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「マンモス 世界最大のSNSを創った男」 [映画]

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〔2009年/スウェーデン・デンマーク〕


ガエル・ガルシア・ベルナルは、
ゲーム会社を起業し、
成功を収めた実業家。


妻のミシェル・ウィリアムズは医者で、
多忙な日々。
7歳の可愛い娘がいるが、
家族が一緒になる時間は少ない。


娘の世話の殆どは、
フィリピン人の家政婦・マリフェ・ネセシトに任せている。
娘はネセシトに大変に懐いており、
彼女も娘を可愛がる。


しかし、ネセシト自身も、
フィリピンに10歳と7歳の息子がおり、
母親に預けている。


ガエルは、会社の契約の為、
バンコクへ行く。
妻を深く愛する彼は、
歓楽街の娼婦の誘惑にも乗らないかに見えたが、
思わぬ出会いが待っている・・・。





日本未公開ながら、
中々良い映画だった。
味わいは「バベル」に似ている。
地球上で起こる様々な出来事、
貧富の差などが、
「バベル」ほどの深みは無いが、
上手く描かれていると思う。


登場人物たちの、
我が子への思いが切なくてたまらない。


ミシェル・ウィリアムズは、
多忙のせいで、娘と一緒にいられない事に、
罪悪感を感じている。
家政婦のマリフェ・ネセシトはとても良い人で、
娘の面倒もしっかり見てくれているが、
ウィリアムズは、タガログ語を娘に教える彼女に苛立つ。


ネセシトはネセシトで、
フィリピンに残した息子が恋しくてたまらない。
息子たちは彼女に、「会いたい」と何度も電話をしてくる。
その度に彼女は泣く。
彼女の稼ぎで、
息子たちはどん底の生活をせずにいるのだが、
それが何だと言うのだと、心は負けそうだ。


ウィリアムズは、
母親に刺されて緊急搬送されてきた少年に、
過剰な思い入れを持つ。
それはまるで、
我が子に注ぐ事のできない愛情を、
その子で代用するように。


何でみんな、他人の子供の面倒を見て、
苦しんでいるのだろう。
金の為、生き甲斐の為、
我が子と一緒にいる時間を削ってまで、
他人の子の為に奔走する。


いや、私は別にそれを咎めてはいない。
そうやって世の中は回っているのだと思う。
ただ、面白いなと思うだけ。
逆に、我が子と一日中ベッタリ暮らしている母親が、
外に出たいと、もがく話も、
嫌になるくらいあるわけだし。


ガエルが懇意になる娼婦も、
ラスト、ある事実が分かる。
ガエルも彼女と一緒の時は、
甘い言葉を口にするけれど、
結局は、金持ちのアメリカ人が、
一時、擬似恋愛をしただけ。
娼婦もそんな事は百も承知なんだろう。
お互い、自分の生活に帰ってゆく。


娼婦たちが、
各国の男を品評する場面が可笑しかった。
日本人も俎上に載せられていたよ(笑)。
内容はここには書かないけど。


しっかし、このジャケットとサブタイトルは酷い。
これじゃ、「ソーシャルネットワーク」に便乗しただけで、
内容と全く一致していない。
ガエルが仕事をする場面は、
ほんの少しで、
映画のテーマでは全く無い。
なんだかこの映画が可哀想だ。
「マンモス」にだって、ちゃんと意味があるのに。


あまりに酷いので、
向こうのジャケットを載せておきます。
 ↓
mammoth1.jpg


評価 ★★★★☆

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