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「王になった男」 [映画]

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〔2012年/韓国〕


1616年。
朝鮮王朝15代目の王・光海君(イ・ビョンホン)は、
暴君として怖れられ、
また本人は、いつ暗殺されるかもしれぬとの疑心暗鬼から、
周囲の者を誰も信じなくなっていた。


光海君は、暗殺への怯えから、
自分の影武者を立てる事を思い付く。
そして白羽の矢が立ったのが道化の男・ハソン。
ハソンは光海君と瓜二つ。
影武者にはうってつけだ。


そんな折、光海君が、
何者かによって、芥子の中毒にさせられるいう事件が発生。
毒物とは違い、発見できなかったのだ。
早速、ハソンが呼ばれ、
影武者としての日々が始まる。


王の椅子に座ったハソンは、
最初は戸惑い、
言われるままに任務をこなしていったが、
次第に腐敗した政治に気付き、
それを改めるよう命じる。


影武者の事を知らない周囲の者は、
人が変わったような王に驚き、
不審に思い始め・・・。





イ・ビョンホンが一人二役を演じるという、
彼のファンにとっては美味しい映画。
一部のサイトでは、
「そ、そこまで!?」と思うほど評価が高い。
本当に映画の出来が素晴らしいのか、
熱心な韓流ファンのおかげなのかは、
ちょっと私には判断がつかない。


と、人の事を言ってはいるが、
私も、韓国人俳優でたった一人好きと言えるのが、
ビョンホンで(笑)。
普通に、俳優として彼が好き。
映画だけで、ドラマは一つも見た事がないんだけど。


映画は、最初の想像では、
かなりシリアスなのかと思っていたけれど、
そのような事もなく、
コミカルな場面も多い。


特に、ハソンが影武者として、
本格始動した頃、
民間人には考えられないしきたりに戸惑う、その様子は、
いつものスカしたビョンホンじゃないみたい(笑)。


独裁政治の内側を知った民間人が、
その矛盾や、おかしな点に気付くのは当然で、
それを正したいと思うのは自然な気持ちだろうから、
話として新しくはなかったけど、
そこをビョンホンが上手く魅せる。


観ている者は、
「この人が王様だったら、どんなにか素晴らしい国になるだろう」と
思わされる。
ずっとこのままだったらいいのに、と。
もちろん、そうはいかないから、
映画は面白いんだけど。


評価 ★★★☆☆

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「ダイ・ハード ラスト・デイ」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


ニューヨークの刑事・ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は、
ロシアで何かしでかしたらしい息子ジャック(ジェイ・コートニー)の為に、
かの地へ赴く。


ジャックは、モスクワで裁判の証人として出廷するらしい。
ジョンも裁判所に向かうが、
彼が到着したのとほぼ同時に、
裁判所が爆破され、
ジャックが、ユーリ・コマロフ(セバスチャン・コッホ)を連れ、
逃げようとする場に遭遇。


久し振りに会った息子の行動を
全く理解できないまま、
彼を追うジョン。
ジャックは武装集団からも追われており、
大変なカーチェイスが繰り広げられる。


合流したジョンとジャックは、
ジャックが言う、「本部」に到着する。
コマロフは、娘の命を心配しており、
電話で落ち合う場所を決める。


ジョンとジャックとコマロフは、
娘との約束のホテルに行くが、
そこで思いもかけぬ展開が待ち構えており・・・。





「ダイ・ハード」シリーズの5作目。


今回はなぜか、舞台をロシアに移してのお話。
マンネリ化した事でも、
場所を変えれば、
気分も変わって、また燃えるという
パターンであろうか(笑)。


ただ、いくら場所を変えても、
小ぢんまりとまとまったという
印象はぬぐえない。
4作目までは全て120分を越える内容なのに対して、
本作は98分。


長けりゃいいってわけじゃないけど、
せっかくロシアまで行ったのだから、
もう少し内容に厚みがあっても、と思う。


とはいえ、
ロシアでのカーチェイスというのはちょっと目に新しい。
あれは本当にロシアで撮影したのだろうか。


舞台はモスクワから、チェルノブイリに移るのだけれど、
日本も、他人事ではないので、
大変に気になる。
よく分からないけれど、
そんな場所で、銃撃やら爆破やらって、
なんとか今は鎮静化している(と思われる)核燃料が、
反応して爆発しないのかと、
本気で心配になる。
核の扱い自体、ものすごく杜撰だし。


ブルース・ウィリスは、最近映画に出突っ張り。
なぜにそんなに頑張る?
56歳にして生まれた娘の為に、
もう一稼ぎしないきゃって事か?(笑)


評価 ★★★☆☆

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「メッセージ・イン・ア・ボトル」 [映画]

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〔1999年/アメリカ〕


ロビン・ライト・ペンは、シカゴの新聞社に勤務するシングル・マザー。
彼女は、休暇に訪れた海岸で、
手紙の入った瓶を拾う。


読んでみるとそこには、
タイプライターで印字された文字で、
亡くなった妻への思いが切々と綴られていた。
それを職場に持ち帰った所、同僚たちは感動し、
編集長は紙面に載せてしまう。


読者からの反響も大きく、
沢山の情報が届く。
手紙の内容や、瓶や、レターペーパーや、潮の流れを分析した結果、
瓶を流した主に見当がつき、
訪ねてゆくペン。


探し当てた男・ケビン・コスナーを見た途端、
彼に惹かれたペンだったが、
彼は手紙の内容通り、
亡くなった妻を今でも深く愛しており、
妻の遺品に囲まれて生活していた。


会話を続けてゆくうちに、
ペンを愛し始めたコスナーは、
妻を忘れて、彼女と生きようと考え始める。
しかし、ペンの家の引き出しから、
かつて自分が海に流した瓶と手紙を見つけた彼は、
ショックを受け、激しく憤る・・・。





ハーレクインロマンスな内容。
(読んだ事ないけど(笑))。


手紙入りの瓶を拾ったという部分を除けば、
全く平凡な恋愛物。
捻りもなければ、工夫もない。


2人の出会いが偶然でなく、
それを知った片方が怒るという流れも、
映画では手垢のついたような手法で、
お約束の展開。
まぁ、分かってるからこそ、
安心して観ていられるんだけど。


亡くなった妻を忘れられないケビン・コスナーという事だけれど、
生きて別れるのと、
死んで別れるのとでは、
どちらが辛いかと、
普段から、たまに考える事がある。


私個人の感覚では、
生きて別れる方が辛い。
もう二度と会えない人が、
この世界のどこかで生きているかと思うと、
頓死してしまいそうな切なさを感じる。


でも、死別の方が辛いという意見も、
もちろんある。
生きていれば、会える可能性もあるけれど、
死んでしまったら、それも叶わない、と。


もうそれは、各人の感覚の違いであって、
どちらがどうというのはないのだろう。
それに、私は、
本当に大切な人と死別した事がないので、
死に別れの本当の辛さが分かっていないのかもしれないし。


コスナーの父親役をポール・ニューマンが演じている。
もうかなり年は取られているけれど、
やっぱりハンサム。
スターはいくつになってもスターだわ。


ラストがちょっと・・・な。
違う形には出来なかったのだろうか。


評価 ★★★☆☆

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「マシニスト」 [映画]

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〔2004年/スペイン〕


機械工・クリスチャン・ベールは、
もう1年間も眠っていない。
体は痩せ細り、
意識は一応普通のつもりだが、
絶好調という風でもない。


彼の楽しみは、
馴染みの娼婦・ジェニファー・ジェイソン・リーと、
ひとときを過ごす事と、
空港のカフェのカウンターで働くシングルマザー、
アイタナ・サンチェス=ギヨンと雑談する事だけだった。


ある日、ベールは、
新しく入った同僚・ジョン・シャリアンに気を取られ、
機械の操作を誤り、
別の同僚の片腕を切断させてしまうという、
大事故を起こす。


事故の状況説明の席で、
シャリアンの事を話すと、
誰もが、「そんな社員は存在しない」と言う。


さらに、空港のカフェでは、
ギヨンという女は存在しないと言われ、
自宅の冷蔵庫には、
おかしなメモが貼られるようになる。


ベールの頭がおかしくなったのか、
それとも何かの陰謀なのか・・・。





ありきたりな感想だけど、
まず、クリスチャン・ベールの役作りが凄い。
1年間寝ていない男を作り上げるために、
体重を30キロも落としたというけれど、
観ているこちらにしたら、
その体は痛々しくて。


良い映画を作るという気概は嬉しいけれど、
「無理しないで」と声を掛けたくなってしまう。
撮影後、健康面で何も影響はなかったのだろうか。
ジャレッド・レトなども、
無理に体重を30キロ増やした為、体調を崩して、
一時、車椅子生活を余儀なくされたと聞いたけれど。


それから、1年間も眠っていないという設定が、
隙あらば眠りたいという私には(笑)、辛くて。
意識はどこか朦朧としていて、
でも眠れなくて、
でも強い眠気が襲っても来ず、
なんとも中途半端な、その感じ。
観ているこちらの方が、眠ってしまいそうだ(笑)。


オチがハッキリしているのが、
私には良かった。
不条理映画は、ちょっと苦手で。


タイトルの「マシニスト」ってなんだろうと思っていた。
“不眠症”なら、映画「インソムニア」があるし、って。
調べてみたら、“機械工”という事だ。
なるほど、基本形は“マシーン”なのね。
それなら、いっそ、「機械工」と付けたらどうだっただろう。
より怖い雰囲気が出たと思うのだけれど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「掟」 [映画]

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〔1990年/ブルキナファソ〕


アフリカの大地にある、小さな集落。
青年サガが、2年ぶりに帰ってきた。
恋人・ノグマに早く会いたい、
そんな思いで心はいっぱいだ。


ところが、ノグマは、
サガの父親と結婚させられていた。
彼は大変なショックを受けるが、
どうする事もできず、
集落のはずれで暮らす事になった。


その結婚は、ノグマにとっても本意ではなく、
彼女は、妹クルガの助けを得て、
サガと密かに逢引するようになる。
しかし、それは集落の掟を破る行為であり、
死を意味する事でもあった。


サガの処刑は、
サガの弟・クグリに任されたが、
どうしても兄を殺せないクグリは、
サガを殺したと見せかけ、逃がしてしまう。


サガは離れた集落にある叔母の家で暮らし始め、
サガが生きていると知ったノグマもそこへ行き、
夫婦としての生活を始める。


ところが、サガの母が危篤だと知った彼は、
居ても立ってもいられず、
元の集落に戻ってしまい・・・。





西アフリカの小国、ブルキナファソの映画。


これを観て、
考える事は沢山ある。
婚約者がいるのに、
その父親と結婚させられる、
そんな理不尽で、
言葉は悪いけど、気持ちの悪い事が、
普通にあるのか、
女性蔑視だ、とか。


ただ、如何せん、アフリカは遠い。
大地に藁や土を重ねただけの家に住み、
水汲みと、食べ物をらしきものをこねる事が、
一日の仕事という彼らの、
いわゆる「掟」を、私が憤慨するのは何か違う。


近代的なモラルを持ち出して、
「そんな事は変だ、良くない」と言ったって、
それが何になろう。


サガの気持ちも、
私には解せない。


最愛の母が危篤だと聞いて、
心配なのは分かるけれども、
慌てて元の集落に戻っちゃ駄目でしょ。


そんな事をしたら、
今度こそ、間違いなく殺されるばかりか、
せっかく自分を逃がしてくれた弟にまで、
迷惑が掛かってしまう。
下手したら、弟まで殺されかねない。


もうここは、
遠くから母の回復を祈るしかないと思うんだけど、
でも、それも、
私の考えであって、
彼らには彼らの、
死に対する思いがあるのかもしれない。


やっぱりアフリカは遠い。


評価 ★★★☆☆

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