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「流されて・・・」 [映画]

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〔1974年/イタリア〕


地中海をクルージングする豪華なヨット。
乗っているのは富豪の男女数人。


中でも、マリアンジェラ・メラートは、
高慢で我儘なその態度が、
使用人たちから反感を買っていた。
彼女は、パスタがまずい、
ワインがぬるいと言いたい放題。


彼女はジャンカルロ・ジャンニーニのシャツが臭いからと、
給仕の度に服を換える事まで要求。
ジャンニーニの怒りは、
内心でくすぶっていた。


そんな中、メラートは、
洞窟に行ってみたいと言い出し、
小型モータボートを出すように、
ジャンニーニに命令、
しかし、大海原でボートが故障してしまう。


海を彷徨った後、2人は無人島に辿り着く。
最初は威張っていたメラートだが、
ジャンニーニがいなければ、
火を熾す事も、魚一匹捕まえる事もできない。
主従関係は完全に逆転してしまう。


ジャンニーニは、メラートに洗濯や、
魚捕りの手伝いをさせ、
自分を「ご主人様」と呼べと命令する。
屈辱で体が震える思いのメラート。


さらにジャンニーニは、
半ば強引にメラートと肉体関係を持つ。
最初は抵抗したメラートだったが、
2人はいつしか、
互いの肉体に溺れ、
心まで結ばれてゆく。


初めて本当の男に出会った気がしたメラートは、
薄汚い文明社会に帰る気持ちさえなくなってしまうが・・・。





軽い気持ちで観れば、
ちょっと古いエロ映画って風情だけれど、
深く考えれば、
なんだか問題提起されてるみたいな気がする。


男の、
肩書きや、社会的地位や、学歴や、財産など、
それらを全て取り払って、
まっさらな状態になったら、
女は一体どうするのか。
ただの男と女になったら、
そこには、純粋な愛だけがあるのかって。


ただ、この2人の関係が、
純粋な愛なのかは微妙な気もするけれど。
一度関係した2人は、
場所も憚らず(誰もいないしね(笑))、
ひたすら求め合う。
それは愛じゃなくて、肉欲?ともちょっと思ったりして。


女は言う。
「あなたの全てが好き。
 2人でずっとここにいたい」と。
その言葉に嘘はないかのように、
彼女は遠くに見えた船に、
自分たちの存在を知らせる事なく、
見送ってしまうのだが・・・。


ラストはとても切ない
ある意味、想像通りの終わり・・・。


この映画をリメイクした、
マドンナ主演の「スウェプト・アウェイ」を、以前観た。
ラジー賞を取ったようだけれど、
私は世間が言うほど、酷い映画とは思わず、
だから、オリジナルの雰囲気を味わってみたいと
ずっと思っていた。
やっと観る事ができて嬉しい。
難を言えば、マリアンジェラ・メラートが、
もう少し綺麗だったら、って(笑)。


評価 ★★★☆☆

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