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「昨日・今日・明日」 [映画]

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〔1963年/イタリア〕


〈第1話・アデリーナ〉


ナポリで暮らす、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン夫妻。
マストロヤンニが無職の為、
ローレンが闇煙草を売って、生計を立てている。


ところが、ローレンが税金の滞納をし、
差し押さえの家具を隠した事から、
逮捕を免れない事態に陥ってしまう。


しかし、イタリアには、妊婦と産後6か月までの女は、
逮捕できないという法律があるらしく、
妊娠中のローレンは、猶予を与えられる。


夫妻は、何としても逮捕を避けようと、
子供を産み続け、遂には7人の子持ちになってしまうが・・・。





3話ある物語の中では一番長く、
一番面白かった。
逮捕されない為に妊娠し続けるって、
本末転倒すぎ(笑)。


子供を育てる生涯費用を考えたら、
滞納している税金を何とかして払うか、
いっそ刑務所に入っちゃった方が、
良いと思うのだけれど。


ソフィア・ローレンは、
産後6か月の猶予期限が近付くと、
子作りの為、マストロヤンニに迫る。
マストロヤンニは段々疲れてきて、
“役立たず”なってしまう。
強いイタリア女と、情けないイタリア男の対比に笑える。





〈第2話・アンナ〉


金持ち女・ソフィア・ローレンと、
彼女の愛人、マルチェロ・マストロヤンニ。
ローレンが運転するロールスロイスで、
2人はドライブするが、
彼女は車をぶつけてばかり。


運転を交代するマストロヤンニ。
ところが、子供を轢きそうになった彼は、
車をぶつけてしまう。


途端にワガママぶりを発揮するローレン。
彼女は道行く車を止め、
それに乗り、去ってしまう。
それを見たマストロヤンニが取った行動は・・・。





これが一番退屈だった。
場面は2人が乗る車の中が殆どで、
話は会話だけで進む。


ローレンが「お金なんて」みたいな事を言い、
マストロヤンニが、「そう言えるのは、金を持っているからさ」と答える。
本当にその通りだよね。
あんなワガママな女が、
お金が無くて生きていけるわけがなし。


ラストのマストロヤンニの行動は、
ちょっと溜飲が下がる。





〈第3話・マーラ〉


娼婦・ソフィア・ローレンの家には、
顧客・マルチェロ・マストロヤンニがしょっちゅう訪ねてくる。


ところが、ローレンの家の隣に住む、
若い神学生が彼女に惚れてしまう。


神学生の祖母が「孫を誘惑するな」と、
ローレンの所に怒鳴り込んできたから大変。


その後ローレンに失望した神学生は、
神父になるのを辞め、
外人部隊に入ると言い出し、
祖母から説得を求められたローレンは・・・。





物語は普通だけど、
若い神学生が、ソフィア・ローレンに惚れるというのが、
とてもよく分かる。


この3部作の彼女は、
本当に綺麗。
強い顔だけれど、
それがとても魅力的で、欠点になっていない。


体型も、決して痩せてはおらず、
肉感的な所がまたいい。


マストロヤンニもいい。
ハンサムだけど、情けないという役が、
ぴったりハマっていた。


評価 ★★★☆☆

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「水のないプール」 [映画]

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〔1982年/日本〕


キネカ大森で観た。

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地下鉄の改札で切符切りを生業にしている男・内田裕也。
口うるさい妻と二人の子供を抱え、
小さな借家で暮らす、冴えない毎日。


ある日、内田は、夜道で乱暴されそうになっている女・MIEを助ける。
MIEをアパートまで送り届けた彼の中で、
何かが目覚める。


数日後、小学生の息子が
捕まえた昆虫に薬品を注射しているのを見た彼は、
女を薬で眠らせる事を思い付き、
自分を教師だと偽り、薬局でクロロホルムを買う。


彼はまずMIEで薬の効果を確かめた後、
目を付けていた喫茶店のウエイトレスを眠らせ、
意識を失った彼女に乱暴する。


味をしめた内田は調子に乗り始めるが・・・。





一緒に観た「コミック雑誌なんかいらない」に比べたら、
普通にストーリーのある映画なのだけれど、
これは嫌いだな。
内田裕也の犯罪に対する嫌悪をここでくどくど書いたって、
ありきたりな言葉しか出てこないから書かないけど、
もう、嫌いとしか言いようがない。


面白がられた方もいるようだし、
色々な解釈があるのだろうけれど、
深読みするほどの能力は、私にはない。


MIEの軽さに笑う。
内田に助けられた彼女は、
内田に全幅の信頼を寄せるようになるのだが、
深夜、彼女の部屋に忍び込んだ内田に対して、
「おじさん、何してるの?」はないだろう(笑)。
「戸締りしてるか確認してるんだ、ちゃんとしなきゃダメじゃないか」と言い訳する彼に、
「はーい、ごめんなさーい」だと(笑)。


内田裕也って、
よく見ると、結構いい顔しているのね。
なんか味がある。
小泉元総理大臣にもちょっと似てる。


少し前、「徹子の部屋」にゲスト出演した樹木希林さんが、
「とにかく内田裕也の全てが好き」と言っておられた。
人が人に惚れるって、こういう事なのかと
思わされるお話しだった。


あぁ、なんて素敵な奥さんなのだろう。
内田のスキャンダラスな面しか知らない私には分からないけれど、
樹木希林さんは、きっと内田さんの良い面を
沢山見ておられるのだろう。
内田裕也より、樹木希林さんの凄さを思う。


評価 ★★☆☆☆

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「コミック雑誌なんかいらない!」 [映画]

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〔1985年/日本〕


「キネカ大森 名画座2本立て Vol.021」で観た。
今週の出し物、
「コミック雑誌なんかいらない!」と
「水のないプール」は、
チラシにもあるように ↓ 、
女優・片桐はいりさんが、
初めて出演した映画と、
初めてもぎった映画なのだそうだ。


そういうイベントの一環なのでしょうか、
なんと、チケット売り場では、
片桐さんご本人が、
普通に映画館の館員さんのように、
働いておられて、ビックリ!


生で見る片桐さんは、
映画のイメージよりずっと素敵で、
それに、何かとても、
“真っ当な人”という印象を受けた。
凛としていて、想像以上に細くて綺麗。
とても嬉しい気持ちになれた一日でした。

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木滑(内田裕也)は、激しい突撃取材が人気の芸能レポーター。
今日の彼のターゲットは女優の桃井かおり。
彼女の熱愛発覚により、
なにかコメントを取ろうと、成田空港まで追いかけるが、
完全無視される。


神田正輝との結婚を間近に控えた松田聖子の自宅前に張り込み、
門扉の脇の電柱に登って、
警察に捕まったりもする。


彼の狙いは芸能人だけではない。
“ロス疑惑”の三浦和義氏の経営するバーに、
開店前だというのに無理矢理入って行き、
三浦氏から、酒を浴びせられる。


山口組と一和会の抗争では神戸に乗り込み、
ピリピリした空気の中、強面のヤクザたちにもマイクを向けるという、
命知らずな事までやってみせる。


しかし、そんな無理な取材には苦情も多く、
テレビ局は彼を、夜の風俗産業のレポーターに格下げしてしまう。


そんな中、木滑は、近所の老人が金の先物取り引きで、
2,000万円の虎の子を支払ったと聞く。
不審に思い、その会社を独自に調べ始める木滑。
テレビ局で取り上げて欲しいと懇願するも認められず、
しかし、彼の勘は当たり、
自殺者まで出すほどの社会問題に発展してゆく・・・。





なんて面白いんだろう。
何度も笑った。
何が私の心をそんなに刺激したのか分からないけれど、
とにかく面白かった。


実在の人物・事件を内田裕也がレポートしてゆくという流れは、
確かに映画としての態をなしてはいないのかもしれないし、
その内田裕也のセリフは棒読みで、
なんだか素人くさい。
でも、ターゲットにマイクを向ける彼の言葉と行動がいちいち可笑しくて、
クスクス笑ってしまう。


ターゲットになった人々の個性も映し出される。
言葉が上手くない木滑に対して、
例えば、三浦和義氏の饒舌な事ったら。
次々と口から言葉が飛び出して止まらない。
三浦氏の事件は、「劇場型犯罪」と言われたそうだけれど、
本人のキャラを見ると、
そう言われるのも分かる気がする。
おそらく三浦氏には、ある種のスター性があるのだろうと思う。


外出先から車で帰った松田聖子は、
大勢のレポーターに囲まれるが、
マネージャーに抱きかかえられながらも、
絶対に笑顔を絶やさない。
流石、大物アイドル。
その時、内田裕也は彼女に向かって、
「生まれ変わっても神田さんと一緒になりますか?」と
何度も浴びせるように聞く。
もちろん聖子さんは無視だけれど。


ラブホテルで殺された女子中学生の葬儀に
突撃した場面も強烈だった。
泣いている母親に、
「お嬢さんが売春していた事は有名だったそうですね」と、
傷口に塩を塗り込むような物言いでマイクを向け、
遺族からつまみ出される。
大変に不謹慎な場面なのだが、
人々の覗きの欲求を満たしてやっていると言わんばかりの
彼は、その姿勢を変える事はない。


内田裕也の表情があまり変わらないので、
彼が何をもってして、
レポーターの仕事に体を張っているのかが、
よく分からない。
仕事が好きそうにも見えないし、
正義の味方でもないし、
人気者になりたいという感じでもないし、
他人を覗き見たいという欲望もなさそうだ。


だからといって、
嫌々やっているというのとも違う。


彼には、
感情がまるで無いようにも見える。
「仕事だから」
ただそれだけ。
だから、彼の行動に対する解釈は、
観る者によって、大きく変わる気がする。


1985年の大きな出来事は、
この映画を見れば、大体分かるような感じ。
豊田商事の会長刺殺事件の場面では、
ビートたけしが、舎弟を連れて、
会長の部屋に押し入る役を演じている。
その場面だけは、体が震えそうな衝撃を感じた。


評価 ★★★★☆

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「悪名太鼓」 [映画]

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〔1964年/日本〕


トラックの荷台に、和太鼓を載せ走る清次(田宮二郎)と数人の若い衆。
それを追いかける朝吉(勝新太郎)。
清次は、九州の狼王会に太鼓を貸出し、
その貸し賃で、
八尾の祭りを盛り上げようという算段なのだ。


しかし朝吉は、それを認めない。
大事な太鼓を持ち出すとは罰が当たると、
荷台で取っ組み合いになるが、
人数で負けてしまい、一人降ろされる。


ところが数日後、
九州から、清次が死んだとの電報が届く。
驚いた朝吉は九州に駆け付けるが、
葬儀に行ってみると、
死んだのは別人。


なんと清次の戸籍は、
本人が知らないうちに売られており、
それを買った中国人が、
清次の名で、日本人として暮らしていたらしい。
麻薬の密輸を断った挙句、殺されたというのだ。
どうやら狼王会が関わっている事が分かり、
朝吉は、未亡人・宏子(朝丘雪路)を助ける為に立ち上がる・・・。





シリーズ9作目。


もう感想を書くのも難しいくらい、
ワンパターンな展開(笑)。


前回は東京に行った朝吉だが、
今回は九州。
東京では通じなかった彼の名前も、
九州の人は知っていた。
朝吉は西に強いらしい(笑)。


またまた、一郎(芦屋雁之助)と二郎(芦屋小雁)が出てくる。
前回、東京で偶然会ったというのに、
今回は九州で(笑)。
しかも、清次の戸籍を売ったのが彼らだという。
清次に、あれだけ世話になったというのに、
どんだけ恩知らずな奴らなんだ(笑)。


今回は途中で、朝吉と清次が、
ちょっと仲間割れみたいな事になる。
清次は朝吉に銃まで向ける。
ヘラヘラした清次は、
すぐ上手い話に乗っかるのだ。
軽い奴め。


仲直りした2人は、
ヤクザとの抗争のあと、
大金の入った袋を拾う。
めっちゃ羨ましかったけど、
その先に残念なオチがある。


評価 ★★★☆☆

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「スルース」 [映画]

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〔2007年/アメリカ〕


人気作家・マイケル・ケインの豪邸に、
ジュード・ロウが訪ねてくる。


2人の会話から、
ロウがなぜケインの家に来たのかが分かってくる。
ロウは、ケインの別居している若い妻と恋愛関係にあり、
ケインに離婚を迫りに来たらしい。


ケインはそこで一つの提案をする。
ロウに、金庫に入っている宝石を盗めと。
盗んだ宝石と妻はロウにくれてやる。
自分には保険金が入る。
それで万事丸く納まると言うのだ。


ロウはケインの指示に従いながら、
宝石を手にするが、
その時、ケインはロウを銃で撃つ。


数日後、刑事がやって来た。
行方不明の男を捜していると言いながら、
家に入った刑事は、
血のついた絨毯や服を発見する。
絶対絶命のケイン。
しかし、物語はその後も続く・・・。





舞台劇の映画化だそうで、
全てのお話はマイケル・ケインの豪邸内で起こり、
話の進行は、
ケインとジュード・ロウの緊迫した会話だけで進んでゆく。


2人の演技対決が見もの。
ベテランのケインが上手いのは分かっていたけれど、
ロウも負けてはいない。
人妻と付き合う、売れない俳優という役が、
実に上手い。


めちゃくちゃ美しいが、
どこか品が無く、
人妻の夫に離婚を迫るなど、
まるで、経験あり?と言いたくなるような(笑)、
その演技に見入ってしまう。


マイケル・ケインの、
年老いてはいるが、
どこか狂気を秘めたような表情もいい。
次の瞬間、何をしでかすか分からない感じが(笑)。


この映画は、72年の「探偵スルース」のリメイクだそうで、
当時ケインが演じていた若い役が、ロウにシフトしたらしい(笑)。
この2人って、何か共通するものがあるのだろうか、
66年にケインが主役を演じた「アルフィー」が04年にリメイクされた時も、
同じ役をロウが演じている。
2人ともイギリス人で、ハンサム。
私は両方大好きだ(笑)。


オチが今一つ面白くないのが難点。
「探偵スルース」の方が評価も高く、
面白そうだ。
ソフトを探して、観てみたい。


評価 ★★★☆☆

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