「地上」 [映画]
〔1957年/日本〕
神保町シアターで観た。
大正時代半ばの金沢。
母親・田中絹代と2人暮らしの川口浩は中学5年生。
学校の成績は良いが、生活に困窮し、学費も中々払えない。
親子は芸妓斡旋所の2階を間借りして暮らしており、
田中の針仕事で生計を立てている。
ある日、斡旋所に新しい女の子・香川京子が連れてこられる。
美しく、まだ清らかな香川だが、
売られた以上、明日から芸者として働かねばならない。
川口が友人と道を歩いていると、
向こうから美しいお嬢さんがやってきて会釈した。
彼女は大きな工場の社長令嬢・野添ひとみで、
川口は、子供の頃から彼女に惚れているのだ。
川口は思い切って、野添に恋文を書く。
野添からの返事には、
彼女も同じ気持ちでいてくれている事が書かれ、
喜ぶ川口。
野添の父親の会社が大規模なストライキに入り、
警察が介入するまでに広がってしまう。
川口は、そこで働く友人に差し入れをするが、
その時、警察に捕まり、仲間との疑いをかけられてしまう。
すぐに釈放はされたが、
野添の家に行った川口は、
使用人から殴られ、追い返されてしまう。
所詮は、身分違いの恋。
野添は兄・川崎敬三の計らいで、
川口と密会するが・・・。
なんだか散漫な印象。
全ての出来事が唐突すぎて。
浩様が友人に、「実は野添を小学校の頃から好きだった」と
告白する場面も、
観ているこちらは、「え!そうなの?」という印象しか受けない。
だって彼女と擦れ違った時の浩様には、
彼女に恋焦がれているといった感じがしなかったから。
惚れたとしても、最近なのかなと思わされるが、
そんな昔からだなんて。
浩様の演技力のせいかもしれないが(笑)。
ヒロインが2人いるというのも、
散漫に感じる原因かも。
野添よりも、
おぼこな娘から芸者になった香川京子の方が、
主役みたいだ。
彼女は金持ちの中年男・佐分利信に気に入られ、
妾として東京に連れて行かれる事が決まる。
けれど香川は浩様が好きだったと告白する。
それもなんだか唐突な感じ。
いつそんな気持ちになったのよって。
身分違いの恋か、
芸者との恋か、
どちらかに絞った方が絶対いい。
そういえば、浩様の友人の妹も浩様に惚れている。
浩様ったらモテモテだわ(笑)。
あんなに可愛いから、分からなくもないけどさ(笑)。
ラストも突然終わってしまう。
イマイチだったけど、
袴姿の浩様を見られたから良しとしよう(笑)。
評価 ★★★☆☆