SSブログ

「SHAME -シェイム-」 [映画]

shame.jpg
〔2011年/イギリス〕


ニューヨークで暮らすマイケル・ファスベンダーは、
オシャレでスタイリッシュなビジネスマン。
しかし彼は、重度の性依存症という別の顔があった。


娼婦、バーで知り合った女、
果ては、地下鉄で向かい側の席に座った女の後を追うまでに
強い性欲は彼を支配し、
相手がいない時は、
所かまわずマスターベーションをしては、
欲望を処理する日々。


そんな彼のマンションに、
ある日、妹のキャリー・マリガンが転がり込んでくる。
マリガンは男がいないと生きていけないようで、
ファスベンダーの隣室で、
彼女を捨てた男に電話をしては、
縋り付くような声が聞こえ、
ファスベンダーはやり切れない思いに駆られる。


マリガンは無神経に、
マスターベーション中のファスベンダーのバスルームを
ノックもせずに開けたり、
パソコンのポルノ動画を見つけたりする。
ファスベンダーは、次第にイライラを募らせるが、
彼女には彼女の苦しみがあった・・・。





マイケル・ファスベンダーが性依存症との予備知識がなければ、
ニューヨークのオシャレなビジネスマンの性生活を描いた作品といっても
納得できる内容。


彼の性欲は確かに過剰だけれど、
まあ、それなりにお金があって、
あれだけのルックスなら、
こんなものかなという気がしないでもない。
犯罪でない限り、
何をしたって自由だしね。


ただ、会社のトイレでマスターベーションするのは、
ちょっといただけない(笑)。
それが我慢できない所が、
やっぱり普通じゃないのかしらって(笑)。


それから、ファスベンダーに断りなく、
会社で使っているパソコンが修理に出されて、
中身のポルノがバレてしまう場面があって、
それはちょっとヤバい気持ちにさせられた。
それって、自分の心を覗かれているようで、
物凄く恥ずかしい。
それに、私も、もちろんポルノは見ないけれど、
仕事中にブログなんかやっちゃってるわけだし(笑)。


ファスベンダーは性依存症だけれど、
キャリー・マリガンも男がいないと生きていかれないようだ。
彼女は失恋したばかりにも関わらず、
ファスベンダーの上司とすぐ関係してしまう。


3人で乗ったタクシーの中で、
ファスベンダーがいるにも関わらず、濃厚なキスが始まり、
ファスベンダーのマンションで
ファスベンダーに憚る事なく、
隣室で性行為が始まる。
一緒に観た友人は、「アメリカ人って考えられない」と言ったけれど、
あれはアメリカ人だからじゃなくて、
マリガンが普通じゃないだけだという結論に落ち着いた。


同じ性依存症なら、
男より女の方が、より辛いんじゃないかと、
私には感じられた。
理由は色々だけれど、
一般的に、女は男より貞操観念が強いと思われているわけだし、
そういう枠からはみ出るのは辛いだろうって。


ヌードシーンが多いけれど、
ボカシが入る場面と、入らない場面の基準が分からない。
マリガンもヌードになっていて、それはボカシなし。
可愛い女優というイメージだったから、ちょっと驚いた。
お腹もポッコリしていて、
この映画の為に、特に体を作った感じはせず、
一般人のようであった。


評価 ★★★☆☆

nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「大菩薩峠 第二部」 [映画]

daibosatsu2kataoka.jpg
〔1958年/日本〕


盲目となった机竜之介(片岡千恵蔵)は、
前妻・お浜にソックリな女・お豊に助けられ、
山を下りる。


竜之介を金銭的に援助するため、
お豊は旅篭・備前屋に住み込みで働き始めるが、
悪徳旗本・神尾主膳(山形勲)の目に止まってしまい、
無理矢理、性関係を持たされる。


その事にショックを受けたお豊は、
仲良くしていた芸人・お玉に、
竜之介への手紙とお金を託し、自害する。


お玉からの手紙を受け取った竜之介は、
東に向かうが、
その後を、竜之介を敵と狙う、
宇津木兵馬(中村錦之助)が追う。


その後、山の中で、
子持ちの女・お徳(木暮実千代)に助けられた竜之介は、
束の間の安息の日々を過ごす。


しかし、数奇な運命から、
神尾主膳の家来となる竜之介。
竜之介の運命は・・・。





片岡千恵蔵版「大菩薩峠」。
3作中の2作目。


粗筋を書こうにも、
あまりにも沢山の人物が、複雑に絡み合っていて、
能力のない私には、その説明が難しい。


調べると原作は、41巻(!)もあって、
しかも未完だそうだ。
何か映画を観ると、原作を読んでみるのも好きな私だけれど、
この本を手に取る事は、おそらくないと思われる(笑)。
市川雷蔵版の「完結編」レビューで、
「物語が端折られてる気がする」と書いたけれど、
41巻もあったら、端折らなければ描き切れなくて当然ね(笑)。


けれど、この映画で、
お豊がなぜ自害したのかが、分かったので、
胸のつかえが下りた感じ。
市川版ではいきなり遊女になっていて驚いたけれど、
この映画では、彼女の身に起きた最悪の出来事が描かれていた。
お豊の運命を決定づけた、
神尾主膳に怒りを覚えるわ。


お徳に助けられた竜之介が、
彼女の4歳くらいの息子を可愛がる場面が、
大変に良い。
人を殺す頃でしか、生きる証を立てられない竜之介が、
子供と接する時、物凄く優しい笑顔を見せるのよ。


「こんな山の中で、こうして暮らすのもいいな」と、
生れて初めてとも言っていい、やすらぎを口にする。
けれど、運命はそうはいかない方向に流れ出すのだけれど。


評価 ★★★☆☆

nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」 [映画]

MargaretThatcher.jpg
〔2011年/イギリス〕


イギリス初の女性首相・マーガレット・サッチャー(メリル・ストリープ)も、
今は老い、
自宅で静かに暮らしている。


ミルクを買うのに一人で出掛けるが、
なぜか周囲の人間から、外出は駄目だと強く言われる。
買い物くらい自分にもできるのに、
そんな事、言われたくはない。
夫と二人でとる朝食は幸せ。
でも、部屋にいたはずの夫が、
目を離すといなくなっている。
どこに行ったんだろう・・・。


昔、イギリスを、そして世界を動かしていた自分。
雑貨店に生まれ、
店を手伝いながら、懸命に勉強した。
オックスフォードに合格した時の、天にも昇るような喜びったら。
他の女の子たちは、変わり者だと噂していたようだけれど。


市長の経験がある父の影響で、
政治家を志すようになったけれど、
初めての選挙では、あえなく落選。
失意のどん底にいた自分を救ってくれたのが夫だった。


夫は、ありのままの自分を受け入れてくれた上で、
プロポーズしてくれた。
「一生お皿を洗って終わる人生なんてまっぴら」と言う自分の言葉を理解し、
結婚後は男の子と女の子の双子にも恵まれた。
家族に支えれらながら、
政治家としての道を歩み始めた自分・・・。





先週、「徹子の部屋」に2日連続で、
メリル・ストリープさんがゲスト出演していたので、
録画して観た。


徹子さんと談笑するストリープさんは、
それはそれは素敵で、
想像以上に知的で、落ち着いた、穏やかな女性だった。
実は私は、以前は彼女が好きじゃなかった。
というより、彼女の良さがよく理解できなかったのだろうと思う。


でも、今なら分かる。
浮き沈みの激しいであろうハリウッドにおいて、
彼女がなぜずっと、第一線で仕事ができるのか。
私も年を取ったら、あんな女性になりたい(無理か(笑))。
目じりのしわまでカッコいい。





で、元イギリス首相、マーガレット・サッチャーを描いたこの映画、
観ようかどうしようか迷っていたけれど、
「徹子の部屋」のおかげで、やっぱり観ちゃったよ(笑)。


“主演女優賞を取るくらいだから、
どれだけシリアスで、重たいんだろう、
特に思い入れのないサッチャーさんの半生を観るのに、
2時間半くらいあったら辛いかな”と、
とちょっと不安だったのだけれど、
意外に軽くて、時間も1時間45分。


年を取ったサッチャーさんが、過去の出来事を回想、というより、
彼女の頭の中に、自然に浮かび上がってくる映像を
映画にしたような作り。
政治の場面は、思っていたより少なくて、
起こった出来事の羅列といった印象。


できれば、もう少し、
家庭人としてのサッチャーさんが観たかった。
子どもたちが、仕事に行くサッチャーさんの車を追いかけるシーンが、
一度だけあったけれど、
たとえば、その辺のエピソードを、
もっと深く掘り下げるとか。


それとも、そんな悩みはあまり無かったのかな。
なにせ彼女は“鉄の女”だし、
頭がいいし、
子育て、その他に於いて、
常に先手を打って、上手くやっていたのかもしれない。
それくらいでなければ、
一国の首相は務まらないわね。


評価 ★★★☆☆

nice!(20)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「続 拝啓天皇陛下様」 [映画]

zokuhaikeitennouheikasama.jpg
〔1964年/日本〕


幼い頃、家族を亡くし天涯孤独となった山口善助(渥美清)。
小学生の彼は、教師に引率され、
天皇陛下がお通りになるのを見て以来、
天皇陛下が大好きだった。


大人になった善助に召集令状が届く。
たった一人の友人、中国人の床屋・王(小沢昭一)に、
髪を刈ってもらい、出征した善助は、
戦地で、軍犬の世話係を任命される。


三度の飯がありつける軍隊は、
善助にとって夢のような場所だった。
彼に懐くトモハルも可愛くてたまらず、
また、トモハルの元の飼い主・久留宮ヤエノ(久我美子)からの
慰問袋も楽しみの一つで、
善助には何の不満もなかった。


しかし、日本は戦争に負ける。
トモハルを日本には連れて帰れないと上官から言われた善助は、
泣く泣く、ある行動に出る。
日本に着いた彼は、
すぐにヤエノの家に行き、トモハルの首輪を渡す。
ヤエノは大変に美しい、品格のある女性で、
善助はすっかり彼女に惚れてしまう。


戦後の混乱の中、
王と一緒にヤミ屋など様々な事をしながら生きる善助は、
ヤエノに献身的に尽くしてきた。
しかし、彼女の夫が復員する事になり、
ショックを受ける。


その後、アメリカ兵相手の売春婦・恵子(宮城まり子)と
結婚した彼は、
彼女と幸せな家庭を築くはずだったのだが・・・。




タイトル通り、
先日観た、「拝啓天皇陛下様」の続編だが、
主人公は同一人物ではなく、
似て非なる別人。


一般の評価は前作の方が良いようだが、
私はこちらの方が好き。


渥美清扮する山口善吉が、
戦地で面倒を見る“軍犬”という存在が、
奇しくも、先日観た、「戦火の馬」と重なる。
軍馬というのは知っていたが、
犬までが戦争に駆り出されていたのかと思うと、
その、なりふり構わない様子に、情けなくさえなってくる。


そして、敗戦。
混乱する中国で、
犬なんか連れていたら帰れないと話す上官の言葉に、
以前観た、中国残留孤児のドラマを思い出した。


それは、
敗戦後の中国で、息を殺すようにして多数の引き揚げ者が乗っている、
港までの列車内。
赤ちゃんが泣くと、敵に見つかってしまう、
線路脇に置き去りにしろとの大コールが起き、
我が子を捨てる以外に選択肢の無かった母親の物語。
そのショックな内容は、今も忘れる事ができない。


犬を置いていかなければならない理由は、
私が観たドラマとはちょっと違うし、
人間と犬を同列には出来ないけれど、
とても重なるものがあるような気がして。


後半は帰国してからのエピソードが続く。
ラストは、前作同様、
大変に悲しい。
なんでこんな終わりにしちゃうの?と思う。
せめて本作では、
主人公を幸せにしてあげてほしかった。


全体的にはコメディなので、
悲惨さはない。
笑いの中の悲しみ、そんな感じ。


評価 ★★★☆☆

nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「34丁目の奇跡」 [映画]

34chomenokiseki.jpg
〔1994年/アメリカ〕


クリスマスシーズン。
ニューヨーク西34丁目の老舗デパート“コールズ”の前では、
今、まさにクリスマスパレードが行われようとしていた。
しかし、サンタクロース役の老人が酒に酔い、
使い物にならない事態が起こる。


責任者・ドリー・ウォーカー(エリザベス・パーキンス)は
そこに通りかかったお爺さん、
クリス・クリングルさん(リチャード・アッテンボロー)を、
急遽、サンタ役に据えるが、これが好評。
クリスさんはコールズに雇われ、
サンタとして、子供たちの願いを聞き入れる、
相談役をする事になる。


子供たちがクリスマスプレゼントに望む物を聞いたクリスさんは、
コールズより安価でそれを売っている店があると、
そこで買うように勧める。
最初は驚いた上役やドリーだったが、
良心的だと、客からの評判は上々で、
逆に売り上げは倍増する。


ドリーは男友達の弁護士・ブライアン(ディラン・マクダーモット)の手を借りながら、
娘・スーザン(マーラ・ウィルソン)を育てていた。
スーザンは大人びた、醒めた子供で、
サンタの存在を信じていなかったが、
クリスさんに会った瞬間、
「もしかしたら・・・」の思いにとらわれる。


スーザンはクリスさんに、
自分の欲しい物をそっと話す。
その願いが叶ったら、
彼は本物のサンタだとの願いも込めて。


ところが、クリスさんの人気に嫉妬した、
ライバルデパートの陰謀で、
路上で酔っ払いに挑発されたクリスさんは、
杖で相手を殴ってしまう。
事件は裁判にまで発展し、
クリスさんが本物のサンタかどうかに焦点が当てられる。
クリスさんはどうなるのか。
そして、スーザンの願いは叶うのか・・・。





1947年の映画、「三十四丁目の奇蹟」のリメイク。
オリジナルもとても良かったけれど、
こちらも遜色ない出来だった。
本当はクリスマスに観るのがベストだけれど、
関係のない季節にクリスマスの雰囲気を味わうのも
悪くなかったな。


リチャード・アッテンボロー扮するサンタクロースが、
物凄くいいです。
とても暖かくて、
本気で子供たちの事を考えてくれてて、
ついでに、プレゼントを買う側のお財布の心配までしてくれる(笑)。


一見、子供向け作品のようだけれど、
後半、裁判に持ち込まれる当たりは、
大人でも十分楽しめる。
というより、これを観た子供さんたちは、
裁判シーンを理解できるのか、
心配になったくらい(笑)。
(もちろん、子供は大人が思っているより大人なので、
 ちゃんと分かっているとは思いますが)


クリスさんが本物のサンタかどうか、
そして、それを信じるか否かの結論は、
おそらく日本では出ない発想ではないかという気がした。
なにせ、国家や政府などといった言葉まで出てくる。
国家や政府にそこまで敬意を払う日本人って、
あんまりいない気がする(笑)。


ドリーとブライアンの恋愛問題が絡んでくるあたりも、
ただの子供向けじゃない感じで、好き。


評価 ★★★☆☆

nice!(22)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画