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「愛染かつら 総集編」 [映画]

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〔1938年/日本〕


以前からこの映画の事は知っていたし、
興味は持っていたのだが、
なぜソフトの題名に「総集編」とついているのか、
「総集編」があるなら、「完全版」もあるのか、
どうせ観るならちゃんとした方が観たいという気持ちから、
先延ばしになっていた。


しかし調べてみると、元々、
「愛染かつら 前編」、「愛染かつら 後編」、
「続 愛染かつら」、「愛染かつら 完結篇」の4編、合計315分があったそうなのだが、
フィルムは現存せず、
残っているのは「総集編」だけらしい。
なぜ現存しないのか、理由は分からないが、
それなら「総集編」を観る以外にない。





田中絹代は、子どもがある事を隠して看護婦として働いていた。
子どもの父親は妊娠中に亡くなったのだ。
勤務する病院は、独身が条件であり、
それは生きる為、仕方のない事だった。
その事が看護婦仲間に知れ、一度は吊るし上げられかけるが、
事情を話すと涙を流す者もおり、
皆、田中の味方となる。


病院の跡取り息子、上原謙は田中に惹かれ求愛するが、
田中は子どもの事を言い出せずにいた。
何より、病院の跡取りと看護婦の組み合わせは、
釣り合いがとれず、
上原の両親が反対する事は、火を見るより明らかだった。


上原は田中に、京都に駆け落ちしようと持ち掛け、
田中もその気になるが、
約束の日、田中の子どもが発熱、
駅に駆けつけた時に、列車は動き出していた。


上原は田中が忘れられず、
両親が勧める縁談を断り、独身を通していたが、
あるきっかけから、田中に子どもがある事を知りショックを受ける。


一方、田中は、
レコード会社に自作の曲を送ったものが採用され、
歌手としてデビューする事になった。
かつての看護婦仲間が、
田中の歌手デビューと、子どものいきさつを上原に告げると、
上原は納得し、
田中の初舞台の楽屋で再会する。





長い映画をまとめたものだから、
ダイジェスト版を観ているようで、物語がどんどん進む。
なぜそうなるの?という部分が多く、感情移入している間がない。
携帯の無い時代の、擦れ違いのメロドラマである。


田中絹代が意外と気が強く驚く。
上原謙の妹との会話にしても、
決して負けていない。
「それ、脅迫じゃん(笑)」と思えるようなセリフさえある。


しかし、もし今の時代、フィルムが残っていたとしても、
展開がまどろっこしくて、
4本を観るのは辛いのではないだろうか。
この内容では、「総集編」くらいで丁度良かった。


評価 ★★★☆☆

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