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「D坂の殺人事件」 [映画]

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〔1997年/日本〕


昭和2年。
蕗屋清一郎(真田広之)は、表向きは美術品の修復家を名乗っていたが、
天才贋作師という裏の顔を持っていた。


そんな彼の所へ、本郷団子坂で古本屋・粋古洞を営む、
須永時子(吉行由実)から、仕事の依頼が来る。
時子は、幻の責め絵画家、大江春泥の作品を所有しており、
その贋作を作製してほしいと言うのだ。


春泥の作品に魅せられた蕗屋は、仕事を受諾、
見事な贋作を仕上げる。
蕗屋の仕事に満足した時子は、
別の春泥作品の贋作作りを依頼、
これは前回より困難を極めたが、
なんとか完成。
蕗屋は時子の家にそれを届けるが、
代金を受け取りに、二度目に訪問した際、
ある理由で、時子を絞め殺す。


そのまま家に帰った蕗屋だが、
犯人として逮捕されたのは、
使用人で遺体の第一発見者、斉藤勇であった。
しかし、斉藤が犯人ではないと直感した、
明智小五郎(嶋田久作)は、
事件解決に乗り出す・・・。





原作は、江戸川乱歩の同名短編小説。
しかし、「D坂」はベースになっているだけで、
ストーリーは、同じ乱歩の「心理試験」の色が強い。
犯人の動機も全然違う。


二人の容疑者の名前、“蕗屋清一郎”と“斉藤勇”も、
「心理試験」の容疑者の名前がそのまま使われているし、
他にも、「陰獣」では小説家であった大江春泥の名前が、
責め絵画家として使われている。


つまり、この映画は、タイトルこそ「D坂」であるが、
乱歩の初期の短編集を集めて作ったという印象だ。
全く別の作品が、映画の中で一つのストーリーになるなんて、
乱歩もあの世で驚いている事だろう(笑)。


しかし、それはそれで面白い。
雰囲気はよく出ていると思うし、
真田広之の贋作師としての佇まいや仕事ぶりは、
本当にそれらしく見える。
吉行由実の演技が今一つなのが、ちょっと惜しい。


「心理試験」は小学生の頃に初めて読んだ時、
子供心にも、「こんな試験があるのか」と、
驚いた事を思い出す。
もちろん今の警察で、こんな事が行われているとは思わないが、
嘘発見器の初期バージョンだと思えば興味深いし、
私も試験を受けてみたい気持ちになる。


評価 ★★★☆☆

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