「盗まれた欲情」

〔1958年/日本〕


ドサ回りのテント劇場「山村民之助一座」の
演出家の国田信吉（長門裕之）は、
大学出のインテリで、
いつかは自分の解釈による劇を
上演したいと思っている。


信吉は、
民之助の娘・千鳥から惚れられているが、
彼自身は、
一座の看板スター・栄三郎の妻・千草（南田洋子）に
密かに恋い焦がれている。


そんなある日、大学の同級生たちが、
皆、成功している事を知った信吉が、
河原で一人荒れていると、
千鳥がやってきて、
その場で関係してしまう。


しかし、自分が本当に惚れているのは千草だと、
その思いを彼女にぶつけ・・・。





学生時代、
バンドをしていた友人によると、
バンド内で恋愛沙汰が起こると、
必ず揉める原因となる、
と話していた。
（もちろん、サザンのような例外もあろうが）


この映画を観ていると、
バンドに限らず、
劇団も同じだなぁと思う。


その恋愛が、
上手く纏まったならともかく、
三角関係、四角関係にでもなろうものなら、
狭い人間関係の中、
そりゃあ、大変な事になるであろう。


まだお若い頃の
長門裕之さんがとってもいい。


彼の、南田洋子さんに惚れている気持ちが
観ているこちらにも、
伝わってくるし、
南田さんだって、
口には出さないけど、
彼の事が好きなのだ。
ただ、立場上、それが言えないってだけで。


それから、
長門さんの、
現在の自分に対する苛立ち。
劇団の事はとても好きなのだけれど、
同級生たちの成功を聞くと、
やっぱり焦るって気持ち、
分からなくもない。


私は河原で彼が荒れる場面が好き。
荒れて、川に石を投げるんだけど、
その石ってのが、
普通に想像するような、片手で持てる大きさのものではなく、
両手でなければ持てないような、
岩に近い石で。


それを力いっぱい、
どぼんどぼんと川に投げ込んでいて、
あぁ、本当に荒れているんだなぁ、と。


映画の中で、
実らぬ恋を演じた長門さんと南田さんが、
実生活で、
3年後に結婚されたのは、
なんだか嬉しい。
まぁ、長い結婚生活の間には色々あったようだけれど、
離婚されずに、
添い遂げたわけだし。


評価　★★★☆☆

コメント 8

共演して結婚までするのは昔も今も同じだね（ﾟ□ﾟ）
by 英ちゃん (2020-05-05 23:43) 

仲の良い夫婦でしたね
南田さん幸せだったと思います。
by きよたん (2020-05-06 09:21) 

「洋子へ」わが屋の蔵書にあります。ニャハ！
by Ginger (2020-05-06 14:40) 

英ちゃんさん
コメントありがとうございます

共演がきっかけで結婚して、
添い遂げるご夫婦もいれば、
直ぐ別れちゃう人もいますね＾＾；
by 青山実花 (2020-05-06 16:18) 

きよたんさん
コメントありがとうございます

なんだかんだあっても、
最後は、認知症になった南田さんを看取られたのですから、
お幸せでしたね。
by 青山実花 (2020-05-06 16:19) 

Gingerさん
コメントありがとうございます

えー！いいなー＾＾；
私は図書館で借りて読んだきりですよ（笑）。

by 青山実花 (2020-05-06 16:20) 

若いころの長門裕之と、
若いころの桑田佳祐って似てるよな！。
ハラボーッ！！。

長門裕之、南田洋子夫妻と言えば、
実は関西人にはとても親しみのある夫婦である。

なにが親しまれていたかといえば、
「かたつむり大作戦」というチャリティー番組が
あったのです。昔。

それは24時間テレビより前から存在しました。
が、関西ローカルなのでほかの地域の方々は、
ほとんど知りません。

24時間に渡り、交通遺児のために視聴者から、
募金という名目で金を巻き上げる番組でした。

これの司会をこの夫婦が長らくやっていたのです。

1980年代後半が一番盛り上がっていて、
長門・南田夫妻のコネで、有名芸能人が
続々と関西のローカル番組にやってきました。

この番組の終焉直後に南田洋子さんが認知症を
発症されてしまい、その姿に衝撃を受けました。

今でも忘れられないのが、
「アカイヨ・・・アカイヨ・・・」と言いながら、
常に何かに怯えておられました。

昭和の大女優のそんな姿を世間に公開するなんて…、
と批判もあったようですが、長門氏には、
長門氏なりの考えがあったのでしょう。

というか、金銭的にも苦しかったような…。
津川雅彦も苦言を呈するなら、
金銭的な援助をしてやれば…と思ったのですが、
彼の台所もかなり苦しかったような…。

海外のお城をそのまんま日本に持ってきて、
「グランパパ」なんておもちゃ屋作ったり…。

青山実花さんが「洋子へ…」を、
刊行時に新刊で書店購入しなかったおかげで、
印税暮らしが出来なかったんです。

今更ながら反省なさい。


by 裏・市長 (2020-05-12 00:49) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

確かに、長門裕之さんと桑田佳祐さんは、
よく似ておりますわね。

お二人の世代が違っていて良かったですわ。
もし同世代だったら、
南田洋子さんと、ハラボーさんが、
暗闇で相手を間違えてしまう所でした。

わたくしが、最近、
「この二人、よく似てるな」と思うの、
ラグビーの稲垣啓太選手と、
作家の西村賢太でございます。

西村賢太の小説は全て読んでおりますので、
他人という気がしません。
稲垣選手が、どうか女性に暴力を振るわない事を
祈っております。


「かたつむり大作戦」？
そのような番組がこの世にあるとは、
全く知りませんでした。

Wikipediaで調べてみますと、
30年間通して、
募金総額3億6千万円と書かれておりますわね。

3億6千万円というと、
一見、かなりな大金に感じますが、
実際どうなんでしょう。
国民一人当たり3円を巻き上げれば、
到達できる金額ですわよね。

3円ですよ、たった3円。
現在、SSブログの会員数は
1億人と言われておりますので、
お一人1円でも、1億円は集まる計算。

裏・市長さん、
明日から、会員様お一人お一人のお家を
募金して回りませんか？

交通費、宿泊費は、あなた持ちで。

by 青山実花 (2020-05-16 16:20)