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「兵隊やくざ 強奪」 [映画]

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〔1968年/日本〕


ついに戦争が終わった。
中国にいる兵隊たちは、
日本に帰国する為、
中国人ゲリラが多数潜む中、
進んでいかなければならなかった。


大宮貴三郎(勝新太郎)と有田(田村高廣)も荒野を進んでいたが、
途中でゲリラに縛りつけられていた、
5人の日本人兵を助ける。


また、途中で、
未だに軍事訓練している隊に出会い、
終戦を伝えるが、
それを信じない上官に、
倉庫に入れられてしまう。


なんとか逃げ出した2人は、
銃殺されそうになっていた中国人女、
楊秋蘭(佐藤友美)を救う。
女好きの大宮は、秋蘭の美しさに心奪われ、
世話しようとするが逃げられる。


秋蘭を追った大宮は、
彼女の代わりに赤ん坊を拾ってくる。
戦後のどさくさで置いていかれたらしい赤ん坊を
放っておくわけにもいかず、
連れてゆく2人。


そんな2人に、
前にゲリラから救った5人と10万ドルの金貨が絡み、
話は複雑になる。
果たして2人の運命は・・・。





シリーズ8作目。
一応、もう1作、「新兵隊やくざ火線(1972年)」というのがあるようだが、
大映でのシリーズはこれが最後だそうで、
実質上、最終章と言っていいであろう。


今まではずっと現役の兵隊だった2人が、
終戦を迎え、
一般人として中国を歩く。


終戦を知らない行きずりの隊にそれを教える場面では、
「それを言ったらロクな事にはならないだろう」と思ったよ。
国に洗脳され、
日本が負けるわけないと思い込んでいる一部の人間に、
そんな事を伝えれば、
制裁されるのは分かりきっているもの。


今度、私が死ぬまでの間に、
そのような体験をする事はないであろうが、
万が一、同じ立場に立ったら、
見ないフリして通り過ぎようと心に誓った場面だった(笑)。


本作で赤ちゃんを拾う大宮だが、
勝新太郎の赤ちゃんの抱き方が実に上手いというか、
慣れているというか、
こんな人なら、子供も安心して眠りそうだと感じた。
自分の子供が既にいたのか、
赤ちゃんが身近にいる環境だったのかは、
分からないのだけれど。


シリーズが終わってしまって、
今は淋しい気持ちでいっぱい。


彼らは、戦地で出会わなければ、
絶対友達になる事はなかった2人であろう。
体力の大宮と、
知力の有田。
2人が組み合わさると、
何倍ものパワーが生まれて、
どんな困難も乗り切ってこられた。
観ているこちらも、本気で楽しかった。


2人は本作の中で、
「東京に帰っても、赤ん坊と3人で暮らそう」と誓い合う。
2人は最後まで気まずくなる事もなく、
恋し合う男女みたいに仲良しなのは変わらなかった。
この先の2人の人生をずっと追っていきたい気持ちになる。
私も2人に出会えて本当に良かった。


評価 ★★★☆☆

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