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「悪名桜」 [映画]

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〔1966年/日本〕


焼き鳥屋を営むようになった
朝吉(勝新太郎)と清次(田宮二郎)。


ある日、暴力団の罪を書き立てた新聞記者が、
仕返しをされているのを助け、
その時の写真が新聞に載ってしまい、
英雄となる。


朝吉の店の地主の息子で、
ヤクザに憧れる猛(酒井修)は、
朝吉を刺したら、組員にしてやると言われ、
刃物を持ってやってくる。


猛を取り押さえ、
真人間にしてやろうと決意した朝吉だが、
対面ばかりを重んじる猛の両親は、
息子が焼き鳥屋で働く事を好まず、
猛は邪険に扱われるばかり。


一方、朝吉の故郷から、
幼馴染の菊枝(市原悦子)が
朝吉の父親が死んだことを報せにやって来た。


親孝行できぬまま、
親を亡くしてしまった自分と猛を重ね合わせた朝吉は、
猛を真っ当な人間にしてやろうと、
ヤクザに立ち向かうが・・・。





シリーズ12作目。


マンネリ化しつつあったシリーズだけれど、
朝吉の父性愛が描かれているような本作は、
中々面白い。


親孝行できぬまま、父親の死なせてしまった自分と
今まさに、ヤクザの道に足を踏み入れようとしている猛への
思いが重なり、
懸命に彼の心に訴えかける朝吉の気持ちが、
こちらにも伝わってくる。


月並みな感想だけれど、
世間体ばかりを気にして、
猛を愛してやる気もない両親に、
こちらまで猛が可哀相になってくる。
あれじゃ、グレたくもなるよなぁ、と。


しかも、彼は一筋縄ではいかない。
朝吉がちょっと説教したくらいでは
改心する余裕もないくらい、
心は荒みきってきて、
余程の事がない限り、
劇的に生まれ変わる事はなさそうだ。


市原悦子が可愛い。
まだ若くて、
朝吉を頼って故郷から出てきた彼女には、
ある秘密がある。
そんな彼女を丸ごと受け入れる朝吉は、
なんて懐の深い男なのだろう。


評価 ★★★☆☆

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