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「リング」 [映画]

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〔1927年/イギリス〕


遊園地の見世物小屋でボクシングの試合をするカール・ブリッソンは
冴えない4回戦ボーイ。


小屋の入り口でチケットを売るリリアン・ホール=デイヴィスはブリッソンの恋人だ。
ある日ブリッソンはヘビー級のチャンピオン、イアン・ハンターの練習相手をする事になる。
ハンターはデイヴィスに惹かれ、
デイヴィスもまんざらではなかったが、
以前からの約束もあり、彼女はブリッソンと結婚する。


しかし、デイヴィスは結婚後もハンターとのデートを重ね、
彼から貰ったブレスレットをし、
部屋には彼の写真を飾る始末。
嫉妬に苦しむブリッソンはデイヴィスを責め、
そんな彼に嫌気が差したデイヴィスは家を出てしまう。


彼女の心を取り戻すには、
強くなって、ハンターと試合をし勝つ事だと
努力を重ねるブリッソン。
順調にランクがあがり、いよいよハンターと試合できる日がやってきた。
果たして結果は・・・。





ヒッチコック監督の初期のサイレント映画。
ボクシング映画だが、
男二人と女一人の三角関係が面白く、
ロマンス映画と言っても良い内容だ。


いつの時代も人の恋愛模様は同じなのだなぁと思わされる。
ただ、リリアン・ホール=デイヴィスのあまりの身勝手さに比べて、
男たちがなんとも我慢強い事。
だって、人妻が部屋に他の男の写真を飾っているのに、
夫は、最初は怒る事もせず、
「自分が頑張れば」と、そちらに怒りのベクトルが向くなんて、
どんだけ甘いんだよ、って。
もちろん、そんな事を平気でする妻が一番変なのだけれど。


イアン・ハンターにしても、
デイヴィスを特に責める様子はなく、
普通にデートしている。
結婚前にブレスレットのプレゼントをし、
心を掴んだと思った彼女が、
結局、違う男と結婚してしまったのに、だ。


題名の「リング」は、
ブレスレットとボクシングのリングの両方の意味である事が分かる。
ラストは切ない。


評価 ★★★☆☆