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「薔薇いくたびか」 [映画]

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〔1955年/日本〕


今、まさに入学試験が始まろうとしている、
芸術大学。
ピアノ科を受験する若尾文子と南田洋子は、
初対面ながら親しくなり、
試験後、迎えにきた南田の兄・根上淳の車に乗り込む。


根上は若尾の美しさと清楚な様子が一目で気に入り、
この先も付き合っていきたいと願うが、
試験の結果が出るまでは、名前も住所も明かさないと、
受験番号である、「117さん」と呼んでほしいと言う。


発表の日、南田は合格するが、
若尾は不合格となってしまう。
若尾の家は、田舎で、
芸大に入れなかった彼女に、縁談話が持ち上がっていた。
地元の道楽息子・船越英二が若尾に惚れており、
ぜひ嫁に欲しいと言ってきたのだ。


この地方では、「足入れ婚」といって、
正式に祝言を挙げる前に、
女が夫となる相手の家に行き、
婚家でやっていけるかどうか試すという、
古い因習が残っていた。


若尾は船越の家で3日間を過ごすが、
その間、
「117さん、あなたを探しています」との新聞広告を見つけ、
動揺している所を船越に見られ、
「男がいたのか」と実家に帰されてしまう。


東京に出てきた若尾は根上を探し、
1年後、やっと再会が叶ったが、
足入れ婚で純潔を失った若尾に、
根上はショックを受け・・・。





コテコテのメロドラマ。
互いに名前も住所も知らない相手に思いを寄せ、
わずかな手懸りを頼りに、
なんとか再会しようと願う2人。
でも、擦れ違いの連続。


いつか巡り合えるだろうと想像がつくから、
それほどイライラする事はなかった。
それに、この映画のテーマは、
擦れ違いより、
女の純潔とは何たるかにある。


なんと根上淳は、
「結婚相手の純潔は最重要事項」みたいな事を言う。
1年間も探し回って、
やっと会えた相手なのに、
こだわるのはそこかい!と思ったけれど、
やっぱり1955年頃は、そんなものだったんだろうか。


「足入れ婚」なんていう因習が、
戦後10年経ってもまだあったというのも驚き。
何?その「足入れ婚」って。
花嫁のお試し期間か?
最悪。


船越英二が、とっても嫌な男を演じている。
彼は、美しい若尾さんを、
玩具を欲しがるように、母親にねだり、
「足入れ婚」により、彼女をものにする。
けれど、ヒステリックに難癖をつけて、
これまた、玩具を捨てるように実家に帰す。
ま、こんな男と正式に結婚しなくてありがたいくらいだったけど。


この映画、
とにかく出演陣が豪華すぎ。
上に書いた他にも、
長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎、
京マチ子、山本富士子、
小沢栄太郎、三益愛子、
高松英郎などなどの大スターが、
ほんのチョイ役で出演している。


これだけ大映のスターが出ているのなら、
なぜ川口浩様が出ていないのか、
ちょっと不満に思ったのだけれど、
彼のデビューを調べたら、1956年。
1年遅かったという事ね。
残念(笑)。


評価 ★★★☆☆

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