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「悪名一代」 [映画]

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〔1967年/日本〕


喧嘩相手のヤクザの腹を刃物で刺してしまった清次(田宮二郎)は、
朝吉(勝新太郎)の前から姿を消した。


清次がいなければ、朝吉も退屈で仕方なく、
ぶらりと旅に出た。
電車の中で、見知らぬ女・お澄(森光子)が、
親しげに声を掛けてきた。
朝吉と幼馴染を間違えたらしい。


お澄は流しの仲居をしており、
朝吉に、自分がこれから勤める旅館に来いと誘う。
誘いに乗った朝吉は、その旅館に行く。


ところが朝吉は、その旅館で、
暗い顔をした女・蔦江という女と知り合う。


彼女は、もうじきアメリカから帰ってくる祖母から、
3億円の遺産を相続することが決まっており、
しかし、その金を狙って、
因島のヤクザが、彼女を無理矢理妾にされていたのだ。


早速、因島のヤクザの所に出向いた朝吉だが、
なんとその家に清次がいる事を知る・・・。





シリーズ13作目。


始まってすぐに、アッと驚く。
なんと、つい先日お亡くなりになった、
森光子さんが出てきたではないか。


彼女は男に惚れっぽい、
気のいい仲居の役で、
案の定、勝新太郎扮する朝吉に惚れてしまうという、
結構重要な役どころ。


2人はキスする場面まである。
ほんの軽くだけど(笑)。
古い映画を観ていると、
たまにそういう事があって、
そんな時は、映画の神様が下りてきたのかと、
とても嬉しくなる。
森さんのお若かった時のお顔を、
じっくり見させていただいた。


きっと今頃は、
天国で、勝さんや田宮さんとも、
再会されているのでしょうね。


今回、清次は朝吉にも知らせずに、
いつの間にか結婚して、
奥さんは妊娠しているのだけれど、
坪内ミキ子演じる、この奥さんというのが、
とっても家庭的で穏やかで、素敵な人だった。


彼女に会った朝吉も、
彼女の良さに感心して、
「ええ女やな」と独り言を言ったくらい。
ヤクザな清次には勿体ないわ(笑)。


朝吉が食堂で、食べ物を注文するシーンが興味深かった。
彼は、
「ご飯の上に黄色いものをかけた食べ物をくれ」と、
食堂の女性に言う。
それはカレーの事だけれども、
1967年当時、
カレーはまだ、それほど世間に知れ渡った食べ物ではなかったのだろうか。
さらに朝吉は、カレーの食べ方までレクチャーしている。


今の日本で「カレー」という単語が咄嗟に出てこない人がいるとは、
考えにくいし、
「ご飯にかけた黄色いもの」とは言わないだろう。
そんなセリフからも、
時代が感じられて面白い。


評価 ★★★☆☆

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