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「三人の顔役」 [映画]

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〔1960年/日本〕


ある大雨の夜、
バー「マドンナ」に、津村隆太郎(長谷川一夫)がやって来る。
津村は、2年前、殺人教唆で逮捕されたのだが、
脱獄して、
「マドンナ」のママで情婦の千鶴(京マチ子)のところに
逃げ込んだのだ。


津村は、千鶴の態度や、部屋の様子から、
男ができたのではないかと睨む。
そして、その相手は、
舎弟の修吉(川口浩)か、達也(菅原謙二)の
どちらかではないかと。


さらに、2年前、自分を裏切り、
警察に密告したのも、
修吉か、達也、
もしくは、実行犯で服役中の内藤ではないかとも、
疑っている。


津村は修吉と達也に会うが、
二人とも、
裏切りなどは絶対にしていない、と激しく否定。
そんな事より、今は、
迫ってくる警察の捜査網から、
津村を隠さねばならない。


津村は疑心暗鬼のまま、
大阪に逃げるための手筈を整えようとするが・・・。





私が大映贔屓という事を
差し引いても、
この映画は面白い。


脱獄してきたヤクザの親分と、
その情婦や、子分たちを巡る、
24時間の物語。


親分は、娑婆に出て、
皆に会えるのを楽しみにしている。
皆が、自分の出獄を喜んでくれ、
大阪に逃げるための協力を
惜しまないと信じている。


けれど、そんな事は、
甘い夢だったと思い知る。
2年も経てば、人は変わる。
勢力図も変わる。
女だって、いつまでも自分を待っていてくれるわけじゃない。
そんなこんなを、強く思い知る物語でもある。


長谷川一夫さんは、
おそらく当時、
大映の中でも、別格のスターだったと思うけど、
ことごとく手下に裏切られる役を、
可哀想なくらいに、演じきっている。


川口浩さまと、菅原謙二さんは、
同じ親分を持つ兄弟分だなんだと
言ってはいるけれど、
結局は、自分の事しか考えておらず、
いざとなると、
互いに責任を押し付け合うばかりの
ヤクザにあるまじき、情けない役なんだけど、
不思議とそれがハマっている。


そして、なんといっても、
京マチ子さん!
京さんったら、
もう、「ヴァンプ」って言葉がピッタリな感じの、
情婦の中の情婦。


勝新太郎さん、野添ひとみさんも出演されていて、
とっても豪華。


煙草など、
小道具の使い方も、
とってもいい。
この映画、すごく好き。


評価 ★★★★☆





この作品で、
京マチ子さんの出演映画、100本中80本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★化粧 (1984)
★男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976)
 妖婆 (1976)
★金環蝕 (1975)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★華麗なる一族 (1974)
★玄海遊侠伝 破れかぶれ (1970)
★千羽鶴 (1969)
 小さい逃亡者 (1966)
★沈丁花 (1966)
★他人の顔 (1966)
★甘い汗 (1964)
★現代インチキ物語 ど狸 (1964)
★女系家族 (1963)
★女の一生 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★黒蜥蜴 (1962)
★釈迦 (1961)
 小太刀を使う女 (1961)
★女の勲章 (1961)
★濡れ髪牡丹 (1961)
★婚期 (1961)
★お傳地獄 (1960)
★顔 (1960)
★足にさわった女 (1960)
★三人の顔役 (1960)
★ぼんち (1960)
★流転の王妃 (1960)
★女経 (1960)
★浮草 (1959)
★鍵 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★夜の闘魚 (1959)
★女と海賊 (1959)
★細雪 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
★赤線の灯は消えず (1958)
★大阪の女 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★母 (1958)
★悲しみは女だけに (1958)
★有楽町で逢いましょう (1958)
★穴 (1957)
★夜の蝶 (1957)
★地獄花 (1957)
★女の肌 (1957)
★踊子 (1957)
★いとはん物語 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
★八月十五夜の茶屋 (1956)
★月形半平太 (1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新・平家物語 義仲をめぐる三人の女 (1956)
 新女性問答(1955)
★藤十郎の恋 (1955)
★楊貴妃 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 春の渦巻 (1954)
 馬賊芸者 (1954)
★千姫 (1954)
★浅草の夜 (1954)
★春琴物語 (1954)
★愛染かつら (1954)
★或る女 (1954)
★地獄門 (1953)
★あに・いもうと (1953)
 黒豹 (1953)
★雨月物語 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
★大佛開眼 (1952)
★美女と盗賊 (1952)
★瀧の白糸 (1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
★浅草紅団 (1952)
★踊る京マチ子 歌う乙羽信子 (1952)
 恋の阿蘭蛇坂(1951)
 情炎の波止場(1951)
 馬喰一代 (1951)
★源氏物語 (1951)
 牝犬 (1951)
★自由学校 (1951)
★偽れる盛装 (1951)
 美貌の海(1950)
 復活(1950)
★火の鳥(1950)
★羅生門 (1950)
★浅草の肌 (1950)
 遙かなり母の国 (1950)
★続蛇姫道中 (1950)
★蛇姫道中 (1949)
 最後に笑う男(1949)
★痴人の愛 (1949)
 三つの真珠 (1949)
★地下街の弾痕 (1949)
★花くらべ狸御殿 (1949)
 天狗倒し(1944)
 団十郎三代 (1944)

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英ちゃん

川口浩と言えば探検シリーズを思い浮かべます(゚□゚)
有吉とマツコがやってる「かりそめ天国」と言う番組でたまに探検シリーズを放送してるけど、今見るとくだらねぇと思います(゚□゚)
by 英ちゃん (2020-07-21 15:02) 

青山実花

英ちゃんさん
コメントありがとうございます。

川口浩様と聞いて、おそらく日本人の99%は、
探検隊を思い出す事と思います^^

探検隊やプロレスやらを
本気で見ていた昭和はいい時代でしたね(笑)。

テレビって、どんなにフリートークに見えても、
全て脚本があるって本当なんでしょうか?
英ちゃんさんはご存知ですか?

by 青山実花 (2020-07-21 16:24) 

Ginger

コンプライアンスという名のもとに、色気や艶、遊びゴコロが失われ、こういう魅力的な人種も絶滅していくんでしょうね~。
by Ginger (2020-07-21 18:42) 

英ちゃん

フリートークに脚本は、昔はあったかも知れません?
でも、最近は無いんじゃないかな。
最近は、出演者に事前にアンケートを書いてもらって、それに添ったトークをするらしいよ。
by 英ちゃん (2020-07-22 15:53) 

青山実花

Gingerさん
コメントありがとうございます。

今は、世間があまりにうるさすぎて、
豪放磊落だったり、色気があったりという
俳優さんがいませんね。
なんだかちょっとつまらないような^^;
by 青山実花 (2020-07-23 22:54) 

青山実花

英ちゃんさん
コメントありがとうございます。

なるほど、最近はアンケート方式なのですね。
脚本がないとなると、
芸人さんたちのトーク力が試されますね^^;
by 青山実花 (2020-07-23 22:56) 

beny

 長谷川一夫のスーツ姿って観てみたいなぁ。それにしても大映の主役級の豪華な面々。何か正月映画か何かでしょうか。
by beny (2020-07-24 08:18) 

青山実花

benyさん
コメントありがとうございます。

本当にこの映画は、
豪華で良かったです^^
公開は1960年7月10日のようですので、
お正月映画ではないようですね。
夏休み映画?^^
by 青山実花 (2020-07-25 19:28) 

裏・市長

あ!青山実花さんもご覧になったんですか!、
実はボクも見たんですよ「三人の顔デカ」!。

…というコメントを私は過去に4.311回
書いていることに探偵社から指摘され、
はじめて気付きました。

京マチ子さんの出演映画、100本中80本を観た
青山実花さんならご存じかも知れませんが、
ここまで彼女が観客から見て、同情できない、
感情移入できない登場人物を演じたのは
ほかにないのではないですか?。

クズ中のクズだな!。
福岡のきちザピンよりはマシだが…。

川口浩もクズだったな!。
生活保護の金で株の運用をする福岡の荒鷲よりマシだが。

本作で印象深かったのは、長谷川一夫が終盤、
自分の周りの皆が裏切っていくのに絶望したのか、
感極まって涙目になるのね。

顔の大きい人は涙も大きい。
その男泣きの姿に全SSブログ民が泣いた…!。

青山、キミも泣け!。
by 裏・市長 (2020-07-30 21:00) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

えぇ!?
裏・市長さんたら、過去に4311回も、

「あ!青山実花さんもご覧になったんですか!」

と書いているのですか?
でも、変ですわね。
わたくしのブログは2020年8月6日の時点で、
3173回しか更新しておりませんわよ。

って事は、残りの1138回は、
わたくし以外の方に、同じフレーズを書いている、
という事になりますわね。

そんなあなたが、どうして京マチ子さんの事を
クズ中のクズだなどと言う事ができましょう。

だってあなた、ムショ暮らしの
顔デカ長谷川一夫さんより、
可愛らしい川口浩様の方がいいに決まってるじゃありませんか。

100人女がいたら、100人が乗り換えますわよ。
わたくし、泣きましたわよ。
浩様が自分のものになったので、嬉し泣きですけど。

by 青山実花 (2020-08-06 15:43) 

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