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「稲妻」 [映画]

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〔1952年/日本〕


高峰秀子は、都内でバスガイドをする独身女性。
母親・浦辺粂子は、全員父親の違う子供を4人生んでおり、
家庭の中は複雑だ。


長女・村田知栄子は、
自分の夫を見下し、我が儘放題。
次女・三浦光子は大人しい性格で高峰と気が合うが、
夫の浮気に悩んでいる。
長男・丸山修は戦争から帰ってきてから、
職にも就かずブラブラしている情ない男だった。


そんなある日、三浦の夫が急死する。
悲しみにくれる三浦をそっちのけで、
兄姉たちは保険金の相談ばかりで、
高峰は呆れ果てる。
さらに、突然、赤ん坊を背負った女が訪ねて来て、
夫の妾だと名乗り、金を要求する。


また、村田は高峰に男を紹介するが、
これがいけ好かない、気分の悪い男で、
結局村田と出来上がってしまい、
村田の夫と取っ組み合いの大ゲンカとなる。


高峰はそんな家族に心底嫌気が差し、
部屋を見つけて家を出る。
一人の暮らしは、彼女に初めての安らぎを感じさせる。
そこへ母親が訪ねてきて愚痴をこぼしたのをきっかけに、
高峰は母親に、今までの思いの丈をぶつける・・・。





高峰秀子がバスガイドをする始まりから、
「秀子の車掌さん」と似たような呑気な話かと勘違いしそうだったが、
とんでもない。
林芙美子が原作だけあって、
これでもかと、男女問題のドロドロが噴出する。


父親の違う子供を4人も生む母親も大したものだが、
長女にも呆れてしまう。
高峰の結婚相手として連れてきて男とは、
高峰の会わせる前から様子が変だった。
二人がいつ出来上がったのかはハッキリしないが、
そんな男を妹に紹介するかって。


死んだ姉の夫の妾もふてぶてしい。
保険金の話を持ち出して、
自分にも権利があるような事を仄めかす。
大人しい姉は負けそうだが、
気の強い高峰はズバズバ言い返す。


高峰は、母や姉たちを見ていて、
なぜ彼女らが、自分に結婚しろと盛んに勧めるのかが、
全くもって理解できない。
彼女たちは、まるで幸せには見えない。
結婚は女を不幸にするとしか思えない。


今まで私は、高峰秀子を、それほど好きと思ったことはなかったし、
なんだか色気の無い人だと感じていたのだが、
この映画では、そんな彼女の醒めた感じが、
物凄く活きている。
「男なんて」と突っ張る様子がめっちゃハマっている。


世の中はそんな男ばかりじゃないんだけどね。
類友とでもいうのか、
荒んだ係累の中にいては、
寄ってくる相手も、変なのしかいないのだろう。
彼女が家を出たのは正解だよね。


ただ、もしこの先、続きがあったとしても、
林芙美子の事だから、
やっぱりトラブルが絶えないんだろうけど。


評価 ★★★★☆

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