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「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 [映画]

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〔2007年/日本〕


21日から劇場公開されている、
シリーズ3作目となる、「ALWAYS 三丁目の夕日’64」。
3作目が作られるとは思っていなかったので、
この続編は、なんとなく観ないままきてしまったのだが、
テレビ放送されたので、
劇場に行くなら、その前に観ておかなくてはと録画しておいた。


粗筋をここで書いても仕方ない気がするので省略するが、
1作目と同様、とにかく悪人が出てこない。
いや、そんな事はないか。
詐欺の男が出てはくる。
でも、その男に騙された事さえも、
三丁目の住人の絆を深めるきっかけになる、
その平和な感じ。


3作目のCMを何度も見せられているせいで、
小雪と吉岡秀隆の恋の顛末なんか、
分かりすぎちゃって、
(いや、CMを見ていなくても読め読めか(笑))
安心しきっちゃって、
呑気に観ていたよ。


薬師丸ひろ子が、昔の恋人・上川隆也と、
橋の上でバッタリ会う場面が好きだな。
「この人と一緒になっていたら、
今とは違う人生だっただろうに・・・」という、
薬師丸の心の声が聞こえる気がした。


その後、家に帰ると、夫・堤真一が、
下着姿でゴロっと横になってて、
素敵だった上川との対比も可笑しくて。
「あーあ」→「ま、いっか」→「今は今で幸せだし」という、
心の動きまで分かる感じ(笑)。
もちろん上川だって、
家に帰れば堤と大差ないんだろうけど。


堀北真希が石原裕次郎の映画を観に行く場面もいい。
観客たちは全員、目を輝かせながら、
「嵐を呼ぶ男」の音楽に合わせて体を揺すっていて、
映画館の出口では、
女はウットリ、
男は全員が、裕次郎になりきっているという具合(笑)。


あんな風に、観客が一体となって、
映画に夢中になれた時代が羨ましい。
「嵐を呼ぶ男」を観なくてはと、
心に決めた(笑)。


評価 ★★★★☆

「25年目のキス」 [映画]

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〔1999年/アメリカ〕


ドリュー・バリモアは一流新聞社のコピーエディター。
仕事は出来るが、見た目にダサい彼女は、
25歳の今までキスをした事もない。


ある日、彼女は社長から、
高校に潜入し、イマドキの学生の実態を調査し、
記事にしろと命じられる。


高校時代の彼女は、
その冴えない容貌からイジメにあっており、
嫌な思い出しかなかった。
そのトラウマを振り切り、
なんとか学校に馴染もうと努力する。


最初は変わった転校生だと思われていたバリモアだが、
次第に友達もでき、
更に、弟の協力により人気者になってしまう。


学校一のハンサムからプロムの相手として誘われるバリモア。
彼女にとってプロムは、
酷い高校生活の中でも最悪の思い出の行事だったが、
今度は違う。
ドレスアップして出掛けた彼女に皆が注目する。
そんな中、彼女は、教師のミシェル・バルダンに恋している自分に
気付くのだった・・・。





高校生活をもう一度やり直す。
タイムトラベル物ではよくある話だが、
これはそういったSF的要素の無い、
25歳の女の子が普通にそれを体験する、
とても可愛い物語。


タイトルだと、恋愛が主題のようだが、
それより、
灰色だった高校生活をバラ色に塗り直す事に重きが置かれた、
そんな印象で好感が持てる。


25歳ならティーンの中に入っても、
ギリギリ誤魔化せる年齢かなと思うし、
童顔のドリュー・バリモアだから、
特に違和感は感じない。


高校の実態はバリモアが卒業した頃と、
大して変わらず、
やっぱりイジメグループがあるし、
バリモアと似たような、
ダサい生徒もいる。
プロムの会場で、彼女はそんな生徒たちに物申す。
それが説教臭くなく、
けれどかなり説得力があり、
心を打つし、
生徒たちからも拍手が起こる。
いい場面だ。


私が今、高校生活をやり直せるとしたら、
どうだろうと想像してみたが、
(ルックス的な事は置いといて(笑))、
楽しそうだと思う反面、
生徒たちの若さとパワーに圧倒されて、
萎縮してしまいそうだとも思う(笑)。


ジェシカ・アルバとジェームズ・フランコが、
生徒役で出ていて、「おぉ!」って感じだった。
学校物って、生徒が多いから、
その中に未来のスターがいる可能性が高くて楽しい。


評価 ★★★☆☆

「ある殺し屋の鍵」 [映画]

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〔1967年/日本〕


日本舞踊のお師匠さん、市川雷蔵は、
殺し屋という裏の顔があった。


市川の生徒で彼に惚れている芸者・佐藤友美は、
市川の素性を知らぬまま、何かと彼にモーションをかけるが、
市川はそ知らぬ顔で彼女をあしらう。


一方、政界の黒幕・山形勲は、
秘密メモを持つ脱税王・内田朝雄に
消えてもらうしかないと考え、
殺害をヤクザの組長・中谷一郎に依頼する。
中谷は組員・金内吉男にそれを指示し、
金内が市川に実行を頼む。


内田の動向を綿密に調査し、
殺しの日を決めた市川は、
内田が過ごす、ホテルのプールに出向く。
ところがそこで佐藤友美に会う。
彼女は内田の愛人だったのだ。


鮮やかに内田を殺した市川だったが、
帰り道、金内に殺されそうになる。
そこから市川の復讐が始まる・・・。





シリーズ2作目だが、
これ以上作られる事はなかったようだ。
なんでだろう、とっても面白いのに。


1作目より、雰囲気は失われているが、
ストーリーはこちらの方が面白いように感じられた。
とにかく曲者だらけで、
殺しの依頼が、力の有る者から順に降りてくる。


金の動きがめっちゃ可笑しい。
最初、山形が出した金が4千万。
そのうち1千万を中谷がポッケに入れて、
3千万を金谷に渡すと、
また金内が1千万をポッケに入れて、
2千万で市川に殺しを依頼するという仕組み。
ヤクザの金って、そうやって動くんだと、
なんだか感心。
何もしないで1千万って羨ましい(笑)。


市川が子供に日本舞踊の稽古をつけたり、
彼自身が踊ったり、
また、プールでの水着の場面など、
サービスカットも多い(笑)。
それにしても市川雷蔵は本当に痩せていて、
あばらが浮いて見える。
これは憶測だけど、
節制しているというより、太れない体質に見えた。


佐藤友美がとても綺麗。
前作の野川由美子は“可愛い”って感じだったけど、
佐藤はハッキリと美人。
こんな風に生れてたら、私の人生も変わっていただろうに(笑)。


ラストはちょっとショック。
タイトルの「鍵」の意味もここで分かる。


評価 ★★★★☆

「息もできない」 [映画]

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〔2008年/韓国〕


ヤクザのヤン・イクチュンは、乱暴で容赦のない男。
借金の取り立ても、学生運動の妨害も、屋台の立ち退きも、
激しい暴力で相手を倒す。


イクチュンには想像を絶する悲しい少年時代があり、
彼の暴力は、子供時代の出来事と無縁ではなかった。
父親を憎悪し、
人と上手くコミュニケーションを取れないイクチュン。
しかし、幼い甥っ子に金や菓子を与える、
優しい面があった。


ある日、イクチュンは女子高生・キム・コッピと出会う。
コッピは気の強い女の子で、
イクチュンを相手に、決して怯まず、
2人は殴り合いながらも、不思議と気が合い、
たまに会うようになる。


イクチュンはユッピを、
恵まれた環境で育ったお嬢さんだと思い込んでいたが、
実は彼女は、精神を病んだ父と、
暴力的な弟を抱え、
金に困る日々を送っていた。


イクチュンの父親が手首を切り、
それをきっかけに、自分の人生を見つめ直した彼は、
真っ当になろうと決意し、
最後の取り立てに出掛けるが・・・。





暴力でしか自分の感情を表せない主人公。
しかし、最後まで嫌いになれない。
例えば、以前観た「悪い男」なんか、
主人公にめっちゃ嫌悪感を覚えたけれど、
あれとは全然違う。


理由はなんだろう。
おそらく、ヤン・イクチュンは暴力的ではあるけれど、
人を騙そうとか、そういった下劣な面が感じられない、
ある種のストレートな性格がそこに垣間見えるからかもしれない。


もう一つは、女を性暴力の対象にしていない。
キム・コッピと親しくはなるが、
イクチュンに下心はなく、
たまに会って酒を飲む以上の関係にはならない。


たった一度、二人の心が重圧に押し潰れそうになった時、
イクチュンは深夜の川原で、
コッピの膝枕で涙を流し、コッピも泣く。
それは大変にいいシーンだった。
家庭に辛い問題を抱えている2人が、
互いにそれを知らないながらも、
無意識に共鳴し合ったからこそ、
そうなったのであろう場面。


しかし、韓国の女ってみんなあんなに強いのだろうか。
男も暴力的だけど、
女も負けてはいない。
イクチュンとコッピの出会いにしても、
私なら、自分に非がなくても、
イクチュンの見た目だけで逃げ出してしまう(笑)。


評価 ★★★★☆

「イタリア的、恋愛マニュアル」 [映画]

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〔2005年/イタリア〕


「第1章:めぐり逢って」


無職のパッとしない青年・トンマーゾは、
ある日、偶然出会ったジュリアの美しさにマイってしまう。
以来、ジュリアの家の前で待ち伏せし、
仕事の邪魔をし、
煙たがられても、猛アタックをやめない。
ジュリアはトンマーゾからのデートの誘いを承諾するのか・・・。


「第2章:すれ違って」


バルバラとマルコは倦怠期を迎えた夫婦。
互いに危機だと分かってはいるが、為す術がない。
バルバラが興味を持つ事に、マルコは無関心だし、
マルコの食事のし方の汚さに、
バルバラが今更気付いてしまったり。
子供を作れば修復できると考えたりもするが、
そう簡単なものではない。
2人は元に戻れるのか・・・。


「第3章:よそ見して」


婦人警官・オルネッラは、
愛し合っていると思っていた夫の浮気現場を偶然目撃する。
以来彼女は、憂さ晴らしするかのように、
交通違反車の取り締まりを強化。
しかし、そんな彼女も、
同じアパートに住むニュースキャスターに憧れており、
ついに、彼の部屋に入れてもらう事に成功する・・・。


「第4章:棄てられて」


小児科医・ゴッフレード。
仕事は順調だが、妻には逃げられ、
淋しい日々を送る、初老の男。
書店で「恋愛マニュアル」という本を買ってみたり、
看護婦と関係しようとするが、未遂で終わったり、
中々上手くいかない。
彼は新しい恋愛にめぐり逢えるのか・・・。





恋愛に関しては長けていると思われるイタリア人の
恋愛事情を描いたオムニバス映画。


どの章も、オシャレでライトな作りで、
ドロドロ感なく楽しめる。
それに、イタリア人だから凄いというわけでもなく、
日本人も感情的に、そう大差ないように感じられた。


章が上がるにつれて、
主人公の年齢も上がっていくが、
結局、人って、
その年齢に応じた行動をするんだなぁと思う。
本人が、「この恋は唯一無二」と思ったとしても、
他人から見たら、「よくある事よ」って感じなんだろうなぁ、と。
人類がいる限り繰り返される、恋愛模様。


前の章でちょっと出てきた人が、
次の章で主人公になるという作りで、
それが楽しい。
どんな人の人生にもドラマがあって、
喜びや悲しみを抱えて生きているのだと分かる。


ラストはとても良いし、
1章のトンマーゾとジュリアのカップルがその後どうなったのかが、
ちょっとだけ分かるようになっている。


評価 ★★★☆☆