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「惜春鳥」 [映画]

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〔1959年/日本〕


福島県、会津若松。
大きな旅館の跡取り息子・小坂一也、
母のスナックでバーテンをする津川雅彦、
東京の大学に通っている川津祐介、
工場で働く石浜朗、
家業の会津塗を手伝う、足が不自由な山本豊三。


5人は20歳の同級生で、
変わらぬ友情を温めてきた。
今回は川津が帰省してきたのをきっかけに集まる。


しかし大人になった彼らは、
もう子供の頃のように幸せなだけではなく、
それぞれの感情に微妙な行き違いが生まれ始めていた。


川津は東京での生活に疲れているようで、
どこか様子がおかしい。
聞けば女で問題を起こし、下宿を追い出されたと言う。


津川には恋人・十朱幸代がいたが、
彼女は石浜との見合い話が持ち上がっていた。
クールな石浜は友情より、
条件のいい十朱との結婚を選ぼうとする。


また津川の叔父・佐田啓二は、
芸者・有馬稲子との駆け落ちに失敗、
今は半病人のように伏せったきりで、
津川の励ましの言葉も耳には入らない。


そんなある日、小坂の旅館に警察からある連絡が入る。
衝撃を受ける小坂・・・。





5人の若者たちの青春群像劇。
5人の境遇や関係を頭の中で纏めるのが
最初はちょっと大変だが、
分かってくると、すんなり楽しめる。


子供の頃は何も考えずに仲良くしてこられた友達なのに、
大人になって、一人一人の家庭の事情を知ると、
「そうだったんだ」と思う事も多い。
人間は皆平等なんて有り得ない。
生れる家も親も選べない。
与えられた環境で、自分を生きるしかない。


しかし、昔の20歳って大人だね。
実年齢は20歳より多少上のようだけれど、
みんな見た目にも老成した感じがする(笑)。
まぁ、現代の人の精神年齢は、
昔の七掛けと聞いた事があるから、
そんなものなのかもしれないけれど。


木下惠介監督作品。
男同士の入浴シーンや、
握手と称して手を握ったりする場面が多い事などから、
ゲイ映画と解釈する向きもあるようだ。
私はそこまで読み取れなかったけれど、
うーん、映画って奥が深いわ(笑)。


パッケージを見ると、
佐田啓二が主人公のようだが、
彼は津川雅彦の人生に影響を与えるくらいで、
本筋にはあまり絡んでこない。
あくまでも主人公は5人の若者だ。


評価 ★★★☆☆

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