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「大停電の夜に」 [映画]

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〔2005年/日本〕


クリスマスイブの夜。
首都圏は突然の停電に見舞われる。


天体マニアの中学生、本郷奏多は、
望遠鏡から見えた香椎由宇が自殺するのではないかと、
隣のビルに行ってみる。


キャンドルショップを営む田畑智子は、
片思いしている向かいのジャズバーのマスター豊川悦司と、
停電がきっかけで話し出す。


田口トモロヲは、余命3か月の父、品川徹から、
驚くべき事実を知らされ戸惑う。


田口の愛人、井川遥は、
田口との不倫に疲れ果て、
今夜別れを決める。
ホテルのエレベーターの中で停電に遭い、
中国人ホテルマン、阿部力と二人で閉じ込められ、
互いの恋愛を語り出す。


田口の妻、原田知世は、
彼の浮気を知っており、
また彼女自身も、昔の恋人からの誘いの電話に、
激しく心が揺れている。


宇津井健は妻淡島千景から、
停電のさなか、ある衝撃の事実を聞かされ、
ショックのあまり家を飛び出し、
車を盗んで走り出す。


ムショから出て、すぐ恋人寺島しのぶの家に向かった吉川晃司は、
彼女が結婚している事を知る。
臨月の寺島は突然産気づき、
吉川は彼女の病院に連れて行こうとするが、
彼らを見た宇津井健が、車で病院まで運ぶ・・・。





これは好き。
とても良かった。
考えてみれば、多少おかしな点もあるけれど、
一夜のファンタジーだと思えば、
細部はもう、どうでもよくなるくらい、
全体のストーリーに酔った。


詳しくは書けないけれど、
何箇所かで泣いちゃった。
私も甘いなぁと思いつつ、
でも泣かずにはいられなかった。
本当に良い場面。


登場人物たちみんながいい。
いつも何気なくすれ違う普通の人々も、
話をしてみると、
辛い過去があったり、
それぞれの人生を抱えているのが、よく分かる。
当たり前のそんな事が、
とても愛おしく、大切に思える。


これから親しくなれそうな予感がする人たち、
心機一転出直そうとする人たち、
名前も聞かずに別れてゆく人たち、
映画はそれぞれの人間関係を、
停電という状況の中から描き出す。


停電といえば、
災害による停電を体験した、今年の春。
実際の停電は、
映画のようにロマンティックでもなければ、
ドラマティックな事も起こらなかったけれど、
暗闇って、意外と人の心を解放するんだなと、
感じる事ができた体験ではあった。
だから、この映画も理解できる。
一晩くらい電気が止まったって、悪い事ばかりではないと。


評価 ★★★★★

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