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「岬の兄妹」 [映画]

misakinokyoudai.jpg
〔2018年/日本〕


ある海辺の町で暮らす兄妹、
良夫(松浦祐也)と真理子(和田光沙)。
良夫は足が不自由で、
真理子には知的障害がある。


ある日、良夫は、
家を抜け出した真理子が、
男と性交し、
金をもらった事に気付く。


そんな中、良夫は働いていた造船所をリストラされ、
食べる物にも事欠くようになる。
切羽詰まった彼は、
真理子に売春させ、
金を稼ぐ事を思い付く・・・。





試写会で観た。


この映画、
粗筋だけを読んだら、
めちゃくちゃ重くて、
心にズシーンと来そうだし、
実際、私も、
観る前は覚悟していたのだけれど、


なんだろう、
「観るに堪えない」という事はなく、
言葉は悪いかもしれないけれど、
中々面白いお話として、
最後まで観てしまった。


生活に困窮し、
強い罪悪感に苦しみながらも、
妹に売春をさせる、兄。


そして、性交の意味を知らず、
兄から、「仕事」と言われると、
喜んで付いてゆく、妹。


なんだろう、
妹の、ある種の明るさが、
救いなのだろうか。
コミカルな場面もあり、
劇場からは、時折、笑い声も聞かれる。


上映後、主演の、
松浦祐也さん、和田光沙さん、
片山慎三監督、
そして、映画評論家の森直人さんによる
トークショーがあったのだけれど、


やはり、松浦さんも、和田さんも、
撮影で辛かった事は一つもなく、
楽しい現場だったと話されていた。
そんな雰囲気が、
映画にも出ていたのかもしれない。

misakinokyoudai2.JPG


ただ、これは映画だから、
楽しめたのであって、
現実だったら、
どうにかならないものなのか。


こんなに困っているのだから、
行政に相談するとか、
何らかの方法が取れないものなのだろうか。


現に、兄の、
たった一人の友人は、警察官だ。
2人に対して、怒ったり、説教する暇があったら、
もっと建設的な方向に導いてやればいいのに、と思う。


税金って、
本来、そういう事の為にあるんじゃないのか。


評価 ★★★★☆

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薔薇少女

>「観るに堪えない」という事はなく、
えぇ~~っ、そんな重苦しい内容なのに・・・
余程、上質な描き方してるんかな?!

先日Eテレの、『ねほりん はほりん』という番組で、風俗の仕事をされてる方の話を聞いたが、むっちゃ明るく話していたのが、印象的だったけど・・・
全く別の話になりますが、今の若い人達は、『性』に関して、
私の世代とは全く違う感覚を持ってるんだなと感じる事が多いです!
by 薔薇少女 (2019-02-22 14:04) 

にゃごにゃご

心に障害があり売春をしている女性と知り合った事があります。
その女性のために何も出来なかったです。
自分がとっても情けなかったです。
by にゃごにゃご (2019-02-22 14:47) 

ヤマカゼ

日本は赤ん坊から死ぬ間際の老人まで平均して800万くらい国債赤字があるらしいですね。サラリーマンの自分でも決して楽な暮らしはしていません。行政の対応はあまり頼りにならないのかもしれないですね。
by ヤマカゼ (2019-02-22 18:21) 

裏・市長

これ、文字だけ追ってたら軽々しく語る事の
出来ないような重いテーマやで。

兄妹、ふたりともに障害者かよ・・・。
最近は障害者の「害」という文字を使っただけでも、
好ましくない、なんて言われるのに。

障害の「害」を「碍」や「がい」に置き変えたところで、
何が変わるのだろうか?。
もっと変えなきゃいけない部分があるのでは
ないだろうか・・・。

非常にデリケートなテーマなので、扱い方によっては、
かなりの批判にもさらされかねないな、こりゃ。

公開前なので、本編はまだ見られず、
予告編だけみてみたのですが、
どこか漂う明るさ、重い空気の緩和に、
「音楽」のチカラがあるのかも知れない。

ずっとウィンター・ワンダーランドが流れてた。
音楽のチカラってのは意外と大きいよ。

意外と知られてませんが、アニメ「一休さん」の
最終回、旅立つ一休の後ろ姿に延々と
「お経が流れて」終わるんです。
それが重いのなんのって・・・。

あれが、アラレちゃん音頭だったら、
旅に出ても3日ですぐに泣いて帰ってきそう・・・。
やはり音楽のチカラは大きい。

青山実花さんもなにか一曲、
自分のテーマを持ちましょうよ!。
出勤するとき、電車に乗るとき、映画館に入るとき・・・、
大音量でそれを流すんです。

それが聞こえてきたら、
あっ!青山実花が来やがった!!。
そう、みなさんにすぐわかってもらえるぐらい浸透すれば、
もうこちらのものですよ。

がんばれ!青山実花!!。
by 裏・市長 (2019-02-22 23:53) 

旅爺さん

「これは映画だから、楽しめたのであって、現実だったら・・・」
やはり現実ではすさんだ生き方になるでしょうね。
by 旅爺さん (2019-02-23 09:32) 

Mitch

「映画だから、楽しめたのであって」・・・ 映画を見てもいないので
偉そうなことは言えませんが、制作者は何を意図して作ったの
だろうかと考えてしまいます。
by Mitch (2019-02-23 18:39) 

青山実花

薔薇少女さん
コメントありがとうございます。

この映画、上映前ですが、
かなり評判になっているようです。
確かに作りがいいのかもしれません。

風俗で働いている方は、
お金と割り切ってお仕事をされているので、
明るいのかもしれませんね。
性は昔より隠す事ではなくなった気がします。
だから、セクハラの告発も増えたのでしょうね。
「恥ずかしいから泣き寝入り」なんて事もないので。

by 青山実花 (2019-02-25 00:12) 

青山実花

にゃごにゃごさん
コメントありがとうございます。

お知り合いの女性が、
どのようなお気持ちで売春をされていたのかは
分かりませんが、
にゃごにゃごさんのそのお気持ちだけで、
救われるのような気がします。

by 青山実花 (2019-02-25 00:13) 

青山実花

ヤマカゼさん
コメントありがとうございます。

億のお金を誤魔化す人もいれば、
日々、食べる物にも事欠く人がいて、
悲しくなってしまいますね・・・。

by 青山実花 (2019-02-25 00:13) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

そうなんです、
この兄妹には、
両方に障害があり、
傍目にも、とても大変そうな
重いお話しです。

ただ、兄の方が普通に会話などができて、
妹の面倒を見ている分、
あまり障害者だとは感じられないのです。
比較の問題ですが。

私には、身内にも知り合いにも、障害を持つ人がいないので、
簡単に、
「分かる」と言う事はできません。

でも、裏・市長さんが、
最近のご自身のブログで、
障害者問題について、
書かれた2つのレビューについては、
同じ考えです。


そうですね、音楽の力は大きいです。
裏・市長さん、ご心配には及びません。

わたくしのテーマ曲は、既に決まっております。
それは、ヨハン・シュトラウス二世の
「美しく青きドナウ」でございます。

優雅なワルツの調べがわたくしの雰囲気にピッタリだと、
わたくしの姿を見ただけで、
世間の皆様は、自然にこの曲を口ずさんでしまうようです。


裏・市長さんのテーマ曲は、
「しっぽのちぎれためだか」だそうですね。
大和高田市では、
来年から、これが市歌になるとか。

がんばれ!裏・市長!!。

by 青山実花 (2019-02-25 00:14) 

青山実花

旅爺さんさん
コメントありがとうございます。

これが現実だったら、
「楽しめる」なんて冗談でも言えないでしょうね。

by 青山実花 (2019-02-25 00:15) 

青山実花

Mitchさん
コメントありがとうございます。

何を意図して作ったのか。
難しいですが、
人間の生命力とか、そんな感じでしょうか。

by 青山実花 (2019-02-25 00:15) 

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