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「悪名波止場」 [映画]

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〔1963年/日本〕


四国からの帰りの船の中で、
自分の名前をかたる男(藤田まこと)に
出会った清次(田宮二郎)は怒り、
文句をつける。


本名を三郎というその男は、
「それもこれも、妹の為の金稼ぎ」と言い、
三郎の様子が気になった朝吉(勝新太郎)は、
瀬戸内海の島で、三郎と一緒に船を降り、
三郎の家に行く。


三郎の妹・おとし(紺野ユカ)は、
激しい麻薬禁断症状を表し、
のた打ち回り、
朝吉たちを驚かせる。


朝吉と清次はおとしの為に、
力仕事をして金を作る。
おとしは、薬を断つ決意をするのだが、
ヒモに殺されてしまう。


それを一部始終見ていた、
おとしの友人・悦子は・・・。




シリーズ7作目。


これはシリーズものらしく、
前作からの完全な続きとなっている。
前作の終わりで、
清次の名をかたる男が出てきて終わるのだが、
そこが出だしとなっているのだ。


その男を藤田まことが演じるいうのが、
今観ると、豪華。
コテコテの大阪弁を話す、
調子のいい彼は、
この映画の雰囲気にピッタリだ。


ただ、藤田の場面は最初だけで、
あとは金を持ち逃げしたという設定で、
出てこない。
なんというか、
ゲスト出演的な扱いだったのだろうか。


朝吉の人の良さがよく表れている(笑)。
船で知り合っただけの三郎の身を案じて、
一緒に船を降りるなんて。
まぁ、三郎の妹が美人と踏んでの事なんだろうけど(笑)。


ストーリーは、段々マンネリ化してきて、
最初は跋扈している悪者を、
最後に朝吉が叩きのめすという流れ。
でも、ここまで来たのだから、
15作全部観るつもり(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「嵐が丘」 [映画]

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〔1992年/イギリス〕


イギリスのヨークシャー地方。
嵐が丘と呼ばれる屋敷には、
主のアンショー、息子のヒンドリー、娘のキャシーが
暮らしている。


ある日、街から帰ったアンショーは、
ジプシーの少年を連れていた。
ヒースクリフと名付けられたその子は、
ヒンドリーたちと同等に育てられるが、
アンショーが死んだ途端、
ヒンドリーから下男になるように言い渡される。


大人になったヒースクリフ(レイフ・ファインズ)とキャシー(ジュリエット・ビノシュ)は、
幼い頃からの、変わらぬ愛を貫くが、
キャシーは、金持ちの隣家・リントン家の長男・エドガーから、
プロポーズされる。
自分の立場を悲観したヒースクリフは、姿を消す。


2年後、エドガーとキャシーの新婚の家に、
ヒースクリフがやって来る。
ヒースクリフは、嵐が丘の屋敷を買い取り、
ヒンドリーの借金の肩代わりをするくらい金持ちになって、
戻ってきたのだ。


ヒースクリフは復讐を開始する。
エドガーの妹を誘惑し結婚、
ヒンドリーの息子を下男として扱う。
かつて、自分がされた事を仕返すように。


さらに、18年後、
キャシーの娘と自分の息子を無理矢理結婚させ、
リントン家の財産を全て手に入れる事に成功し・・・。





先日見た、1939年・ローレンス・オリヴィエ版「嵐が丘」を観て、
ストーリーを把握したつもりになっていたが、
甘かったようだ(笑)。


オリヴィエ版は、
ヒースクリフの復讐が、キャシーの代までで終わっている。
「激しい復讐心というのが、今一つ伝わってこない」
と書いたけれど、それは当然かもしれない。
復讐は、彼らの子供の代にまで、及んでいたという事なのね。


ヒースクリフ、執念深すぎ(笑)。
しかも、自分の息子まで利用している。
まぁ、息子も、憎いリントン家の血を半分引いているわけだから、
可愛いとも思わなかったんだろうけど。


そんなこんなで、
観ているこちらは、混乱する。
あの子とあの子は従兄弟で、
あの子の親はあの人で・・・
と、家系図がほしいくらい(笑)。
小学生の時、よく理解できなかったのは、
仕方ないのかもしれない。
(読解力の無さは棚に上げているが(笑))


最近の映画なので、
オリヴィエ版より、ヒースクリフとキャシーが
愛し合う場面が分かりやすく、
私には、こちらの方が感情移入しやすかった。


レイフ・ファインズのヒースクリフ役がピッタリで。
冷酷な瞳に、
大きな体。
金持ちになって戻ってきてからは、
一度も心から笑った事のないような、
他人を嘲るような顔。
怖いくらいハマってた。


評価 ★★★☆☆

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「いまを生きる」 [映画]

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〔1989年/アメリカ〕


1959年。
ニューイングランドにある、
全寮制の名門進学校に英語教師・ロビン・ウィリアムズが
やって来る。


彼自身、この学校のOBで、
学生時代、「死せる詩人の会」というサークルを作り、
活動していた。
彼の授業は型破りで、
教科書に頼らず、
物事をあらゆる角度から見る事の大切さを、
生徒たちに説く。


しかし、校長は伝統校の規律を重んじ、
父兄もまた、自分の息子には、
寄り道の無い人生を望む者が多かった。


「死せる詩人の会」を内緒で復活させた数人の生徒たちは、
学校裏の洞窟に集っては、
詩を読み、
恋愛を語り、
自分の一番したい事を模索してゆくのだった。


ロバート・ショーン・レナードは、舞台俳優への夢に目覚め、
その道を志す。
しかし、一流大学に入る事だけが人の道だと
信じて疑わない彼の父は激怒。
レナードを退学させる。


その後、大変な事件が起こり、
諸悪の根源は、
ウィリアムズにあるかのような空気になってしまう・・・。





“いまを生きる”
これは簡単なようで、
意外と私には出来ていない事の一つだ。
過去の出来事にこだわったり、
将来の心配ばかりしたりして、
意外と「いま」を生きていない。


この映画はロビン・ウィリアムズが主演だけれど、
彼は、生徒たちに影響は与えても、
全幅の責任があるわけではない。


やっぱり生徒が最後に帰っていくのは家庭。
だからこそ、
レナードの父親のやり方には腹が立つ。
父親は、息子の為だと言いながら、
他人の迷惑は全く考えていない。


レナードがしている、
学校の出版物の副編集長の仕事を、
学業に差し支えるからと辞めさせ、
明日が舞台の本番だというのに、
主役を演じるレナードに、出演はならないと厳命する。


あんたは、それでご満足だろうけど、
レナードが抜けた穴はどうするのかと、
小一時間問い詰めたい気分だよ。
説教は、
レナードが職務を全うしてからしてくれって。


ああいうオッサンって、
若い頃、
何かに胸をときめかせた事はないのかね。
それとも、忘れちゃってる?
それとも、自分の事は棚に上げてるのか?


感動物なんだろうけど、
何だか皆が少しずつ無責任。
「いまを生きなきゃ」駄目じゃん(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「ヘルタースケルター」 [映画]

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〔2012年/日本〕


人気爆発中のトップモデル・りりこ(沢尻エリカ)。
女子高生は誰もが彼女に憧れ、
全ての雑誌の表紙を飾り、
今、その勢いは止まらない。


しかし、彼女には秘密があった。
彼女の美しさは全て作り物。
全身美容整形の賜物である事は、
一部の人間しか知らない。


ワガママ放題のりりこは、
付き人・羽田美知子(寺島しのぶ)に無理難題を押し付け、
楽屋では、恋人で金持ちの御曹司・南部貴男(窪塚洋介)と
激しく交わり、
また、主役を得る為なら、
プロデューサーのおっさんに体を投げ出す事も厭わない。


しかし、整形の後遺症が現れ始める。
美を維持するには、
大変な労力と金が必要不可欠なのだ。
また、年を取り醜くなる自分、
周囲の人が離れていってしまう不安に取りつかれたりりこは荒れる。


新人モデル・吉川こずえ(水原希子)の、
若さと美しさに人気を脅かされ、
南部には金持ちの令嬢との婚約を発表され、
焦りを覚えた彼女は、
次第に精神のバランスを崩してゆく・・・。





言い訳はしません。
この映画は、
沢尻エリカのヌードと、エロシーンを観るのが99%の目的で、
劇場に行った事を認めます(笑)。


私は女だけれど、
やっぱり有名な誰かが裸になったと聞けば、
大変な興味が湧く。
それは、裸そのものが見たいというより、
普段隠されているものを、
わざわざ曝け出してくれるのなら、
ぜひ見せていただきたいという、好奇心なのだと思う。


沢尻のヌードは、どこまでも自然だった。
胸は、思っていたより大きくなく、
お腹は、不自然に凹んではおらず、
太腿も、ちょうどいい感じに太かった。
彼女の事は、それほど良い印象がなかったけれど、
そういう自然さには好感が持てた。


ただ、ヌードシーンは、それほど多くはない。
もっと、自室や楽屋を全裸で闊歩するくらいの
潔さがほしかったな(笑)。


好奇心という意味では、
芸能界の内側を覗けたというのも、
私のミーハー心を大いに満足させてくれた。
この映画のような事が、
本当にあるのかは分からないけれど、
大スターだった人が、
明らかに「焦ってるのかな、この人」と思わせるような、
あからさまな行動に走ってしまうニュースが時にあるのは、
こういう心理なのね、と納得させられる。


付き人の羽田の部屋に行ったりりこが、
羽田の恋人と、羽田の目の前で関係する場面、
そして逆に、りりこの部屋で、
羽田と羽田の恋人が、りりこが見ている前で関係する場面が、
私の心の何かを刺激したようで、
可笑しくて可笑しくて、笑いをこらえるのに必死だった。


同行した友人は別に可笑しくなかったと言っていたし、
周囲のお客さんも、笑ってはいなかった。
何であの場面にウケたんだろう。
自分でもハッキリとは分からないけれど、
その馬鹿馬鹿しさ、くだらなさが、
とにかく可笑しかった。
一つ分かったのは、
あんな場面で笑ってしまう、
自分は、もういい年なんだなぁって事(笑)。


話題の割に、
世間の評価はずいぶん低いようだ。
確かに、好き嫌いの差は大きそうだけど、
私は結構楽しめた。
ちょっと長すぎる感じはしたけど。
ほぼ原作通りのストーリーに、
極彩色の色付けをした映画、そんな印象。


沢尻はこの後、どこへ行くんだろう。


評価 ★★★☆☆

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「嵐が丘」 [映画]

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〔1939年/アメリカ〕


北イングランドの地に建つ、「嵐が丘」と呼ばれる屋敷。
ある日、屋敷の主人のアンショウ(セシル・ケラウェイ)が、
薄汚れた少年を連れて帰ってくる。
孤児だった少年を哀れに思い、
引き取ったと言うのだ。
少年はアンショウからヒースクリフ(ローレンス・オリイヴィエ)と名付けられる。


アンショウの息子・ヒンドリー(ヒュー・ウィリアムズ)は、
ヒースクリフを嫌ったが、
娘・キャシー(マール・オベロン)とは気が合い、
2人はいつも一緒に過ごすようになる。


年頃になったヒースクリフとキャシーは、
愛し合うようになるが、
アンショウが亡くなり、嵐が丘の主人となったヒンドリーは、
ヒースクリフを下男として扱うようになる。


キャシーは、隣家の金持ちのリントン家の舞踏会に忍び込み、
その煌びやかな世界に憧れる。
リントン家の長男・エドガー(デイヴィッド・ニーヴン)は、
美しいキャシーを見初め、プロポーズ。
キャシーは迷うが、プロポーズを承諾したと勘違いしたヒースクリフは、
ショックで家を飛び出し、そのまま姿を消す。


エドガーとキャシーは結婚。
その数年後、ヒースクリフは金持ちになって戻ってくる。
激しい復讐心を胸に秘めて・・・。





先日観た、シャーロット・ブロンテ原作の「ジェーン・エア」。
その流れから、シャーロット・ブロンテの妹のエミリー・ブロンテが書いた、
「嵐が丘」が気になり、
急に観たくなり、借りてきた。


小学生の時、どちらも原作を読んだが、
「ジェーン・エア」はなんとか理解できたものの、
「嵐が丘」はさっぱりで、
途中で挫折したような気もする。


今回、この映画で、
「こういうお話しだったのね」と分かったが、
それでも、話は相当端折ってあるようだ。


そのせいか、この映画では、
ヒースクリフの中にくすぶる、
激しい復讐心というのが、
いま一つ、伝わってこない。


それにしても、幼馴染で、愛し合う2人が、
横から現れた金持ち男に女を取られ、
男が復讐に燃えるってパターンは、
「金色夜叉」と全く同じじゃないか(笑)。


どこの国でも、同じような話ってあるのね。
ただ、私は「金色夜叉」の方がずっと入り込めたなぁ。
やっぱり、日本人は日本人の感性で作られた物語の方が、
合うのかも。


「嵐が丘」は6~7回も映画化されているようだ。
舞台を日本にして、
松田優作がヒースクリフに当たる役を演じている作品もある。
近いうちに観てみるつもり。


評価 ★★★☆☆

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