「有楽町で逢いましょう」 [映画]
〔1958年/日本〕
神保町シアターで観た。
世界的デザイナー京マチ子は、
大阪・そごうデパートの店内で行われたファッションショーを大成功させる。
しかし、その後、東京へ戻る列車の中で、
隣り合わせた菅原謙二に無礼な振る舞いをされ、
憤慨する。
東京のそごうデパートの店内に事務所を構える京。
売れっ子の彼女は大忙しだが、
そこへ、顧客の一人、野添ひとみが、
ドレスを受け取りにやってくる。
京のデザインに満足して帰った野添だが、
家でそれを着て、兄に見せると、
「趣味が悪すぎる。お前に似合っていない」と、
散々貶される。
その兄というのが、京と列車内で出会った菅原であった。
野添は兄の言う通り、
翌日、洋服を返しに京の事務所に出向く。
多忙な京を待つために応接室に入ると、
そこにいたのが、京の弟で大学生の川口浩。
川口も、ドレスの趣味の悪さに同調し、
ドレッサーの中から勝手に手頃な服を見つけ、
それを野添に着せてしまう。
事情を知った京はカンカンに怒って、
菅原に苦情を言いに行き、
二人は口争いになる。
川口と野添はその後もデートを重ね、
結婚を意識するようになる。
しかし、京は猛反対。
川口と野添、
そして、京と菅原の恋の行方は・・・。
昔流行ったという歌謡曲、「有楽町で逢いましょう」は、
そごうの宣伝ソングだったとは、どこかで聞いて知っていたが、
映画までできていたとは知らなかった。
宣伝映画だけあって、
殆どそごうが舞台の、
お気楽なラブコメディ。
あまりにも分かりやすい笑いが逆に新鮮で、
ほぼ満員のお客さんたちは大爆笑。
もちろん私も笑った。
とにかく偶然に次ぐ偶然。
世の中は、主演の4人を中心に回っているかのような展開(笑)。
浩様は今回、大学のフットボール選手という設定で、
そのテレビ中継の解説をするのが、何と菅原謙二。
菅原は浩様のフットボール部のOBだったというわけだ(笑)。
菅原は浩様のプレイをボロクソに貶し、
それをテレビで見ていた京マチ子が怒るという構図が、
なんとも馬鹿馬鹿しくて、
コントのような展開。
野添ひとみは、女子大の寮で暮らすという設定で、
彼女の部屋に木を登って入ってゆく浩様ったら、
まるでロミオのようで、私一人で勝手にウットリ(笑)。
そこの寮母さんというのが、また、
絵に描いたような怖いおばさんで、
その後のドタバタも、よくあるパターン。
今回はキスシーンはなかったけれど、
二人が野道を手を繋いで歩くシーンが可愛くて、
直接的なラブシーンよりずっとドキドキしたな。
野添が持っている赤いバッグも、とても可愛い。
また北林谷栄が、京と浩様の祖母の役をしておった。
すっとぼけたお婆さんが本当に良かった。
今は無くなってしまった有楽町そごう、
そして、当時の有楽町駅周辺の様子が
大変に興味深い。
個人的にも有楽町周辺って、とても好き。
評価 ★★★☆☆