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「ベルリン・アレクサンダープラッツ」 [映画]

berlinalexanderplatz.jpg
〔2020年/ドイツ〕


アフリカから、
ドイツ・ベルリンに不法入国したフランシスは、
この地で、
真面目に生きようと
心に決めていた。


しかし、難民のフランシスに、
働ける場所は少なく、
そんな中、
裏社会で生きるチンピラ・ラインホルトと知り合い、
次第に、悪に手を染めてゆく。


ある時、
娼婦のミーツェと出会い、
恋に落ちたフランシスは、
ミーツェの妊娠を機に、
金を稼ぐため、
ますます悪行に精を出すようになる。


しかし、
狡猾なラインホルトの罠にかかったミーツェは・・・。





試写会で観た。


観終わって、
これを書くに当たって、
色々調べていて、とても驚いた。


なんと、この映画の原作は、
1929年にドイツで出版された小説なのだそうだ。


100年近く前に書かれた小説とは全く感じさせない。
もちろん、
舞台は現代に直してあるのだから、
当たり前と言われればそれまでだけど、
まるで違和感がないまま、最後まで観た。


逆にいえば、
ヨーロッパでは、
100年も前から、
難民の問題があったという事なのか。


ただただ、
真面目に生きたいと願っていた、
アフリカからの難民・フランシスなのに、
世の中は冷たい。


フランシスは、
真っ当な教育を受けていたら、
おそらく、相当頭がいいのではないかと思われるような
知性が垣間見られ、
そのせいか、
悪の道に入っても、
そこで、リーダーのような存在になってゆく。


けれど、それに嫉妬するのが、
チンピラのラインホルト。


こやつは、
大勢の中にいたら、
全く目に留まらさなそうな、
小物なんだけど、
どこかサイコパスのような要素があり、
人の痛みを、痛みとも思わない、
人間の感情がないような男。
蛇のように気持ちが悪い。


フランシスの恋人・ミーツェは、
物事をあまり深く考えない女のようで、
そんなラインホルトの呼び出しに応じてしまう。


そっちへ行ったら駄目ー!と言いたくなる方へ、
行ってしまうのだ。


3時間以上の長い映画。
特にラスト40分の緊張感はハンパない。


評価 ★★★★☆

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コメント 8

tommy88

現在、霧島の方でフランスの軍人さんが60人ほど、陸上自衛隊らと合同演習をしています。占拠された離島を奪還するための共同訓練をしています。日米豪仏と並べたら、遠いフランスに違和感を持ちますが、フランスは俄然本気でやってきています。理由は簡単で、かつての植民地政策の名残で、太平洋やアフリカにある植民地に手を出すなよ、勝手にわが庭を汚すなよ中の国、と威嚇しているのでした。大航海時代に労働力として原住民を連れてきて奴隷として扱います。歴史の浅い米国では差別として残り、長い歴史の国では区別へと至りました。フランスでも残る差別の中で、白人のような黒人はいて、有色ではありながら子どもの頃からフランス語で教育を受け、ちゃんとしたフランス語を話す黒人。ただ彼らの外見は黒人だから区別はされています。市民権を手に入れても、大恐慌やパンデミックに襲われたら、彼らはすぐに難民となってしまいます。この危ういほどの根の深さは島国根性の我々にはなかなか理解できていないと思います。長女は現在、ドイツで難民問題の研究に取り組んでいますが、奥行きの深いテーマのようです。娘に、この映画を勧めておこうと思います。既に見たかもしれないけど。

by tommy88 (2021-05-17 15:02) 

ぼの

これ、面白そう…っていう表現をしていいものかちょっと悩みますが、
是非観てみたいと思います。
雰囲気的には、ゲイリー・オールドマン初監督作品の「ニル・バイ・マウス」やケン・ローチ監督の「SWEET SIXTEEN」っぽいかなぁ…と。
この二つは不法入国や難民の話じゃないですが…。
by ぼの (2021-05-18 00:28) 

旅爺さん

フランシスはドイツに渡っていろんな生活経験をしたんですね。
爺はドイツに3回行きましたが人は皆親切で食べものも美味しかったです。
by 旅爺さん (2021-05-18 17:44) 

裏・市長

クッソ長い映画なのに、
ラスト40分も緊張感が続くの?!。
おしっこ、行かれへんやん!いつ行くの?!。


100年前の物語であろうと、10年前の
ライトノベルでろうと、人間って基本、
変わらないんだと思われる。

設定や舞台を現代にアレンジレンジしないと、
逆に製作費かかるやろな。石橋蓮司。
CGでどうにでもなりそうだけど。

でも、タイタニックのあの感動は、
実物大のタイタニック号を建造したからこそ、
というのもかなり大きいで。
あの2人で帆先に立つ、危険行為のシーンよ!。
今、思い出しても涙出るわ。

というか、先週テレビでやったとこだった。

…って、なんの話でした?。
あぁ、この授乳シーンのポスタービジュアル、
いいっスねぇ~という話だった。スマンスマン。

by 裏・市長 (2021-05-19 05:30) 

青山実花

tommy88さん
コメントありがとうございます。

陸続きのヨーロッパの難民問題は、
日本人には、
本当の意味では理解できない気がします。
しかし、そんな島国の特性を生かして、
新コロ対策をしない国には腹が立ちますが。

どうぞ、娘さんに、
この映画、薦めて差し上げてくださいね^^


by 青山実花 (2021-05-21 20:55) 

青山実花

ぼのさん
コメントありがとうございます。

ぜひご覧になってみてください。
引き込まれると思います。

「ニル・バイ・マウス」「SWEETSIXTEEN」は
未見です。
今度観てみたいと思います^^

by 青山実花 (2021-05-21 20:55) 

青山実花

旅爺さんさん
コメントありがとうございます。

ドイツに3回とは、羨ましいです。
私はヨーロッパはイタリアに一回行ったきりです。
早くコロナが終息してほしいです^;

by 青山実花 (2021-05-21 20:56) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

裏・市長さんのような、
後期高齢者の方は、
映画を観る際には、
事前にアテントをご着用なさってから、
臨むことをお勧めいたします。

せっかくの緊張の場面、
途中で席を立つなど、
大変に勿体ない事ですので。
タダでも。


「タイタニック」は、
船は実物大でも、
乗船前の群衆のシーンは、
CGだそうですわ。

私はあの群衆の中に、
裏・市長さんのお姿を見たような気がしたのですが、
気のせいだったのですね。

え?授乳のシーン?
人間、年を取りすぎると、
赤ちゃんに戻るというのは本当なんですね。

by 青山実花 (2021-05-21 20:56) 

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