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「夜の大捜査線」 [映画]

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〔1967年/アメリカ〕


ミシシッピー州の田舎町。
警察官・ウォーレン・オーツは、
パトカーで巡回中、路上で殺されている男を見つける。


男は町の開発を手掛けている実業家だった。
駆け付けた警察署長・ロッド・スタイガーに、
「怪しい奴を探せ」とどやされたオーツは、
駅で列車を待つ黒人・シドニー・ポワチエを発見、
手錠をかける。


しかしポワチエは、
フィラデルフィア警察殺人課の敏腕刑事な事が分かる。
彼は休暇を利用して、
南部のこの町に、母に会いにやって来たのだ。


次に、被害者の財布を持っていた男が連れて来られる。
しかしポワチエは、男を少し観察しただけで、
犯人ではないと気付き、署長にその理由を説明する。
瞬時で人を見抜く、その能力に、
署長は内心驚く。


署長はポワチエに、
捜査の協力を頼みたいのだが、
彼に頭を下げる事ができなかった。
ここは黒人差別の激しい南部の土地なのだ。


しかし、ポワチエの能力を知った被害者の妻が、
「ポワチエが捜査に加わらなければ、町の開発から手を引く」と
言った所から、
頭を下げざるを得なくなる。


ポワチエは捜査を開始する。
白人たちの激しい嫌がらせにも負けず・・・。





シドニー・ポワチエの、
知的で、物静かな喋り口調が、
南部の田舎町で引き立って面白い。
事件解決よりも、
ポワチエに対する南部の人々の感情が、
強く描かれた作品。
第40回アカデミー賞受賞作。


人々の、ポワチエに対する感情は、
大きく分けて二つある。
一つは、「黒人のくせに」。


ポワチエは捜査の段階で、
町の有力者に殴られ、殴り返すのだが、
その時の有力者の驚きの表情は、
単に殴り返された事へのショックではなく、
黒人が白人に手を出すという、
彼の中での「有り得ない」出来事に対するものだったと思う。


もう一つは、都会の刑事への複雑な思い。
これは主に警察署内だけだが、
署長などは、二言目には、
「都会の捜査は違う(凄い)」みたいな事を言う。


けれど、それは都会とか田舎とか関係なく、
ここの警察が杜撰なだけなんだけどね。
ちょっと疑わしいと、すぐ逮捕して、
犯人と決めてかかる。
あれじゃ冤罪も多いはずだよ。


ポワチエと署長が、
広大な農場の脇を車で通り過ぎる場面が、
大変に印象に残った。
そこでは多数の黒人の使用人たちが、
綿花の収穫をしているおり、
それをじっと見つめるポワチエ。
そんなポワチエに気付いた署長は、
「(同じ黒人でも)お前とは縁がないな」と言う。
ポワチエは返事をしなかったが、
その胸中にはどんな思いがあったのだろう。


しかし、である。
ポワチエが必死に捜査した割に、
真犯人と、その動機がめっちゃショボい(笑)。
「そ、そんな理由で?」って。
町の開発に利権が絡んでるのかと思ったけど、
そんな事はまるで関係なし。
面白いけれど、拍子抜けした瞬間であった(笑)。


評価 ★★★★☆

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