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「東京流れ者」 [映画]

tokyonagaremono.jpg
〔1966年/日本〕


元ヤクザの本堂哲也(渡哲也)は、
その世界から足を洗い、
敵対していた大塚組から、
どんな暴力を受けても、手を出さずに我慢している。


哲也の元の親分・倉田(北竜二)も、
今は堅気となり、
そんな倉田の男気に惚れこんでいる哲也は、
一生、倉田を支えていこうと決めている。


ある日、倉田が経営する不動産業の事で、
また大塚組から嫌がらせを受けた哲也は、
一人大塚組の事務所に出向くが、
倉田と親しい、金融業の吉井が殺されていた。


哲也は自分さえいなくなればと、
東京を離れ、
西へ向かった。
しかし大塚組の殺し屋・辰造(川地民夫)は、
執拗に哲也を追いかけ・・・。





ヤクザだった男が、
堅気を夢見て、
どんなに嫌がらせをされても
手を出さずにジッと我慢。


それは凄い事だとは思うけれど、
そもそも、本気で足を洗いたいなら、
なぜ、元の親分と関わるのか、
ヤクザと敵対しやすい仕事ばかり選ぶのかが不思議(笑)。


全く関係のない土地で、
サラリーマンでもして、地味に暮らすのが、
一番堅気に近いと思うんだけど。


と、まぁ、そんな事を言ってたら、
この映画は成り立たないわけで、
それより、この作品は、
映像の面白さを楽しめばいい。


どう説明したらいいのか、
色んな場面で、
部屋を真横から映しているのが、
舞台劇みたいで、変わってて、楽しめる。
そのお部屋には調度品が何もなかったりして、
大変なセンスの良さを感じる。


監督は鈴木清順さん。
全ては鈴木さんのセンスなのだろうか。


セリフも、とっても「変」。
「流れ者に女はいらねぇ」とか(笑)。
他にも色々あって、
メモしようかと思ったけど、しなかったけど。
そんなセリフ、外国映画の字幕だから耐えられるのであって、
実際に口にされたら、恥ずかしくってたまらない(笑)。
古い映画だから許せちゃうけどね。


評価 ★★★☆☆

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「斬る」 [映画]

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〔1962年/日本〕


小諸藩士の高倉信吾(市川雷蔵)は、
父と妹と、平穏に暮らしていたが、
父に頼み込み、
3年間の条件で旅に出る。


3年後、家に戻った信吾の元気な姿に、
父と妹は大変に喜ぶ。
帰郷直後、
水戸の剣客・庄司嘉兵衛との御前試合が行われるが、
若い侍たちは、誰一人庄司に勝てない。
業を煮やした藩主は、
最後に信吾を指名。
元々、剣は苦手な信吾だったが、
旅の最中に編み出した、「三絃の構え」で、
見事に相手を倒す。


侍たちは信吾を絶賛したが、
隣家の池辺はそれに嫉妬。
信吾には出生に秘密があると、
皆に触れて回る。


激怒した信吾の父は、
池辺に激しく詰め寄るが、
逆切れした池辺に、
父と妹は殺される・・・。





柴田錬三郎原作。
「剣三部作」の第一作という事だ。


出だしはかなり面白い。
今、まさに打首になろうとしている、藤村志保。
けれど、刀を振り上げた天知茂の目が、
何かを物語っていて、
プロローグには相応しい幕開け。


そして、「20年後」とくれば、
市川雷蔵の出生に、
藤村と天知が関わっている事は、
誰も目にも明らかであろう。


最初は、市川が、
その事を知ったうえで、
父や妹を大事にしているのかと思っていたのだけれど、
そうではないらしく、
隣家の池辺の話を立ち聞きした彼は、
かなりな衝撃を受けている様子。
自分の親が、実の親ではなかったとは、
たとえ何歳でそれを知らされても、
きっとショックな気持ちは同じなんだろうなと、
彼の気持ちを考えながら観ていた。


ただ、笑ってはいけないけれど、
池辺に斬られた父が、
息も絶え絶えな中、
市川に、出生の秘密を打ち明ける場面が長いのよ。
死にかかったあんな状態で、
あそこまで事細かに、
過去を説明できる者はいないであろう(笑)。
「伝えなきゃ」という思いが強固だったのかもしれないけど。


その後の展開は、
彼の出生とはあまり関係なく進む。
思い切り出生に絡めた方が、
面白いんじゃないかと思うんだけど、
それは私の勝手な希望(笑)。


この映画で市川がする、
「三絃の構え」。
彼はこれを「邪剣だ」と言って、
あまり使いたがらない。
たしかに、今までに見た事のない構えで、
戦う以前に、
構えただけで相手が委縮してしまうという優れもの。
市川雷蔵だから、よりカッコよく見えるのかもしれないけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「コール」 [映画]

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〔2002年/アメリカ〕


シャーリズ・セロンは、
医師の夫・スチュアート・タウンゼントと、
6歳の娘・ダコタ・ファニングと幸せに暮らす主婦。


ある朝、タウンゼントの講演旅行を見送った
セロンとファニングが家に帰ると、
見知らぬ2人の男・ケビン・ベーコンとプルイット・テイラー・ヴィンスが
入り込んでおり、
ヴィンスがファニングが何処かへ連れ去ってしまう。


半狂乱になったセロン。
そのまま家に残ったベーコンは、
24時間以内に金を用意すれば、
子供は殺さない。
自分たちは今まで、4回も同じ手口で誘拐を成功させてきた、
と言う。


一方、タウンゼントは、出張先のホテルで、
見知らぬ女・コートニー・ラブに
監禁される。
ラブはタウンゼントに、ファニングを誘拐した事を告げ、
明日、銀行から現金を引き出す事を要求する。


なんとかファニングを助けなければ。
家族と誘拐犯との攻防が始まる・・・。





最愛の娘を誘拐された両親が、
なんとか彼女を取り戻そうと奮闘する、
サスペンス。


シャーリズ・セロンもダコタ・ファニングもケビン・ベーコンも
大好きなので、
出来は平凡でも、結構真剣に観てしまう。


夫妻の一番の心配は、
ファニングが、重度の喘息を患っているという所にある。
彼女は、少しの埃やストレスでも喘息を発症するので、
薬が絶対不可欠。
しかし、それを知ったベーコンは、
なぜか動揺する。


そう、この誘拐は、身代金だけが目的でないのが、
犯人の言動から分かるようになっている。
まぁ、別に驚く事もない、
平凡な理由なんだけど(笑)。


それから、クライマックスとも言える、
ラストの救出劇が、
わたし的には有り得なくて。


スチュワート・タウンゼントは、
自家用小型飛行機で、
ファニングの乗った車を追跡するんだけど、
そのせいで高速道路は大混乱。
あんなめちゃくちゃしたんじゃ、
犯人は殺せるけど、
ついでに娘まで殺しちゃうじゃん。


それに、そんな体験したら、
また喘息の発作が起こるよ。
(現に起こってたし)
なんで私がそんな心配しなくちゃならない(笑)。


他にも突っ込みどころ満載だけど、
それも含めて楽しめる。
まだ幼いダコタ・ファニングが可愛い。


評価 ★★★☆☆

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「土」 [映画]

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〔1939年/日本〕


貧しい小作人の勘次は、
娘・おつぎと、息子・与吉、
そして、死んだ妻の父・卯平と暮らしている。
懸命に働いてはいるが、
生活は一向に楽にならない。


勘次は卯平から借金をしている。
卯平は、娘に亭主にもう少し甲斐性があればと、
勘次に不満を持っている。
そのせいで、2人の折り合いは悪い。


あまりの生活の苦しさに、
勘次は盗みを働くようになる。
しかし、それに気付いたおつぎは、
勘次の盗んだものを川に流したりする。


おつぎと同じ年恰好の村の娘たちは、
町に奉公へ行くが、
勘次はおつぎを手放したがらず、
おつぎも、農作業と、父と弟と祖父の面倒があるので、
家に留まる事を決める。


ある日、卯平と与吉が留守番中、
マッチの火が藁に燃え移り、
あっと言う間に、家全体が炎に包まれてしまう。
村の人たちが懸命に消火作業するも、
家は全焼。


責任を感じた卯平は首を括ろうとするが失敗。
勘次はそんな卯平を可哀相に思い・・・。





長塚節の小説を、内田吐夢監督が映画化したという作品だけれど、
戦災でフィルムが失われたと長らく思われていたところ、
ドイツに保存されたものがあったそうだ。


そのせいで、ドイツ語字幕がついているこのフィルムは、
最初と最後がやはり切れていて、
日本語のテロップで、
その欠損部分の内容が補われている。


サイレント映画ではないけれど、
雑音が大きく、とにかく聞き取りにくい。
俳優さんたちが何を言っているのか、
分からない部分も多いので、
小説の粗筋を辿りながら観る。


地味で暗く、
その貧しさは救いようがないという話だけれど、
それでも、そんな暮らしの中で、
多少の金が入れば、
勘次がおつぎに、帯を買ってやろうと言い出すなど、
悪い要素ばかりではない。


それに、村の人々が、
結構優しく、村八分のような話でないのが救われる。
庄屋のおかみさんは、
勘次一家に親身になってくれるし、
みんな、火事を出した時の消火活動はもちろん、
その後も、何かと親切にしてくれる。


こういった貧しい日本の昔を映画で観る度に、
今の繁栄と贅沢は、
こういった人々の過去があって成り立っているんだなぁと
いつも思う。


評価 ★★★☆☆

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「ホワイトハウス・ダウン」 [映画]

whitehousedown.jpg
〔2013年/アメリカ〕


議会警察官のチャニング・テイタムは、
大統領・ジェイミー・フォックスを警護する、
シークレットサービスの面接試験を受けに、
ホワイトハウスに出向く。


テイタムの11歳の娘は、
フォックスを憧れのヒーローだと、
心から敬愛しており、
娘の為にも、どうしても試験に受かりたいところだ。


面接のあと、ホワイトハウス内の見学ツアーに参加した、
テイタムと娘だったが、
同時期に、ホワイトハウスに、
武装集団が侵入占拠、建物の一部を爆破するという
事件に巻き込まれてしまう。


事件の直前、
手洗いに行っていた娘と、
離れ離れになってしまったテイタムは、
ホワイトハウス内で、大統領と遭遇。
娘を探しながら大統領を守るという、
二重の活躍をする事となる・・・。





先週、
「マジック・マイク」でストリッパーだった過去が明らかになった
チャニング・テイタム。
この映画を観た今となっては、
「マジック~」は、この映画の為の予習だったのかと、
そんな気がしてならない(笑)。
過去は色々あったけど、
立派な俳優になりましたぁ、みたいな(笑)。


6月に「エンド・オブ・ホワイトハウス」が上映されたばかりなのに、
なぜまた、ほぼ同じようなテーマの映画をする?
とちょっと不思議。
比べるつもりはなくても、
どうしても比べてしまう。


正直、私は、「エンド~」の方が好きだけれど、
でも、それほどの差があるわけではない。
「エンド~」の主人公が、自分の意志で大統領を助けに入ったのに対して、
こちらは巻き込まれ型。
「ホワイトハウス版ダイハード」といった趣き。


大統領が黒人というこちらの方が、
今のアメリカに即しているという意味で、
なんとなくリアリティはある。
しかも、その大統領を演じるジェイミー・フォックスが、
たまーに可笑しな事を言うから笑ってしまう。
なんだか可愛い。
あまり威厳は無いけれども(笑)。


テイタムに11歳の娘がいるって設定が、
「ずいぶん早い子だなぁ」という印象。


その娘が、ホワイトハウス内を見学中、
偶然、憧れの大統領が通りかかる場面がいい。
ミーハーな私の身にそんな事が起こったら、
嬉しくって、泣いてしまいそうだ。
ホワイトハウス内を見学できるのは知っていたけれど、
あんな風に、大統領を偶然会えるなんて
ハプニングが現実にあるんだろうか。


武装集団に遭遇した娘が、
スマートフォンで動画を撮り、
youtubeにアップするというのが、
最近の映画らしくて大好き。
(その後のマスコミの対応は最悪だけど)
少し前なら考えられなかった事だ。
ただ、どんどん進化しているこうしたシステムに、
この映画もあと数年したら、
古いと感じられるようになってしまうんだろうか。


評価 ★★★☆☆

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