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「キッチン・ストーリー」 [映画]

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〔2003年/ノルウェー・スウェーデン〕


1944年にスウェーデンで発足した、「家庭研究所」。
ここでは、キッチンにおける主婦の行動パターンが、
大真面目に研究されていた。


「家庭研究所」では、
主婦だけでなく、今度は独身男性の、
キッチンにおける行動パターンの調査を開始し、
隣国・ノルウェーで協力者を募集する。


謝礼に馬がもらえると聞き、
応募してきた一人暮らしの老人・イザック(ヨアキム・カルメイヤー)の家には、
中年男・フォルケ(トーマス・ノールストローム)が、
担当調査員として派遣される。


しかし、もらえたのは、
馬は馬でも、オモチャの馬。
ガッカリしたイザックは、最初はフォルケの調査を拒否するが、
最終的に、仕方なく家に入れる。


その日から、フォルケの調査が始まる。
調査員と被験者は、
「絶対に口をきいてはならない」
「いかなる交流もしてはいけない」
などの厳しい決まりがあった。


キッチンの隅っこで、
ただ黙って座っているだけのフォルケに、
敵対の目を向けていたイザックだが、
毎日一緒にいるうちに、
次第に心を通わせ始める・・・。





昔、スウェーデンでは、
本当に映画のような調査が行われていたそうで、
それを元に作られた物語だそうだ。


その調査方法というのが、
被験者にとって、なんだか困ってしまうような方法で、
笑ってしまう。
調査員は、持参してきた椅子に座るのだけれど、
その椅子というのが、
プールの監視員が座るような、高さのある物で、
(天井に頭が届きそう)
被験者はキッチンにいる間ずっと、
調査員から見下ろされて、
行動を監視される。


もし自分がそんな事をされたら・・・と想像すると、
キッチンに入るのも嫌になってしまいそうだよ(笑)。
なんで自分の家なのに、
そんな窮屈な思いをしなければならないのかって。
しかも馬のオモチャ一つの報酬で(笑)。


調査員と被験者が口をきいてはいけないというのも、
辛すぎる(笑)。
“調査なのだから、空気のように思ってくれ”と言いたいのだろうが、
理屈では分かっていても、
狭いキッチンに人間が2人もいるのに、
知らんぷりって、
お喋りな私には不可能な気がする(笑)。


案の定、フォルケとイザックは、
少しずつ会話をし始める。
2人共、決して若くはなく、
頭髪も、同じくらい薄く、
人生の淋しさを噛みしめているような、
独り者だ。
交流が始まらない方が不思議なくらいなのだ。


しかし、交流しているのは、
この2人だけではないらしく、
他の家に派遣された調査員が、
被験者を酒を酌み交わし、問題になるという場面もある。
そもそも、この調査って、
その方法自体に無理があるんじゃない?(笑)


キッチンが舞台の映画だけれど、
女は殆ど出てこない。
イザックのたった一人の友人が、
フォルケとイザックの仲の良さそうな様子に、
嫉妬する場面さえある、
完全な男性映画。
ちょっと笑えて、しみじみできる、
良い映画だった。


評価 ★★★★☆

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