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「ル・アーヴルの靴みがき」 [映画]

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〔2011年/フィンランド・フランス〕


フランスの港町・ル・アーブルで靴磨きを生業とする、
初老の男・アンドレ・ウィルム。
彼は愛する妻・カティ・オウティネンと、
つつましいが、幸せな生活を送っている。


ある日、妻は体調を崩し、入院する。
妻は医者から、
もう長くない事を告げられる。
妻は、その事を夫に告げないでほしいと、
医者に頼み込む。


そんな中、アフリカのガボンから、
コンテナに隠れて密航してきた黒人家族が発見されたと、
ニュースになる。
家族は移民局に連れて行かれるが、
12歳ほどの少年だけが逃げ出し、
警察は、少年を探し回る。


数日後、ウィルムは川に隠れている少年と出会い、
家に連れ帰る。
彼は、ロンドンにいるという少年の母の元へ、
少年を行かせてやろうと決める。


その為には金が必要だ。
近所の人々と協力しながら少年を匿い、
金の工面に奔走するウィルム。
しかし警察は、ウィルムが少年を匿っている事に気付く。


少年は無事、ロンドン行きの船に乗れるのか。
そして妻の病はどうなるのか・・・。





フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の作品。
名匠といわれる監督だけれど、
以前、DVDで「マッチ工場の少女」を観た時、
なんだかピンと来なかった事から、
他の作品には手を出さずにきた。


今回、時間が合ったので観てみたのだが、
これは中々良かった。
とても地味な映画だけれど、
こういう映画こそ、
劇場で観た方が良いのかもしれない。


フランスの港町に住む主人公・アンドレ・ウィルムの生活ぶりは、
意外なくらいに質素。
先進国とはいっても、
一般の人の暮らしって、
こんなものかもしれないなぁと、
そんな思いでスクリーンを観る。


彼は、妻を深く愛している。
周囲の人も「できた妻だ」と言うし、
彼自身も、そう思っている。
妻も、おそらくウィレムを深く愛している。
だからこそ、自分の余命を知らせて、
ウィレムがショックを受ける事に耐えられない。


ウィルムが、
不法移民局に、
少年の祖父に会いに行く場面が笑える。
どう見ても白人のウィレムなのに、
自分は少年の祖父の弟だと言い張る。
「私はアルビノなんだ。差別する気か!」と。
そんな無理矢理な言い訳を言う方も可笑しいが、
それで通してしまう、役人も可笑しい(笑)。


ラストは結構ハラハラできる。
そして、さらにその後、
素敵なラストが待っている。


評価 ★★★★☆

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