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◎藤城清治 自宅スタジオ展◎ [美術]

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藤城清治さん。
その名前を聞いて、ピンとこない方はいても、
藤城さんの影絵を見れば、「ああ、これか」と思う方は多いのではないでしょうか。


藤城さんは現在87歳ですが、
まだまだ精力的にお仕事をこなしておられるそうで、
昨年出版された、爆笑問題の太田光氏の「マボロシの鳥」の
絵本版の挿絵を手掛けた事でも話題になりました。
(太田氏は藤城さんの大ファンだそうです)。


「藤城清治 自宅スタジオ展」は、
藤城さんのご自宅をそのまま開放し、
沢山の影絵が展示されてありましたが、
どれも本当に美しく、繊細で、
心洗われるような作品ばかりです。


鏡を上手く利用して、
影絵が無限に続くように見える展示など、
ただ見せるだけでなく、工夫もこらされておりました。


幻想的な作品の他にも、
広島の原爆ドームや、軍艦島を描かれた力作もあり、
しかも、それらは最近の作品だというのですから、
その衰えを知らない制作意欲には圧倒されます。

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会場内は、写真撮影が許可されており、
そんな所にも、とても自由な空気が感じられました。
私はケータイで写真を撮るのがとても苦手で、
写したのはこれ一枚だけでしたが、
珍しくブレずに撮れていたので、嬉しく思いました。


藤城さんには、
これからもずっと、素晴らしい作品を作り出してほしいと願っています。
あの影絵の質感は、
世界でたった一つの宝だと思っています。

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「江戸川乱歩の陰獣」 [映画]

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〔1977年/日本〕 


人気探偵作家、寒川光一郎(あおい輝彦)は、
数年前から台頭してきた、やはり探偵作家の大江春泥を、
「あれは探偵小説ではなく、怪奇小説だ」と、
マスコミにこき下ろしてきた。


そんな寒川が、美しい人妻、小山田静子(香山美子)と出会う。
静子は寒川の小説の熱烈な支持者で、
彼に相談があるという。


その相談というのが、
大江春泥と自分は、昔、懇意にしていた時期があり、
しかし、自分は春泥を捨て、遠くに移住した。
その後、現在の夫、小山田六郎(大友柳太朗)と知り合い、
春泥との過去を隠して結婚したが、
最近、春泥に居場所を突き止められ、
脅迫状が届いた、と言うのである。


脅迫状には、普段の静子の様子から、
夫婦の閨房の様子までが、あからさまに書かれており、
春泥がどこかから静子を見張っているのは明らかだった。


静子の怯えきった様子に驚いた寒川が、
小山田家の屋敷の天井裏を探索すると、
ボタンを一つ発見する。
そこに何者かが潜んでいた事は間違いなく、
さらには、春泥の予告通り、小山田六郎が殺害され、
事件は大きくなってゆく・・・。





先日は、バーベット・シュローダー監督の
フランス版「陰獣」を観たわけだが、
やはりここは、本家本元、
日本の「陰獣」を観なくては話にならぬと、
早速借りてきた。


しかし、平凡な出来だと思う。
文庫本にして120ページほどの内容を、
たっぷり120分かけて描こうというのだから、
原作にはない、どうでもいい登場人物が多く、
無駄な場面も多い。
話を無理矢理膨らませている感が否めない。


これなら、あの世界を90分で描いたフランス版の方が、
よほどスッキリしているよ。


そもそも、なぜ寒川役にあおい輝彦?
丸顔のもっさりした彼に、
病的で陰湿な「陰獣」の物語は合わないではないか。


ただ、他の出演者たちの顔ぶれが凄い。
倍賞美津子、加賀まりこ、仲谷昇、野際陽子、中山仁、川津祐介、
藤岡琢也、菅井きん、尾藤イサオなどが、
ほんのチョイ役で出演している。
そういう意味では、とても豪華な映画だと言える。


評価 ★★★☆☆

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