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「ハングリー・ラビット」 [映画]

hungryrabbit.jpg
〔2011年/アメリカ〕


ニコラス・ケイジは、
妻・ジャニュアリー・ジョーンズと二人、幸せに暮らす高校教師。
ところがある夜、
ジョーンズは、性犯罪の前歴のある男に襲われ、
重傷を負ってしまう。


病院のロビーで、怒りと悲しみに打ちひしがれているケイジに、
見知らぬ男・ガイ・ピアースが話しかけてきた。
「奥さんを襲った犯人を知っている。
 あなたの代わりに復讐してやってもいい」と。


途惑い、一度は断ったケイジだったが、
すぐに思い直し、立ち去ろうとするピアースを呼び止め、
復讐を依頼する。


その後、約束通り、
犯人は自殺に見せかけ、殺される。


ジョーンズの傷が心身共に癒え、
幸せな暮らしを取り戻した夫妻だったが、
半年後、ピアースからケイジに殺人以来が来る。
小児性愛の男を殺すよう命じられたのだ。
驚き、断ると、
「恩を忘れたのか」と脅され、
実行せざるを得ない状況に追い込まれる。


ピアースの背後には何か大きな組織があるらしい。
そしてケイジは、殺人の容疑者として逮捕されてしまう・・・。





昨日書いたように、
ケイジ物2本目(笑)。
「ブレイクアウト」と違って、
ニコラス・ケイジの動きが激しく、
追われながら、真相解明に奔走する。


これ単品で観ていたら、
どうって事ない内容なのだろうけど、
密室劇だった「ブレイクアウト」を観た直後なだけに、
ものすごい広がりと解放感を感じた(笑)。


観ていて、不幸の手紙の殺人バージョン?と思ったけれど、
話はもう少し複雑なようだ。
世直しに取りつかれたガイ・ピアースが、
その対象を広げていってしまうという流れ。


逃げ回るケイジのアクションシーンが、
結構面白い。
組織に追われ、
高速道路を無理矢理横断するシーンでは、
「うわっ、危ないっ!」と声が出そうになったよ。
我慢したけど(笑)。


ガイ・ピアースが良い。
表情を変えない、得体の知れない男の役が、
めっちゃハマっていた。


ストーリーは有り得ないけどね。
ある組織が、ある犯罪の犯人を知っていて、
それを素人に殺させるなんて、
秘密が守り通せるわけないし。
私だったら、怖ろしくて、
すぐ人に喋ってしまいそう(笑)。


そもそも、人は見知らぬ他人を簡単に殺せるほど、
単純にはできていないんじゃないのかな。
生れた時から、今まで生きてきた過程で備わった倫理観で、
殺人は最大のタブーだと思うしね。


まぁ、そんな真剣に考える映画じゃないわ(笑)。
気楽にケイジが懊悩する表情を楽しめばいいって作品。


評価 ★★★☆☆

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「ブレイクアウト」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


超豪華な邸宅で暮らす、
ニコラス・ケイジとニコール・キッドマン夫妻。
ケイジはダイヤモンドのディーラーとして、
仕事に忙しい。


彼らの娘・リアナ・リベラトは、
思春期に入っており、パーティに行く行かせないでモメている。
一度は諦めて自室に入ったリベラトだが、
キッドマンの目を盗んで、
出掛けてしまう。


そんな時、チャイムが鳴った。
警察官が、「強盗が多発しているので巡回に来た」と、
インターフォン越しに告げる。
ケイジがドアを開けた瞬間、
事件が起こる。


覆面をした4人の人間が、
ケイジに襲い掛かってきたのだ。
彼らこそが本物の強盗で、
ケイジとキッドマンは捕まってしまう。


犯人たちは、ケイジがダイヤを扱っている事を知っており、
金庫を開けろと命令する。
しかし、ケイジは何故かそれを拒否する。
そんな修羅場の中、
リベルトが帰宅、
事態はますます悪化してゆく・・・。





昨日は、ニコラス・ケイジの映画をハシゴしちゃったよ。
石川三千花さん風に言えば、ケイジ物2連発。
濃い一日だった(笑)。
本作と、もう一本は、「ハングリー・ラビット」。


なんでケイジはこんなに頑張る?
と、それは、
天文学的にあるという借金の返済でしょ、
というのが大方の見方のようだけれど、
まぁ、それも憶測で、
ただ単に、仕事に目覚めたのかもしれない(笑)。


それにしてもこの映画、
ニコラス・ケイジとニコール・キッドマンの共演なんて
今まであったかな。
二人共、大スターなのに、
なんか質感や作品選びが違う気がして、
記憶にないのだけれど。


2人は夫婦という設定で、
しかし、ケイジは何か考える所あるらしく、
何となく上の空。
キッドマンからキスを求めても、はぐらかす様子まで感じられて、
とっても贅沢で、身の程知らずな役よ(笑)。
まぁ、その理由も追々分かるのだけれど。


映画自体は、
“シチュエーションムービー”とでもいうのか、
出来事の99%は、
ケイジの豪邸の中で起こる。


強盗団に襲われ、
銃を突きつけられ、
「もはやこれまでか!?」と思うと必ず、
邪魔が入ったり、仲間割れしたり、
ドタバタドタバタ、その繰り返し。


でも、いいや。
ケイジとキッドマンの2人を、同じスクリーンで観られただけで、
めっちゃ満足。
しかも、あの豪邸。
一度でいいから、あんなお家に住んでみたい(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「学生ロマンス 若き日」 [映画]

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〔1929年/日本〕


下宿屋の外壁に貼られた、
“貸し間あります”の紙。
それを見て入ってきた男に、
「すみません、決まっちゃったもので」と言って、
追い返す、結城一朗。


何度も同じ事を繰り返す結城。
何人目かで、可愛い女子大生・松井潤子がやって来た途端、
「どうぞどうぞ、僕は明日引っ越しますので」と、
調子よく言う。
どうやら、女の子が来るのを待っていたようだ。


翌日、下宿を出た結城は、
友人・斎藤達雄の下宿に転がり込む。
2人は早稲田大学の学生。
揃って成績が悪く、
勉強にはあまり関心がない様子。


彼らは、松井が赤倉にスキーに行く事を知り、
自分たちも何とか金を作り、
赤倉に赴く・・・。





小津安二郎監督作品の中で、
現存する一番古いフィルムが本作だそうだ。


完全なサイレント映画で、音楽もない。
とにかくひたすら観る。
視覚だけが頼りなので、
少しでも目を離すと、話が分からなくなりそうだ。


1920年代の世の中は、なんて呑気だったんだろうと思う。
結城一朗は松井潤子に下宿を明け渡した翌日以降も、
「忘れ物をした」とか何とか言って、
松井の部屋に上がり込む。
部屋と言っても、鍵の掛かるドアがあるわけではなく、
襖一枚のみ。


危ないったらありゃしない(笑)。
今の世の中だったら考えられない。
誰も、悪い事なんて考えていなかったのだろうか。


当時の街の風景も楽しめる。
看板に書いてある文字などから、
どんな物が売られていたのかが窺えて、
興味深い。


スキー場での様子は、
まるでコントのようだ。
スキーの出来ない斎藤達雄が、
とっても鈍臭い。
ちょっと笑える。


観終わってから調べてみたら、
1927年のアメリカ映画、「第七天国」を観ておいた方が、
より楽しめる事を知った。
いつか観てみたい。


評価 ★★★☆☆

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「オーケストラの少女」 [映画]

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〔1937年/アメリカ〕


失業中のトロンボーン奏者・アドルフ・マンジューは、
高名な指揮者・レオポルド・ストコフスキー率いる
オーケストラに加えてもらおうと、
楽屋入り口で待つが、すげなく追い返される。


ところが、その帰り道、大金の入ったバッグを拾ったマンジューは、
溜まっている家賃を、その金で支払ってしまう。
マンジューの娘・ディアナ・ダービンは、
父がストコフスキーに採用されたのだと勘違いし、
娘の嬉しそうな顔を見たマンジューは、
本当の事を言い出せなくなってしまう。


次の日、父の練習風景を覗きに行ったダービンは、
父の嘘に気付く。
帰宅後、父に事実を問い質したダービンは、
拾ったバッグを持ち主に返しに行く。


バッグの持ち主は、大金持ちの中年女性・アリス・ブラディ。
ブラディはダービンから父の話を聞き、
楽団のメンバーが揃ったら、
スポンサーになると約束してくれる。


早速、100人の失業中のミュージシャンを集め、
ガレージで練習に入るが、
金を出すはずのブラディは、
ヨーロッパに旅行に出てしまう。
ブラディの夫に掛け合ったダービンだが、
そんな話には乗れないと、追い返されてしまう。
100人の楽団員はどうなるのか・・・。





観る前は、
少女が既存のオーケストラで、
何らかの形で関わる話かと思っていたので、
こんな、ゼロからのスタートの物語に驚いた。


正直、最初は、
こんな無計画で、行き当たりばったりで、
泥縄なやり方、上手くいくわけがないと思っていたのだけれど、
気が付くと夢中になっていた。


本物の指揮者・レオポルド・ストコフスキーが、
劇中でも指揮者を演じているのだけれど、
その、音楽家らしい、ちょっと繊細で、
気難しそうな感じが、
父と、100人の楽団員の為に頑張るディアナ・ダービンと対照的で、
でも、映画の雰囲気に合っていて、とても良い。


そのディアナ・ダービンが、
劇中で何度か歌を披露するのだけれど、
それが中々上手くて、
さらにラストは、その歌が大変に効く。
映画を盛り上げる。
いい場面だった。


ドラマは殆ど観ないけれど、
珍しくハマっていた、「のだめカンタービレ」で、
オーケストラを率いる事がどれほど大変か、
あの頃、よーく学ばせていただいた(笑)。


あのドラマの素地があったからこそ、
この映画がより楽しめたのだと思う。
「のだめ」に感謝。


評価 ★★★★☆

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「地獄」 [映画]

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〔1960年/日本〕


恩師・矢島教授の娘・幸子(三ツ矢歌子)と婚約した清水四郎(天知茂)は、
幸せの絶頂にあるはずだったが、
どこか暗い青年。


さらに輪をかけて暗い学友・田村(沼田曜一)は、
なぜかそんな清水に付きまとう。


ある日、清水は、田村の運転する車に同乗するが、
いつもと違う道を通ったところ、
泥酔していたヤクザを轢き殺してしまう。
田村は目撃者がいないのをいい事に、
逃げ出すが、
ヤクザの母親が見ており、車のナンバーを覚えられる。


罪の意識に耐え切れなくなった清水は、
幸子を伴って、
警察に出頭しようとするが、
乗っていたタクシーが事故を起こし、
幸子は死んでしまう。


その後、清水は、
母親が危篤との電報を受け取り、
田舎に帰るが、
そこでは父親が妻妾同居という異常な環境で暮らしており、
また、集まってくる人間も胡散臭い連中ばかり。


そんな中、清水は、
実家の隣家に住む、美しい娘が、
幸子にソックリな事に驚く・・・。





変な物、観ちゃったな(笑)。
しかも、お食事しながら。


ビックリするほど、人が死ぬ。
次から次へと。
別に清水に殺意はないし、
彼のせいでは全くないのだけれど、
それでも周囲の人が死んでゆく。
そして清水は、自分で自分を責める。


人は何らかの形で、人を殺していると、
田村が言う。
そんな事言ってたら、
人間は全員殺人者で、
地獄に行くしかあるまい。


後半の三分の一は、地獄に落ちた清水の体験が
描かれる。
一般的に知られている、
「血の池」や「針の山」、
それから、「皮剥ぎ」なんてのもある。
(これがちょっとグロテスク)


清水は地獄で幸子と再会するが、
彼女から、「実は妊娠していた」と告げられる。
私は赤ちゃんが大好きだけれど、
地獄にいる赤ちゃんって、
なんだか怖いものだね。


世間での評価は結構高いようだ。


評価 ★★★☆☆

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