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「ニューイヤーズ・イブ」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


2011年の大晦日。
ニューヨークのタイムズスクエアは、
毎年恒例のイベント、「ボール・ドロップ」で新年を祝おうと、
早くから人が集まっていた。


「ボール・ドロップ」イベントの責任者、ヒラリー・スワンク。
彼女はイベント成功に全てを賭けていた。
ある目的の為に。


仕事だけに生きていたミシェル・ファイファーは、
今日仕事を辞め、
「してみたい事リスト」を、息子ほど年の離れた若者、
ザック・エフロンに託す。


高校生のアビゲイル・ブレスリンは、
新年のキスを大好きなボーイフレンドと交わす事を決めていた。
しかし、母親・サラ・ジェシカ・パーカーの躾は厳しく、
夜間の外出を禁止をされる。
ブレスリンの夢は叶うのか。


大晦日だからといって騒ぐのは真っ平と言い放つ、
アシュトン・カッチャーは、
自分のアパートのエレベーターが故障し、
ジョン・ボン・ジョヴィのバックコーラスをしているリア・ミシェルと2人きり、
閉じ込められてしまう・・・。





本当にいい映画だった。
今、こうしてストーリーを思い出しながら書いていても、
涙が出て困る、会社なのに(笑)。


あまり詳しくは書けないので、
さわりだけだが、
上記以外にも、エピソードが沢山あって、
どれも素敵な物語ばかり。


笑わせられるエピソードもある。
もうすぐ出産を迎える二組の夫婦。
ある理由で、どちらが先に子どもが誕生するかを競い合う。
負けず嫌いの夫たちが可笑しい。


私は大晦日からお正月にかけての雰囲気がとても好き。
日本人にとってお正月とは、
生まれ変わりの意味があるという。
そのせいか、新年へのカウントダウンは、
どこか身が引き締まるような思いだ。
(と言っても、毎年その瞬間は、
 ジャニーズカウントダウンで迎えているわけだが(笑))


アメリカ人は、クリスマスに重きを置く人が多く、
お正月はあまり関係ないと聞いていたけれど、
この映画を観ると、とんでもない、
物凄い盛り上がりだ。
日本のそれとはちょっと違うけれど、
やっぱり新しい年の始まりって、
国に関係なく重要なんだと分かる。


ヒラリー・スワンクのスピーチは、
明らかに日本に向けてのメッセージが含まれており、
大変に心に響く。


もう一度観たい。


評価 ★★★★★

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「私だけのハッピー・エンディング」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


30歳のケイト・ハドソンは、
広告代理店で働くキャリアウーマン。
仕事が好きで、
女友達もいて、
充実した日々。


体を重ねる男友達はいるけど、
それはそれだけの関係で恋人じゃない。
何事にも縛られたくないのが彼女のポリシー。


ところがそんなある日、
病院で検診の結果、末期癌だという事が分かる。
努めて明るく振る舞おうとするハドソンだが、
母・キャシー・ベイツは号泣、
元々上手くいっていなかった父親とは、
ますます険悪に。


友人たちもショックを受け、
気を使ってくれるが、
逆にその態度が、ハドソンの神経を逆撫でし、
八つ当たりしてしまう。


しかし、ハドソンは主治医、ガエル・ガルシア・ベルナルと、
打ち解けあい、
愛し合うようになる。
一度は失った心の余裕を取り戻してゆくハドソン。
彼女はどのような最期を迎えるのか・・・。





末期癌と診断された、
まだ若い女性が主人公だけれど、
想像するより明るくて、
そこそこに仕上がっている。


もちろん、奇跡の物語ではないから、
「病気は完治しました」的な終わり方ではないけれど、
邦題がいい。
これこそ、
「私だけの」「ハッピー・エンディング」というラスト。


ガエルが観たくて選んだ映画だけど、
彼が主治医の役とは意外だった。
ただ、医者と患者が出来上がるってどうなの?
反則って気もするんだけど(笑)。
いくら魅力的な患者だとしても、
もうすぐ亡くなるのは分かっているんだし、
そんな患者と関係しようという気になるものかしら。


現にガエルは上司の老教授から注意を受ける。
「患者とは距離をとりなさい」、と。
それが常識的な意見でしょうね。
本物のお医者さんが観たらどう思うんでしょう。


ケイト・ハドソンが、悪くはないのだけれど、
惜しいのは、ちょっと太っている所かな。
三十顎ともいえる、
モタモタした顔で、
末期癌に見えなかった。


ウーピー・ゴールドバーグが、
短い時間だけれど、
天の神様みたいな役で出ていて面白かった。
彼女って、
何だか得体の知れない人物、という役が、
本当によく似合う(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「天国の日々」 [映画]

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〔1978年/アメリカ〕


1910年代。
不況で人々の生活も苦しい中、
リチャード・ギアは、職業を転々としながら生きていた。
気の荒い彼は、
職場ですぐに揉め事を起こし、長く同じ場所で働けないのだ。


彼はリンダ・マンツとブルック・アダムスの2人の若い女を
連れていた。
マンツはギアの実妹で、アダムスは恋人だ。
しかし2人とも妹という事にしていた。
その方が何かと都合が良かった。


3人は、広大な麦畑の刈り入れ作業員として雇われる。
農場主はまだ年若いサム・シェパード。
ある日ギアは、シェパードが余命1年という医者の話を、
偶然耳にしてしまう。


沢山の労働者が働く中、
シェパードは、アダムスに惹かれ、
刈り入れが終わっても農場に残って欲しいと申し出る。
アダムスがギアに相談すると、
どうせ余命短いシェパードなのだから、
プロポーズを受け入れろと勧める。


かくしてアダムスはシェパードと結婚。
隠れて逢引を重ねるギアとアダムス。
シェパードが持つ莫大な財産で、
天国の日々を過ごす彼らだったが、
シェパードは次第に不信感を募らせてゆき・・・。





8月に観た「ツリー・オブ・ライフ」の映像に魅せられ、
気になったテレンス・マリック監督。
今までに観た事があるマリック監督の作品は、
「シン・レッド・ライン」だけで、
あれにはまるで感動できなかったので、
もう少し別の物をと思い、本作を借りてみた。


大変に良かった。
特別なストーリーではないのに、
なぜかとても心惹かれる。
面白い。


麦畑の風景が素晴らしい。
風になびく麦と夕暮れ。
そして、沢山の動物たち。


最近はスカしたオッサンというイメージが強いリチャード・ギアだが、
昔はこの映画のような、野卑な男を演じていた。
本当はこういう役もできるのに、
そう考えると今の彼って、なんだか勿体ない。


サム・シェパードもいい。
スッとした、細身の体躯で、
余命1年という、
ジワジワと病に侵されてゆく若い大農場主という役を演じていた。
本当に素敵だった。
この映画の役の為か、
元々そうなのか、
彼の歯並びがあまり良くなくて、
アメリカ人俳優にしては珍しいと思ったな。
彼の映画は他にも観ているはずなのに、よく覚えていないのだけれど。
(と、ここまで書いて調べたら、これは彼が歯列矯正する前の作品のようだ)。


アダムスは次第に、
荒っぽいギアより、
紳士的なシェパードを愛し始めるのだけれど、
分かるなぁ、彼女の気持ち。


評価 ★★★★☆

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「散り行く花」 [映画]

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〔1919年/アメリカ〕


中国人青年のチェン・ハン(リチャード・バーセルメス)は、
仏教の教えを説く為、イギリスに行くが夢破れ、
今はロンドンの貧民窟で、しがない商店主をしている。


近所に住む少女ルーシー(リリアン・ギッシュ)は、
大変に愛らしい娘であったが、
家ではボクサーの父親から、
激しい暴力を受けていた。


ある日また、父親から殴られたルーシーは、
耐え切れずに逃げ出し、
ハンの家の前で倒れる。
以前からルーシーの美しさに焦がれていたハンは、
彼女を匿い、介抱する。


ところが、ルーシーがハンの家にいると知った父親の友人が、
父親に密告。
父親はハンの家に乗り込み、
ルーシーを力ずくで連れ帰る。


怒りに燃える父親から、
また殴られるルーシー。
彼女はどうなってしまうのか。
そしてハンは・・・。





D・W・グリフィス監督が、
92年も前に撮ったサイレント映画。


健気なルーシーが、
父親から理由も無く殴られる様子が、
可哀相で可哀相でたまらない。


最近やっと、家庭内暴力や子供への虐待は、
犯罪だと認識されてきたが、
92年も前では、そこまで重くは思われていなかったのだろう。
ルーシーの居所をわざわざ父親に密告する友人などは、
まるで楽しんでいるみたいだ。


父親はルーシーを殴るだけでなく、
笑えと強要する。
そんな状態で笑えるはずもないのに、
笑わなければ殴られるルーシーは、
自分の口角を指で押し上げて、
無理に笑い顔を作る。
観ていられないほど辛い。


ルーシーが小部屋に逃げ込むと、
父親は斧でドアを叩き壊して、
彼女を引きずり出そうとする。
それは、「シャイニング」でのジャック・ニコルソンの、
あの場面の原型のようで、
こちらまで恐怖で震えるような思いだ。


リチャード・バーセルメスは明らかに白人だが、
中国人でも全く違和感がなかった。
映画は彼が中国で暮らす所から始まるのだが、
そこに映る中国の街並みなどは、
本当に中国で撮影されたのだろうか。
もしそうだとしたら、
昔の中国を見る事ができる映像としても、
とても貴重な映画だと思うのだけれど。


評価 ★★★★☆

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「兵隊やくざ 強奪」 [映画]

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〔1968年/日本〕


ついに戦争が終わった。
中国にいる兵隊たちは、
日本に帰国する為、
中国人ゲリラが多数潜む中、
進んでいかなければならなかった。


大宮貴三郎(勝新太郎)と有田(田村高廣)も荒野を進んでいたが、
途中でゲリラに縛りつけられていた、
5人の日本人兵を助ける。


また、途中で、
未だに軍事訓練している隊に出会い、
終戦を伝えるが、
それを信じない上官に、
倉庫に入れられてしまう。


なんとか逃げ出した2人は、
銃殺されそうになっていた中国人女、
楊秋蘭(佐藤友美)を救う。
女好きの大宮は、秋蘭の美しさに心奪われ、
世話しようとするが逃げられる。


秋蘭を追った大宮は、
彼女の代わりに赤ん坊を拾ってくる。
戦後のどさくさで置いていかれたらしい赤ん坊を
放っておくわけにもいかず、
連れてゆく2人。


そんな2人に、
前にゲリラから救った5人と10万ドルの金貨が絡み、
話は複雑になる。
果たして2人の運命は・・・。





シリーズ8作目。
一応、もう1作、「新兵隊やくざ火線(1972年)」というのがあるようだが、
大映でのシリーズはこれが最後だそうで、
実質上、最終章と言っていいであろう。


今まではずっと現役の兵隊だった2人が、
終戦を迎え、
一般人として中国を歩く。


終戦を知らない行きずりの隊にそれを教える場面では、
「それを言ったらロクな事にはならないだろう」と思ったよ。
国に洗脳され、
日本が負けるわけないと思い込んでいる一部の人間に、
そんな事を伝えれば、
制裁されるのは分かりきっているもの。


今度、私が死ぬまでの間に、
そのような体験をする事はないであろうが、
万が一、同じ立場に立ったら、
見ないフリして通り過ぎようと心に誓った場面だった(笑)。


本作で赤ちゃんを拾う大宮だが、
勝新太郎の赤ちゃんの抱き方が実に上手いというか、
慣れているというか、
こんな人なら、子供も安心して眠りそうだと感じた。
自分の子供が既にいたのか、
赤ちゃんが身近にいる環境だったのかは、
分からないのだけれど。


シリーズが終わってしまって、
今は淋しい気持ちでいっぱい。


彼らは、戦地で出会わなければ、
絶対友達になる事はなかった2人であろう。
体力の大宮と、
知力の有田。
2人が組み合わさると、
何倍ものパワーが生まれて、
どんな困難も乗り切ってこられた。
観ているこちらも、本気で楽しかった。


2人は本作の中で、
「東京に帰っても、赤ん坊と3人で暮らそう」と誓い合う。
2人は最後まで気まずくなる事もなく、
恋し合う男女みたいに仲良しなのは変わらなかった。
この先の2人の人生をずっと追っていきたい気持ちになる。
私も2人に出会えて本当に良かった。


評価 ★★★☆☆

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