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「夢のバスにのって」 [映画]

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〔1988年/ペルー〕


ペルーの首都リマ。
スラム街に住む12歳の少女・フリアナ(ロサ・イザベル・モルフィーノ)は、
母親と母親の愛人の3人暮らし。
墓地の掃除をして小金を稼ぎ、
家計を助けたり、
小さなラジオを買ったりして暮らしている。


飲んだくれで、女に威張り散らす母の愛人。
ラジオもいつの間にか持ち出されてしまう。
母に、男と別れてくれと頼んでも、
うんと言ってはもらえず、
そんな生活にほとほと嫌気が差したフリアナは、
家を出ようと決める。


フリアナには、
先に家を出ている弟クラビート(エドバル・センテーノ)がおり、
彼はストリートチルドレンを集めた組織に入り、
乗り合いバスの中で歌を歌っては、
乗客から金を集める仕事をしているのだ。


しかし、組織のボスが、
男の子しか雇わないと知ったフリアナは、
髪を切り、男の子だと偽って仲間に加わる・・・。





ペルーの映画を観たのは初めてのような気がする。
見始めてすぐに、
「ペルーよ、お前もか」という言葉が頭に浮かんで、
ちょっとショックな気持ちだった。


ペルーといえば、私の中では、
マチュピチュ遺跡やナスカの地上絵くらいしか知識しかなく、
神秘的で不思議な国という、
脳天気なイメージしか持っていなかった。
他の南米の国とはちょっと違う、という、
勝手な思い込みがあった。


しかし、人々の生活に目を向ければ、
この国も、他の南米の国と変わらず、
貧しい生活をしている人々がいて、
日々の暮らしに喘いでいる画が映っていた。
物を知らず、
綺麗な事しか考えていなかった自分が嫌になるよ。


主人公のフリアナが、
学校にも行かず、
毎日墓の掃除をしている事もショックだけれど、
彼女より幼い弟が、
とっくに家を出て、金を稼いでいるというのもショックだ。


しかも、母親も、それに疑問を持っている風でもない。
母親は特に冷たいわけではなく、
子供の稼ぎを当てにして働かせているわけでもない。
とにかく、金を稼げるようになったら稼ぐ。
彼らには、それが当たり前のようだ。


そんな中、
男の子になりすまして、
弟の組織に加わるフリアナが、
なんとも可愛い。
女女していない顔立ちのせいか、
普通に男の子に見える。


しかし、組織の子供たちも、
貧しさに喘いでいるのは同じで、
なんだか皆、イライラしているように見受けられる。
ストレスが溜まっている。
仲間同士でも、やっぱりイザコザがある。


地球上から貧困が無くなる日は、
おそらく来ないだろう。
負の連鎖が止まるとは考えられない。
フリアナが性的な搾取をされていないだけ、
この映画はマシだと言える。


評価 ★★★☆☆

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