる、出番の多い秋谷陽子のエピソード。
部活の顧問の先生の家に、
下宿したのはいいけれど、
結果的に、先生夫婦を離婚寸前にまで追いやってしまうという、
やるせなさ。
自分の存在そのものが、他人の人生を左右してしまうって辛いよなぁと、
本気で観てしまった。


その後、彼女自身にも不幸が降りかかり、
先生とも決裂する事になる。
他人の子供を預かるという事は、
その子の人生を丸ごと引き受けるという事。
何があっても途中で投げ出す事はできないとの覚悟で
臨まなければならない、
大変に重い事なのだと痛感する。


そして、やっぱり一番ショックな石川さゆり。
デビュー間もない15歳の彼女が、
チンピラたちに凌辱されるという役を演じているのが、
なんだかよく分からない。


その場面は強烈で、意外と長く、
全裸の少女がハッキリと映っている。
裸は吹き替えだろうと思っていたら、
ウィキペディアには、本人みたいな事が書かれているし、
これまた、よく分からない。
(ウィキペディアも絶対ではないし)


これって当時、子供も観にいったのでしょうね。
きっと親も、アイドル映画だからと
安心していたのではないかと想像するけれど、
この内容では、
子供の目を覆いたくなったのではないかと思う。


そんな中、
森昌子だけが、
工場で知り合ったカッチョいい先輩と、
爽やかな恋愛を繰り広げている(笑)。
当時の一番スターは森さんだったという事ね。
山口百恵がほんのチョイ役というのも、
今になってみると可笑しい。


評価 ★★★☆☆

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「ラリー・フリント」 [映画]

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〔1996年/アメリカ〕


オハイオ州の田舎町で貧しい家庭に育った
ラリー・フリント(ウディ・ハレルソン)と
ジミー・フリント(ブレット・ハレルソン)兄弟は、
大人になり、ストリップクラブを経営するようになる。


客寄せのため、
ラリーが発行した会報誌が評判となった事がきっかけで、
彼は、男性向けヌード雑誌「ハスラー」を創刊する。


その過激な内容に世間は眉をひそめ、
出だしは大量返品となったが、
ジャクリーン・オナシスの隠し撮りヌードを掲載した事が
大きな話題となり、ラリーは富豪への一歩を踏み出す。


その後も「ハスラー」の内容を過激を極め、
世間の物議を醸し、
ついにラリーは、猥褻罪で逮捕されてしまう。


それ以降も、多くの訴訟を起こされ、
その度に法廷での過激な言動で世間を騒がせるラリー。
彼の弁護士・アラン(エドワード・ノートン)は、
何度も弁護を下りようとするが、
彼のそばを離れられない。


また、ラリーと妻・アリシア(コートニー・ラブ)は
深く愛し合っていたが・・・。





人より多くお金を稼ぐには、
誰もが考えなかった新しい事を思い付く能力と、
ギャンブルを恐れない心、
そして、他人から何を言われても気にもかけない強いメンタル、
などが必要不可欠かなぁと、日頃から思っているのだけれど、
この、ラリー・フリントという人も、
やっぱりそんな人だった。


男性向けヌード雑誌と聞くと、
「プレイボーイ」と「ペントハウス」がまず最初に頭に浮かぶけれど、
この「ハスラー」というのは知らなかった。
日本でも発売されているのだろうか。


ラリーが聴衆の面前で、
持論を展開する場面が圧巻。
「殺人は違法なのに、殺人現場を撮影・発表すれば、
 大きな話題となる。
 性は違法じゃないのに、その現場を撮影・発表すると
 刑務所に入れられる」、と。


その時、ラリーの後方のスクリーンには、
戦争その他で亡くなった人の遺体と、性の場面が交互に映し出され、
「これはどうだ、これはどうだ」と、
彼は畳み掛けるように話す。
それが正論なのか、ハッタリなのかは分からないけど、
なんだか聞き入ってしまう。


裁判所での言動も可笑しい。
裁判官が何を言っても、
ああ言えばこう言うで、
まるで動じない。
裁判官の方が怒り出して、
観ているこちらは笑ってしまう。


薬物中毒からやっと立ち直ったラリーに、
妻のアリシアが無理矢理薬を飲ませようとする場面は、
早送りしたくなった。
せっかく止められたのに、なんでそんな事する?
妻にしたら、一緒に薬ができなくなって、
つまらないんだろうけどさ、
いい機会だから、アリシアさんも止めたほうがいいよ、って。


評価 ★★★☆☆

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「おしん」 [映画]

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〔2013年/日本〕


明治40年。
山形の豪雪地帯で生きる7歳のおしんは、
無口で頑固なお父さん(稲垣吾郎)、
おしんを心から愛してくれるお母さん(上戸彩)、
優しいおばあちゃん(吉村実子)、
そして兄弟たちと暮らす、
明るく元気な女の子。


おしん一家の生活は貧しく、
日々、食べる物にも事欠く有様。
おしんは口減らしの意味もあって、
村の材木屋に奉公に出る事が決まる。


奉公先での、
辛い仕事と、少ない食事に耐えるおしんだったが、
ある日、意地悪な女中頭・(岸本加代子)から、
盗みの疑いをかけられ、
ショックで店を飛び出す。


雪の中で倒れ、
死にかかったおしんだが、
脱走兵の俊作(満島真之介)に助けられ、
炭焼き小屋のおじさん(ガッツ石松)のねぐらで、
冬を越す事になる。


春になり、家に戻ったおしんを、
母は泣いて喜ぶが、
父は彼女を許さず、
また奉公に出される。
次に行った米問屋は待遇も良く、
楽しく働くおしんだったが、
おしんと年の近いお嬢様は、
彼女に辛く当たり・・・。





試写会で観た。


タダで観せていただいて、こう書くのもなんだけど、
平成のこの時代に、
なぜに今更「おしん」?と、
不思議な気持ち(笑)。


正直、試写会でなかったら、
観に行かなかったと思う。
TVで放映されたら観るかなってくらい。
稲垣ゴローさんがおしんの父親というのが、
ちょっと気になるから(笑)。


ドラマは観た事がないけれど、
年端のいかない少女が、
奉公先で辛い思いをしながら成長する、
というくらいの粗筋は知っている。
私は日本の古い時代を描いたお話も大好きなので、
そうつまらなくはなかった。


上戸彩演じる、おしんの母親が、
お腹に宿った子を流そうとして、
厳寒の中、川にしゃがみ込むシーンは、
やはり衝撃。
そういった堕胎方法があると、話しに聞いた事はあるけれど、
映像として観るのは辛いし、
演じた上戸さんも大変だっただろうなぁと思う。


おしんが奉公先で受ける意地悪というのは、
もちろん辛いけれど、
なんだか、どこかで観た事のあるような
エピソードばかりだったのも事実。
ドラマも同じ内容だったのだろうか。


一箇所、
おしんちゃん、学習しなよーと思わされる場面があって、
ちょっとイラっとした。
7歳の子供に、そこまで求めちゃいかんか。
結果的に、それは良い方に動くわけだし。
人間万事塞翁が馬。


劇場でいただいたチラシによると、
この、山形が舞台の映画で、
東北の復興に役立てば、との思いもあるようだ。


評価 ★★★☆☆

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「REC レック」 [映画]

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〔2007年/スペイン〕


ドキュメンタリー番組「眠らぬ町」の、
女性レポーター・アンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)の
今夜の取材対象は、消防署。
カメラマンを1人引き連れて出掛ける。


署内での取材を続けながら、
「緊急の電話が掛かってこないかな」などと軽口を叩いていると、
期待通り、出動要請が入る。
あるアパートで、老女が異様な悲鳴を上げているというのだ。


アパートに着いた署員とアンヘラたち、そして警察官が、
件の老女の部屋に入ると、
突然彼女が警察官の首に噛みつき、
顔の肉を食いちぎられる。


ロビーに集まっていた住人たちは、
この事態に騒然となり、
しかも、なぜか知らぬ間にアパートは封鎖され、
外には沢山の警察官がいるようだ。


その時、階上から消防士の1人が落ちてきて死ぬ。
さらに、老女に噛まれた警察官が
ゾンビとなって息を吹き返し、
住人達を襲い始める。


アンヘラは、その全ての状況をカメラに収めてゆくが・・・。





物語全編が、
ハンディカメラで映されたホラー映画。
でも特に、カメラの揺れで気分が悪くなる事はなかった。


それよりなにより、
突然わけも分からず、
国家機関によって自分が今いる建物が
封鎖されてしまう事の方が怖い。


理由が分かるならまだしも、
相手はドア越しに拡声器で叫ぶばかりで、
要領を得ない。
建物周辺の道路も封鎖されたようで、
これはただ事ではない事が分かるけど、
どうする事もできない。


しかも、建物内には、
いつゾンビに変身するかも分からない者がいるのよ。
危ないったりゃありゃしない(笑)。
ゾンビ映画には、
ゾンビになるまで○○秒とかって分かってる作品もあるけれど、
これは全く未知。


そのせいか、何度かビクッとなる。
それに、英語より聞きなれないスペイン語で、
複数の人がパニックになって叫ぶものだから、
ハリウッド映画とは違う気分にさせられる。


みんな、もっと落ち着きなよ、と思ったりもするけど、
あんな状況になったら、
やっぱり変になってしまうんだろうな。


続編を観れば、
話しがより理解できるらしい。
やっぱり観た方がいいんだろうなぁ。


評価 ★★★☆☆

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