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「ソルジャー・ブルー」 [映画]

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〔1970年/アメリカ〕


1860年代の西部開拓時代。
白人女性・キャンディース・バーゲンは、
2年間、インディアン・シャイアン族の酋長の妻として暮らしていたが、
集落を離れ、
白人社会に戻る事になる。


しかし、彼女を乗せた馬車がインディアンに襲われ、
騎兵隊はピーター・ストラウスを除いて全員死亡。
バーゲンとストラウスは2人で旅する事になる。


ストラウスは平凡な白人青年だったが、
肉親をインディアンに殺された過去があり、
インディアンを憎んでいた。


彼の持つインディアンの知識は、
一般の白人が持つものの域を出ていなかったが、
インディアンと暮らした経験を持つバーゲンは、
その知識には多分に誤解が含まれていると諭し、
逆に、白人の残虐さを説明する。
しかし、ストラウスは自分の意見を曲げる事をせず、
2人の話は平行線のままだ。


旅の途中で様々な困難にぶつかるが、
なんとか進んでゆくバーゲンとストラウス。
やがて2人の間には、
静かな愛が芽生え始める。


やっと騎兵隊の砦に辿り着いた。
騎兵隊はインディアンとの間で取り交わされた約束を無視し、
村落の襲撃を決行。
その地獄絵図をみたストラウスは、
バーゲンが話した事が嘘ではなかった事を思い知る・・・。





西部開拓時代の白人側の汚点、
1864年の“サンドクリークの大虐殺”を描いた作品。


時代の過渡期や混乱期に、
この映画のような出来事が起こるのは、
国を問わず有り得る事だとは思うけれど、
ラスト20分の大虐殺の場面は、
目をそむけたくなるような惨たらしさだ。


歴史上、白人とインディアンのどちらが悪いのかと問題は、
私には明言できないけれど、
元々、アメリカで暮らしていたのはインディアンの方であり、
侵略してきたのが白人側なのは間違いあるまい。


過去をとやかく振り返っても仕方ないけれど、
両者はもっと上手く共存する事が出来なかったのだろうか。
といっても、無理な事か。
モラルも何も無い時代、
新大陸を見つけた側は、
その開拓に躍起になるばかりだろうし、
先住民側は、闖入者を拒否したくなるのは、
当然の感情だろうし。


この映画の良い所は、
白人側=ピーター・ストラウス
インディアン側=キャンディス・バーゲン
という人間を2人だけの空間に置き、
話し合いを重ねさせるという点にあると思う。
そういった場合、
腕力の強い男の方が優位になりそうな気がするけど、
バーゲンを、自然の中で暮らす知恵に長けている女とする事で、
2人の関係が対等のような印象を与えている。
上手い設定だと思う。


この映画は、
ベトナム戦争でのソンミ村虐殺事件の悲惨さに
重ね合わせて作られたと言われているそうだ。
そして、このころから、
西部劇では、インディアンだけが一方的な悪者という表現が
無くなったとも書かれている。


人類の歴史は殺戮の歴史なのか。
21世紀になっても、
形は変わっても、このような事件が皆無とは言い難い。


評価 ★★★☆☆

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