「護られなかった者たちへ」 [映画]
〔2021年/日本〕
仙台市内で、
立て続けに2件の殺人事件が起こる。
遺体はどちらも、
体を拘束されたまま長期間放置され、
死因は餓死。
被害者の共通点が見つかる。
2人は、同時期に、
同じ福祉事務所に勤務していた公務員だった。
刑事・笘篠（阿部寛）と、部下の蓮田（林遣都）は、
被害者たちが、過去に生活保護受給者たちと
トラブルがなかったか、捜査を開始する・・・。
事件から遡ること10年。
東日本大震災の避難所で、
20歳の青年・利根泰久（佐藤健）、
小学生の少女・円山幹子、
老婆・遠山けい（倍賞美津子）の3人が出会った。
3人は、揃って天涯孤独の身の上。
彼らはいつしか、
互いに肩寄せ合い、
本当の家族のような絆で結びついてゆくが・・・。
試写会で観た。
ミステリーなので、
あまり詳しい事は書けないけれど、
大変に重く、
心にずっしりくる。
生活保護、という重大なテーマに、
東日本大震災が絡み、
身動き取れないようなストーリー。
被災した方々の中には、
生活保護を受けねば、
生きていかれないほど困窮している人がいる。
けれど、受給の申請した人全員に、
許可を出す事は無理であり、
そこにはどうしても、審査がある。
その審査をするのが、
福祉事務所の公務員なのだけれど、
彼らも苦しい。
誰それはOK、誰それはNO、という線引きは曖昧だし、
神様じゃあるまいし、
本来、そんな事、
職員の一存で決められるほど軽い事ではないはずなんだけど、
それでも、やらねばならない。
そして、その判断が、
人一人の運命を大きく変えてしまう事もある。
そして、少数だとは思うけど、
不正受給をする人間がいる。
おそらく、申請した時は、
貧困や病気を装っていたんだろうけど、
実際は、
御大層な車に乗って、
派手な服を着て、
アクセサリーをジャラジャラさせて、
そして、
それを指摘した職員を恫喝する。
こういう人が一部いるから、
本当に生活保護を必要としている人に
回ってこないんだと、言いたくなるし、
劇中でも、そうった台詞がある。
「震災は全てを変えてしまった。
誰を恨めばいいのか分からない」
という台詞があったけれど、
なんだか、それは、
コロナにも当てはまる事であり、
涙が出た。
そして、家族を失い、
たった一人、生き残った自分に、
「何で私だけ、生きているの」と、
登場人物たちは苦しむ。
月並みな言葉だけど、
「それは、あなたが生かされているから。
生きていていいんだよ」と
心で声を掛けてしまう。
色々考えさせられる映画だった。
評価 ★★★★☆
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また観たい映画が増えました。
コロナのせいではなく、暑さや体調不良のせいでほとんど外出せず、映画館ご無沙汰しています。
出演者も好きな人ばかりなので、観に行きたいです。
by わたし (2021-09-24 08:20)
中山七里原作の映画化ですね。
これかなり気になる映画です。…が、テーマが重そうですね(^^;
心境と体調の良いときに観ないと沈みそう…(苦笑)
by ぼの (2021-09-25 01:16)
重そうな映画です。
生活保護、格差が広がる社会で
こぼれ落ちていく人を救済するシステムは
本当に難しい。震災、天災、そしてコロナ。
胸が締め付けられそうですね。
by su-nya (2021-09-25 11:30)
アッシー君の私は最近、待機状態で読書量が増えました。ミステリーは好みがあって、松本清張から入っていますので、人物と背景がしっかり描かれたものでなくては楽しめません。嫉妬や辛さも疑似体験して楽しんでいます。東野圭吾と出会って、その筆致、長編では文章のうまさが際立って好きになりました。読むものが無くなったので駅の本屋に駆け込んで大雑把に選定していると、表紙に、出来たら息子にしたい佐藤健クンが写っているこの映画の原作「護られなかった者たちへ」の文庫本が山積みされていました。この映画の宣伝写真がそのまま文庫の表紙になっていて、作者・中山七里の文体になじむまでしばらく時間が掛かりましたが、良かった。原作はとても良かったので、その後、彼の他の作品も待機用に数冊、文庫で買いました。さて、息子にしたい佐藤健クン、阿部ちゃんはどう考えても刑事だろうし、倍賞さんは面倒見のいいオバぁチャンだろうし、健クンが若い刑事だったら嫌だなと思いながら予告編を見ました。おおおおー、大熱演でした。もう、嬉しくて必見リストに入りました。きっと見終わったら気分は重くなるのでしょうが、自分の中にもあるであろう優しさや共存の意識を、掘り起こしてみようと思います。年末年始にはWOWOWに来そうだと、希望的観測です。
by tommy88 (2021-09-26 08:14)
わたしさん
コメントありがとうございます。
その後、体調の方がいかがでしょうか。
どうか、無理をなさらず、
コロナに気を付けてくださいね。
映画館に行っていただきたいですが、
もし逃したとしても、
ご自宅でも無問題ですので、
いつか観てみてくださいね。
by 青山実花 (2021-09-27 10:21)
ぼのさん
コメントありがとうございます。
原作も読み応えがあるようですね。
重いといえば、確かに重いです＾＾；
心身共に元気な時に、
ご覧になってみてくださいね＾＾
by 青山実花 (2021-09-27 10:21)
su-nyaさん
コメントありがとうございます。
人が人を救済するのが、
どれほど難しいか考えさせられますね。
コロナでも、仕事を失った人の話も聞いています。
どうすればいいのか・・・。
by 青山実花 (2021-09-27 10:21)
tommy88さん
コメントありがとうございます。
東野圭吾さんは凄いと思います。
特に「白夜行」と「幻夜」は、
読みながら手が震えて、息がはあはあするくらい、
体にまで影響が出ました。
本を読んで、そんな状態になるって、
どれだけ文才があるのかと思います。
この映画の原作は読んでいませんが、
面白そうですね。
今度読んでみます。
by 青山実花 (2021-09-27 10:22)
生活保護の不正受給というのは、
実際かなりの数ありそうです。
ネット配信者…にも多くの人間が
生活保護を受けていることを自慢するような
輩が多くいます。「勝ち組」だと。
税金スルー、医療費スルー。
これだけで真面目にこつこつ働くよりも、
充分モトが取れていると。
確かに真面目に勤めても、3割税金に
持っていかれるのです。
彼らの言う「勝ち組」というのも
理解できなくもありません。
しかし理解できないのが、それらをネット上で
公開し、自慢し見せつけるように生配信しています。
彼らの多くは病気だから働けない、
を理由にしています。
医師の診断書も取り、障害者認定も受けています。
これをやられると、いくらスマホ片手に
元気な配信姿を公開していても、
役所は生活保護を簡単に停止できません。
病院が、国がこの人は病気です、
障害者ですと認めているのですから。
職員の判断で、「あなたホントは働けるでしょう？」。
疑うような言葉を口にしたが最後、大騒ぎです。
「私は傷ついた！」。
彼ら、彼女らは「死ぬ」と口にして職員を脅します。
もう役所には手の出せない安全な場所に
不正受給者はいるのです。この国の暗部です。
青山実花さん、こうなったら我々も開き直って、
生活保護をうけませんか？。
眞子さま、圭さまも日本国の税金を海外で
受けて一生安泰に暮らす決意をされたようです。
皇族の方々（＆オマケ）が税金で暮らせるのです。
ボクらが今までどのぐらい税金を支払ってきたか。
そろそろ生活保護ライフをはじめても、
バチはあたらないんじゃないかな？。
by 裏・市長 (2021-10-03 20:46)
裏・市長さん
コメントありがとうございます。
いえいえ、
わたくしたちの一般的な感覚でいえば、
働く事の究極の理由は、
ホームレスになりたくない
生活保護を受けるようにはなりたくない
これではないでしょうか。
あくまでも、
病気などで働けない、などの理由のかたは
別としてですけれど、
何らかの形で、
生活保護を不正に受給したとして、
それを、
恥ずかしいとか
さもしいとか
思わないような人間にはなりたくない。
それが普通なのではないでしょうか。
そして、そのような感覚を持たないような
人間にはなりたくない、
そう感じるのが真っ当なのでは。
だから、
私たちが汗水たらして働いている横で、
不正な生活保護を受けて、
「イエーイ」と言っている人がいたとしても、
私は全然羨ましくはないです。
あら、
生まれて初めて、
裏・市長さんへのコメントに、
真面目に返答してしまいましたわ。
わたくしとしたことが。
by 青山実花 (2022-10-22 22:25)