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「群盗荒野を裂く」 [映画]

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〔1967年・イタリア〕


1910年代のメキシコ。
国内は革命の嵐が吹き荒れ、
反政府軍の盗賊は武器を求め、
強盗を繰り返していた。


ある日、白人アメリカ人・ビル(ルー・カステル)が乗り込んだ列車が
武器を大量に積んでいたため、
盗賊の標的となってしまう。


すると、ビルは不可解な行動に出る。
列車の機関士を射殺し、
機関士の持っていた手錠を、自分で自分にはめたのだ。


盗賊のボス・エル・チュンチョ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)に
手錠の理由を聞かれた彼は、
護送される途中だと答え、
「逃亡したいので盗賊の仲間に入れてくれ」と頼む。
かくして、盗賊と白人男との旅が始まる。


盗賊の最終目的は、
反政府軍の将軍に、集めた武器を売る事だった。
チュンチョはいつも写真を持ち歩くくらい、
将軍を崇拝していた。


旅を続ける中で、チュンチョとビルの間には、
人種を越えた友情のようなものが芽生えてくる。
途中、様々な出来事があり、
生き残ったのはチュンチョとビルだけになってしまうが、
2人はなんとか将軍の本拠地に辿り着く・・・。





マカロニウェスタンの傑作。
派手な銃撃戦もあるが、
それだけではなく、
メキシコ人とアメリカ白人の間に芽生えた、
友情のような感情、
また、その後に続く複雑な感情が上手く描かれている。


チュンチョは盗賊だが、
極悪非道というわけではなく、
目的と意思を持って行動している。
見た目も気のいいおじさん風情の彼に、
観る者は反発する事なく感情移入してしまう。


出だしから、ビルに何らかの目的がある事は明らかで、
ただ意味もなく、盗賊たちと旅をしているとは思えない。
こちらはそれが気になり、
最後まで目を離せない。


ビルを演じるルー・カステルという俳優さんの事は
よく知らないけれど、
なんだか腹に一物あるような表情で、
この役にピッタリだった。
「何を企んでるんだ?」って。


ラスト近く、その理由が分かり、
そのまた後に、
衝撃の終わりがある。
ビルの何気ない行動を見たチュンチョの
複雑な思い。
ああ、やはりそうきたか、という感じ。


評価 ★★★★☆

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